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ジャガンナンド~強くあるために必要な、ほんのいくつかのこと~  作者: 神堂 劾
強くあるために必要な、ほんのいくつかのこと
77/110

それぞれ、の

同刻、Zランク寮――。


「……っと。どう、茂姫? 乱世たちから連絡は?」


「……興猫ねーさん、そろそろ窓以外から入ってくる方法を覚えたほうがいいもき」


「うっさいわねー。それより……」


「まだ、連絡ないもき」


「そっか……」


「ねーさんの方はどうもき?」


「いちお、不自然にならない程度にバトルはこなして見せてるけど……そろそろキツいわ、しょーじき」


「およ? ねーさんらしくもない弱気が」


「あのねぇ……。あの、頼成んとこの黒服、アレを一人で相手にしてるだけでも、結構、キツいんだってば。公式戦じゃ、連中もお行儀よくしてるからどうとでもできるんだけどね」


「そんじゃ……椿芽ねーさんとは、まだ?」


「いつぞやの龍崎志摩との戦闘以来、公式戦には姿を見せてないわね」


「むー……。幸か不幸か、ってとこもきね」


「そうねぇ、実際に出てくれば、あたし自身でどうにかできるかも知れないけど……」


「そりゃ、アニキに止められてるもき」


「……気持ちの問題だって。あたしでカタがつくなら、それこそ安いものだし」


「できる自信、あるもき?」


「どうかな……。五分五分……? それも、あたしの知ってる椿芽に多少のプラスアルファなら、って前提でね」


「むー」


「どっちにしても……そろそろ、ヤバいニオイはするわ……」


「お、脅かさないでほしいもき」


「脅しなら、もっと気の効いたこと言うわよ。下手すれば、今日あたり何かあるかもね」


「んにー……。ひさびさのいい天気だってのにもき……」


「いい天気だから、よ……。こういう時こそね……何かが起こるモンなのよ」


「お。気の効いた脅しもき」


「ま、ね♪」


※        ※        ※


 同刻、怒黒組アジト跡――。


「……………………」


 さらに、その地下施設――。


「……いるの?」


「……ああ」


「なんだ……6割全損なんて聞いてたけど……意外に元気そうじゃない」


外見そとみはな。この学園の中では入手しにくい部品もある。そのあたりは爆山がやってくれているが……」


「その……あんたの恋人は?」


「……面白い表現を使うものだな」


「男子に好かれるのも、それはそれで美徳じゃない? 怒黒組はあなたの居ない間も、それなりにやっているわ」


「……累が及んでも対処もできん。組織は解体しろと言ってはいたのだがな……。実際、買出しに出ている爆山含め、俺の修復については助かってはいるのがどうにもな。」


「頼成組は、あなたたちから興味を失っているようには見えるけど……」


「念には念を入れて、だ。お前の言っていた……天道乱世の足を引っ張ってもまずい」


「まぁ……根拠があるわけでもないのだけどね……彼がどうにかできるっていう」


「……情か?」


「馬鹿ね。まぁ……そういうことを信じさせる、信じたくさせるっていうのも、彼の能力じゃないかしら?」


「ふ……。かもな」


「それで……? そんな状況の中、危険を冒して私に接触を取ろうとした用件は?」


「ああ……。例の、停滞破壊者のことだ」


「鳳凰院……椿芽……?」


「いや……俺たちは根本的な間違いをしていた。あの娘と交戦をした今ならばわかる」


「……どういうこと?」


「あの娘にも確かに素養はある。しかし……あれはまだ人間だ。俺などの定義においてすれば……むしろ、人に過ぎるほど」


「………………」


「恐らく破壊者は……外から来たのではない」


「……なんですって?」


「ここに……この学園に居た、のだ。恐らくはこの学園の成り立ちと共に」


「……居た?」


「しかるべく観察者の登場によって、それは目覚めた。いや……生まれた、とでも言うべきか……」


「どういう意味……? あなたらしくない言い方よ」


「現実が常軌を逸しているのなら……俺の言動も曖昧にならざるを得ない」


「常軌を逸した……?」


「そうだ。とても……俺やお前が手を出せるものではない」


「………………!」


「彼が現れねばそれは眠ったままだったかもしれない。そういう意味では……当初の予想は当っていたともいえるのかもしれないがな……」


「天道……乱世が……鍵?」


「順序を間違えた出会い、か……。確かに俺らしくもなく、情感的だな。爆山の影響でも受けたか……」


「かもね……」


「ならば……こうも言うべきか。今日のこの日も……『何もない至って平穏な一日』であれば良い、と」

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