輪廻
妹が死んだ、14歳だった。
2年前に両親が自殺して、たった一人の肉親だった。
スマホ運転をしていて通学中の妹に突っ込んだらしい。
目の前が真っ暗になったような気がした。
裁判の日、殺すつもりで学生カバンに包丁を入れて行った。
あっさり捕まった、どうでも良くなった。
今度は目の前が真っ白になったような気がした。
周りで騒いでいる大人に僕はわかりましたもう大丈夫ですと告げて胸ポケットに隠していた折りたたみナイフを喉に突き立てようとしたが数人に取り押さえられる。
(長引きそうなのは嫌だったんだけどなあ)
舌を噛む、苦しくて苦しくて僕は意識を手放した。
真っ白い部屋の中で目を覚ました。
「悠くん大丈夫?心配したんだからね...」
ベッドの隣に座っていた女の子が、僕の手をやさしく握りながらそう言った。
「君は....誰?」
「?!」
その後数人の大人が部屋に入ってきて何かを話していたのが耳障りだった。
覚えのない女の子の涙がやけに頭に残った。
深夜ベランダから下をのぞき込む。
これで妹と同じ場所に行ける、そう思った。
気が付くとそこは何もない処だった、まだ続くのかそう思っていると声が聞こえてきた。
「キミに選択肢を与えよう」
何を言っているのかわからない、もう終わらせてくれ。
「ソレで良いのかね?」
これ以上話すのも面倒だったので無視をした。
「主よ、この2人は何度繰り返さねばならないのでしょうか」
「...いつかは終わりが来るであろう」
「はい」
少し寝ていたようだ、時計は深夜1時を少し回った所だ。
「起きたの?」
感触を確かめるように少し強く抱き寄せる。
「悲しい夢を見てたんだ」
向うも腕を回してくる。
「明日もお仕事あるから寝よ、お兄ちゃん」
「うん」
直に触れ合った温度は悲しい夢を終わらせてくれる気がした。




