告白
「ほ……本当にこの山に二人が居るのだな? 興猫……」
「うん♪ ちゃんとここに入るのまでは見てたから」
「ふむー。確かに、このままちょっと行くと、人造湖があるもきね」
「そ、そうか……。そんなところであの二人、何を……」
「だーかーら。言ったじゃニャい。デート! で・え・と!」
「で――っ!」
「確かに……ま、その湖は隠れたデートスポットってされてるもきねー」
「ぐ……ぐむむむっ……!」
「にひひ♪ やぁーっぱ、椿芽おねーちゃんとしちゃ、気になっちゃうわよねぇー?」
「ば……馬鹿なっ! わ、私はだな……!」
「わたしは……ナぁニ? くふふふっ……」
「そ、その笑いをやめろっ! だ、だからわたしは……」
「もききき♪ ナニもきか?」
「お、お前までっ! だから……弛んでいると言っているのだっ!」
「ほーほー?」
「夏季休暇と謂えど、我々にはその……なんだ……。浮かれている余裕など……ないのだっ! 常に精進を怠らずだな……」
「……あたしが連絡するまで、龍崎志摩の店であんみつ食べてたヒトの言葉とは思えないニャー」
「……3色クリームあんみつ・全部乗せはねーさんのお気に入りもき」
「そこっ! ナニをこそこそ話しているっ!」
「にゃにゃにゃ? 別に別にぃ」
「こっちのハナシもき」
「とにかくっ! 私は……二人に渇を入れてやらねばならんのだっ! 行くぞっ!」
「はぁ~い♪」
「……修羅場もき修羅場もき」
「にひひ♪ やっぱ教えて正解だったニャ♪」
※ ※ ※
「あ……! いたいた、おにーちゃんと勇っ!」
「む……」
「ほほー。なんかイイ雰囲気みたいもきねー」
「むむむむ……」
「椿芽おねーちゃん、渇、入れてやるんじゃなかったの?」
「い、いや……これは……お前たちが隠れるから……つい……」
「ふーん? ま、いいけどぉ?」
「ぐむ……」
「でも、ちょっち遠いなぁ……せめてナニ話してるのか聞こえるといいんだけど」
「お任せもき♪ この茂姫たんのパートナー、バイスたんには高精度集音機能もあるもきよ」
「おおー。さっすが茂姫!」
「ば……馬鹿者っ! そんな……出歯亀のような真似を……!」
「ふぅ~ん? んじゃ、椿芽は聞かないのね?」
「い、いや……。私には……その……なんだ。二人が正しい学生の姿として、あまり逸脱した行為に及んでいないかを管理する義務が……」
「ふーん……?」
「あ。聞こえたもき」
「………!」
『乱世さん……わ、私……』
『羽多野――』
「おおおおー? ホントになんか、イイ雰囲気かも……」
「アニキもなんだかんだ言って、やるもきねー」
「ぐ……ぐむむむっ……」
『羽多野……』
『乱世さん……?」
『俺は……お前に言わなくてはならない事がある……』
『え……?』
「うわっ! これってもしかして……」
「まーさーに、ドンピシャ、ものすごいナイスタイミングだったかもしれんもきね……」
「い……いかんっ! そんなことは……断じていかんぞっ……!」
「ちょ……つ、椿芽っ! ここでそんな興奮しても……」
『とても……とても大切なことだ』
『え……えええええっ!?』
「だ……断じて許さんっ! そんな……破廉恥なことはっ!」
かちり。
「わわっ! ね、ねーさんっ! 刃傷沙汰はマズいもきっ! 刀をっ! 刀をしまって……」
「しーっ! いまいいところニャー!」
『実は以前からずっと思っていた。結論が出たのは……最近だが』
『そ、そう……なんですか……』
『……心を落ち着けて聞いてくれると……助かる』
『は、はいっ……!』
「おおー……ついに、もきね……」
「にゃひっ♪ やるなぁ、乱世おにーちゃんも」
「ら、乱世ぇ……」
『羽多野……』
『はい……』
『お前は……』
『……………………』
『お前は……』
『……………………』
『天道組を……やめろ』
『…………………………え?』