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興猫

 深夜――。


「やはり、野草だけでは腹持ちがよくないな……」


 ぶつくさ言い続けていた椿芽が寝に入ったのを確認してから、俺は寮から多少離れた草原まで出てきていた。


 もっとも、俺が深夜に寮の周辺を歩いていたのは空腹だから、ということではない。


 ぐぅ。


「……………………」


 ……腹はそれを否定するかのように鳴るが。


 今日に関しては、昼に学園に来る時に持ち込んだ弁当を食しているから、どうにかもってはいる。


「この調子では一週間が限度というところか……」


 もちろん、俺にしても椿芽にしても、栄養が多少不足したところで一週間の一ヶ月のという程度はそれなりに問題ないだろう。


 しかし……。


『この学園でやっていく』ことを念頭とするならば、やはり少々心もとない。


 ぐう。


 ……まただ。


 加えて、言い訳がましく言わせてもらえば……だ。


 俺は今日、実際に発動していないとはいえ……『アクセラ』を都合、二回も上げようとしてしまっている。


 あれは……上げただけではなく、上げようと思った段階から体に負荷をかけるため、その段階で急激に栄養を消費する。


 決して俺の我慢が無いとか、食い意地が張っているとかではないことは言い置いておきたい。


「負債は負債としても当面の食い扶持は稼がねばならんな……」


 そういう意味においても、この学園はサバイバル、か……。


「ん……?」


 そんなことを考えつつ歩いていると……。


※        ※        ※


「ぐわっ……! て、てめぇっ……!」


「……………………」


「がはっ……!」


 昼間に居た学園の校舎が見えてきたところで、何者かが争っている光景に出くわした。


 いや――。


「てめぇ……っ! 誰だ……! どこのモンだ……ぐわっ!」


「ふフン♪ どこのモンでもないけど……依頼はパンクラスから……ってことは伝えていいってさ」


「てめぇ……金で雇われたヒットマンか…………がはっ!」


「そゆこと♪ いいから……とっとと死んでにゃ♪」


 夜の闇の中、ぱっと紅が舞った。


 あれは争ってる、という光景じゃない。


 片方が片方に一方的にやられている。


 片方、やられている方は、あの怒黒組とやらの連中と同じ制服を着ているように見える。


 もう一人……襲撃者は動きの早さも相まって、この月の無い夜では良く見えないが……。


(随分と小柄に見える……。得物はナイフ……いや、刀、か?)


 武器が主体であるようには見えるが……決してそれに頼り切っていない、完成された体術だ。


 筋そのものは我流だと思うが、我流としても高度に完成された我流。


 正直……俺は、僅かな時間であるとはいえ、その動きに思わず魅入られてしまっていたほどだ。


 そのうちに……。


「ぐああぁぁぁぁぁっ!」


 何度か小柄な影に斬りつけられ……ついに男がここに響くほどの勢いで、どう、と倒れた。


(あの出血の程度なら、死んではいないだろうが……)


 勝負はついている。


「う……うぐ……」


「ふん……もう動かない。飽きちゃったニャー。そろそろ……終わりにしちゃおーっと……!」


 襲撃者が刃を振り上げる。それが振り下ろされた刹那――。


「………………!」


 俺は反射的にそこに割って入っていた。


「もう勝負はついているはずだ」


 俺の拳により刃の側面を打たれて軌道を逸らされた刃物は、失神して倒れた男の喉もと間際を掠めただけだった。


「この学園といえど……流石に殺人は見過ごせない」


「おまえ……!」


 雲間から僅かに月明かりが漏れ……小柄な襲撃者の面差しがわずかに浮かぶ。


「子供……?」


「見たな――」


 その見た目に不釣合いな低い声が聞こえたと思うや否や――!


「……っ!」


 返す刀、とはまさにこのことか。


 挙動も見せず地面から抜かれていた刃は、今度は俺の喉を掠めた。


 刃が同じく僅かに月明かりの残光を掠めたお陰で生まれた煌きに目がいかなければ、ほぼ確実に喉を裂かれていたろう。


「ちっ……!」


 互いに間合いを計り、離れる。


(しかも殺気が攻撃よりもあとになって押し寄せる……。人殺しに躊躇の無いやり口というやつか……)


「恨みも無ければ、儲けにもならないけど……見られた以上は、殺す……ニャ」


「そんな軽い理由での殺され方はイヤだな」


 ぞくり、と背中を快感を伴う緊張が駆け上る。


 ざぁ……。


 さきほど雲を流したのと同じ風が、足元を――這う。


 もう一度月光が差せば、そこに生まれる錯覚を利用して踏み込むのがセオリーと言えばセオリーではあるが……。


「…………ッ!」


 先に――動いた――!


(小細工は……させてくれない、か……!)


 もっとも、そんな目晦ましを甘んじて通用させてくれる手合いとも思えないが……!


「……ちッ」


 踏み込み、制服の下に特製サポーターが内装された肘の部分で受け止める。


 もちろん、刃が威力を成さない根元を狙い、だ。


 踏み込んで不自然に間合いを詰めた以上、歩法の勢いそのままに既に着弾しかけている俺の膝も、十二分な勢いには満たないだろう。


 しかし、この体重差があれば、これで十分――!


「…………っ!?」


 その手応えに、俺は滑稽なほど狼狽えていた。


「……フフ……」


「く……っ!」


 ざ……。


 受けた方とは逆の手から凪がれた刃が、目の僅か下の頬を浅く裂いた。


「ちっ!」


 慌てて牽制しつつも間合いを取る。


 いや……取らされる。


「にゃあ♪」


『敵』は、追い討ちができる体勢であったにも関わらず、それをしてこない。


 まさに……得物を甚振る猫科の獣のように。


(それにしても……)


 今の手応えは……。


 まるで鉄板を蹴ったような衝撃だ。


 情けない話だが、まだ足に痺れが残っている。


 さっき、あの刃を受けとめたものと同じ、ケブラー繊維と衝撃吸収素材で構成されたサポーターと同様のものが膝にも装備されているにも関わらず、だ。


 いや……手応えだけじゃない。


(あの子供のような体躯で……なんて動きをする……!)


「ほらほら……考え事なんてしてるとっ……!」


 再び敵が間合いを詰めにかかる。


「ちぃっ……!」


 繰り出される刃に思考が中断された。


「へぇ……案外やるね♪」


 舞踏のようなリズムを以つように――それでいてこちらに軌跡を予測させない無規則性で、何度も繰り出される刃をかわしながらも……。


 脳の中では、終始、警戒を促す信号が鳴り続けている。


 あの軍馬のように……小細工を弄する必要もなく、ただ純粋な強さで圧倒するタイプとは違う――。


『ただ、ありのままに危険』という脅威。


 純粋な、命への危険信号。


「そらっ……!」


 ざぁっ。


「ぐっ……!」


 知らず、刃の方を意識しすぎた――させられ過ぎた。


 踏み込みからの肘が空手の猿臂えんぴ当てのように、俺の腹を下から抉るように突き刺さる。


 まただ――!?


 俺の半分にも満たないくらいの体躯から発せられたとは思えない衝撃が背中まで突き抜ける。


「く……そッ……!」


 衝撃で折られた体では牽制くらいにしかなるまいが……と相手の背中に拳を落とす。


(こっちもまたか……!!)


 無防備な背を打ったはずの拳全体に、まるで不用意に鉄板を殴りつけたような衝撃……!


「楽しかったよ。ばいばい♪」


「…………!」


 とす。


 余りに軽い……軽い音と共に、胸に衝撃が刺さる……。


 肋骨を避け、肺の位置に正確に打ち込まれた刃先。


 たまらず俺はそのまま仰向けに倒れる。


「ふふん♪ まぁ、きっちり正確に肺にちょこっと刺さるか刺さらないからって程度だから……運がよければ助かるかもね?」


 俺を見下すようにして……そいつは舌ったらずの声で言った。


「ふん……」


 去り際……倒れている例の怒黒組の男の頭を蹴ると……僅かにうめき声がした。


「運がいいわね、あんた。今日は一人殺したから……依頼の通り、半殺しで勘弁しといてあげる。そこのおにーちゃんに感謝なさい?」


 そのまま立ち去ろうとした足音が……止まる。


「へぇ……?」


 俺の起き上がる気配を背中で悟ったから、だ。


「おっどろいた。おにーちゃんってば……不死身ちゃんにゃ?」


「かもな。うん……死んだ死んだ。よく死んだ」


 言いつつ……胸ポケットから、穴の開いた生徒手帳を取り出す。


「ちょっと……正確にやりすぎたな」


 胸板には肺には届かないまでも小さな穴が開いたが……この程度であれば全く問題ない。


「あちゃー。なんてお約束な九死に一生」


「一枚の金貨が……ってよりはいいだろ?」


「まぁねー」


「……先生はああは言ったが……メモ帳よりは役にたつもんだ」


 苦笑して手帳を地面に放る。


……IDカードの方を別にしておいたのも……まぁ幸運のひとつか。


 実際のところ、咄嗟とはいえ筋肉で止められる自信はあったが、完全とはいえない。


 そうやって防ごうとした気配を察したなら、この眼の前の敵はもっと深く刺したかもしれないのだし……。


「……で、死んだフリ? にゃはは。案外おにーちゃん、セコいのニャー」


「どうにも納得いかないんでね。お前さんのからくりを考える時間が欲しかった」


「ふぅん? んで……答えは出たのかにゃ?」


「まぁ……な」


 目の前の子供が、真実の意味で子供と思っているほど、俺も馬鹿ではない。


 しかし……実際に子供か、小柄か、そういう体質か……。


 どうであっても、その体躯から生じられる破壊力というものは、単純な意味合いに於いては自然に限られてくる。


 破壊力を生み出す筋力が発達すれば、それを支える骨格や臓器に関しても、どうしても比例して発達せねばならない。


 それ以前に、単純な打撃としての破壊力に、体重――質量は不可欠なものだ。


 破壊力を生み出す体は、大柄でなくてはならない。


 体が大きいことが必ずしも強さではないが、打撃の破壊力を生み出すことには大きな体が絶対に必要なのだ。


 逆に断ずれば小柄な体で生み出される破壊力にはどうしても限度がある。


 当然、武術や格闘術などにおける強さは、そのほかの要素……。


 瞬発力、持久力、反射力などの身体要素のほかにも、武術それぞれの技術なども全て総合してのものだ。


 小柄であることイコール弱いことでもなければ、体が大きければ強いということではない。


 ないが――。


 少なくとも筋力が生み出す純粋な破壊力という意味合いにおいては……。


 体の大きさイコール、その強さであることは揺るがしがたい事実なのだ。


(しかし……さっき、こいつが繰り出してきた攻撃は……)


 贔屓目に見ても、ヘビー級プロボクサーのそれと比肩する。


 5倍かともすれば10倍の体重と体躯がなければ、そうそうは生じられない破壊力。


(そして……あの防御力……)


 未だに手足には痺れが残っている。


 たとえ、何か防具を体に纏っているとしても……。


 あんな衝撃は、板金重ねの鎧を一そろいでも着ていなければあり得ない。


 そんなものを着用していては、あれほどの体術ができるはずも、そもそもまともに動ける筈もない。


 それに仮にそんなものを着用していたとしても、だ。


 衝撃というものは内に伝達するものだ。


 仮に俺も知らないようなとんでもなく高性能な緩衝材があったとしても……それを『着て』いる以上、衝撃が一切伝わらないなどということはあり得ない。


(つまるところ、こいつは……)


 まるで動く石仏と殴り、殴られをしているような感覚……とでも言うのだろうか。


「ふふ……参考までにどういう答えが出たか教えてくれにゃい?」


「ああ」


 俺は……ゆっくりと重心を落として、構えを取る。


「答えは……」


「答えは?」


「ない!」


 きっぱりと、言った。


「うにゃ……」


「答えが出ない以上は……それを……」


 慎重に……『アクセラ』のギアを上げ始める。


「お前の攻撃力、そしてその防御力……」


 ちょっとでも上げすぎてしまえば……今の体力では、自滅しかねない。


「それをまるごと打ち砕く力を出せば、いい」


「…………っ」


『何か』を直感的に感じ取り……目の前の敵の表情から余裕が消えたのが、この闇の中でもはっきりと判る。


 そして俺はといえば、高揚感を内に満たしていた。


 それはこの敵とまみえてから、感じ続けていた心地よい緊張と快楽。


 命のやり取りの中でしか得られない、ぞくりとする悦楽。


 それが証拠に俺は――。


 今や、椿芽を守るためでも……自分を王子などと呼ぶ少女を救うためでもなく……。


 ただ自分の戦いのためだけに、あれだけ温存した取っておきを使おうとしている。


「……礼を言う」


「……?」


 俺は零れた血が浮いて出たシャツの胸元を小さく叩く。


「お陰で……寝ぼけていた目が覚めた」


 そう……。


 いまだ、あの学園行きの電車の中で見ていた夢の中に、片足を残していた俺は……。


 ここでようやく、覚めたのだろう。


「ふぅん……? まぁ……どういたしまして、とでも言っとくにゃ」


 目の前の敵もまた……その緊張をいっかな崩さずに、にたりと笑んだ。


 ざ――――。


 さっきまで緩く吹いていた風が――


「…………っ!」


 ――――凪いだ。


 そう――認識した時には、俺はもう動いていたのだと思う。


「ニャっ……!?」


 敵の声が低く、鈍く聞こえ……目に映る光源が尾を引いた。


 眼球の前に偶偶に居た羽虫の羽が筋に至るまで克明に見えたと思えば――。


 それは新たに、そして唐突に起こった風に煽られて緩慢ゆっくりと弾ける。


 視界が朱に染まる。


 眼球の毛細血管が悲鳴をあげ、軋む。


「……ッ!!」


 敵が右手に構えた刃を薙いだ。


『アクセラ』の世界の中で……突き出されるやいばは刃先に僅かに浮いた過去の血の跡すらも認識できる。


(どのみち、これは牽制……!)


 右手ひと薙ぎ目の挙動の段階から軌跡を隠すためにわざと大きく、自らの体でも覆い隠すように振り被られた左手の刃――。


 それは正確に俺の脇腹に突き刺さる軌道を描こうとしている。


「だが……っ!」


 俺はまだその刃を携えた左腕が力も篭りきらず、背中にしなっている程度の間に――。


「にゃっ……!?」


 左手を突き出し、相手の動きの基点である肩を軽く突き飛ばすような形で押し込んでやる。


 それだけで必要以上の力を加えられた体は、容易く動きのバランスを崩す。


 無駄な挙動がないがゆえ、バランスを崩される事は致命だ。


 普通ならばそれで横転してしまうところだろうが……。


「んぐーっ……!」


 無理に立て直そうとはせず、ただバランスだけを微調整――。


「こ……のッ……!」


 かわされた右手の刃を手先だけでくるりと返し、それで俺の右脇を抉ろうとしてきた。


(『アクセラ』の世界についてくるとは……流石だ。しかし……!)


 所詮は腕が伸びきり、陽動とはいえ力も出し切った一撃だ。


 対して俺には最初の勢いのまま温存していた右拳が限界まで引き絞られている。


「し、しまッ……!」


「遅いッ!」


 遅い。


 あまりにも、遅い。


 この……『アクセラ』の生み出す、高速にして緩慢な時間の流れの中では――。


 ――特に。


「…………ッ!!」


 着弾した拳の先端に、爆発するような衝撃と……そして硬いものが飴のようにひしゃげるような感触。


 アクセラの残滓の中……それがゆっくり……ゆっくりと離れる、不快な感触を最後に感じつつ……。


「にゃッ……ぎゃあッ……ぎゃふッ!!」


 正常な時間感覚の戻ってきた世界で……敵が何度も地面にバウンドするようにして吹っ飛ぶのが見えた。


「……………………」


 視界が朱から、まっとうな夜の蒼に戻る。


 同時に――。


「い、いかん……!」


 高揚し、麻痺した精神が冷える。


 今の感触じゃ……殺したかもしれん……!


 どう贔屓目に見ても……ヤツが防具を着用していたとしたら、それを完全に突き破り、内部を粉砕しているはずだ。


 実のところ、体力の不足のせいか存外にアクセラの発動時間が短く、どの部分着弾したか、正確には俺自身にも見えてなかった。


 咄嗟に防御をしたようにも感じられたが……。


「………………っ……!」


 駆け寄った目の前で……そいつはくるりと飛び上がるようにして身を起こした。


「フーッ……。フーッ……!」


 総毛を逆立たせるようにしながら、威嚇するように唸る。


「生きてた……か」


 とりあえず死んではいなかったことに安堵はするが……。


「お前……! その腕……」


 咄嗟に両手で防御をしたのか……『彼女』の両手はぐしゃぐしゃに、原型を留めないまでにひしゃげていた。


 そう――。


 俺は二つの意味で驚いていたのだ。


 再び雲が切れ、月明かりに照らされた『敵』は……。


「フーッ……!」


 子供……それも、どう贔屓目に見ても少女と呼べる外見だった。


「やるじゃん、お兄ちゃん。まさかここまで、ってね。思わなかったよ」


「い、いや……」


 急激な後味の悪さが全身を冷やす。


 もちろん、実際にギアなしでは危ないほどの相手ではあったのだが……。


「お、お前……それ……」


「ああ……これ? まったくもー。おにいちゃん激しすぎて、せっかくのおろしたてだったのに」


「いや、服のほうじゃなく!」


「あ……こっち、ね。うん……こっちもおろしたてだったニャりよ?」


 少女が笑むと同時に……。


「!!」


 少女の潰れた両腕が地面に落ちる。


「おろしたて……新品の両手だったのに」


「義手……?」


「うん? まぁ……そんなもんかニャー」


「……それ以外にどんなもんがあるんだか……」


「うふふ♪ それは……次までの宿題? かにゃ?」


 言いつつ……少女はそのまま踵を返した。


「お……おいっ……!」


「楽しかったよ、おにーちゃん♪ またやろーねぇ♪」


 言うなり……まるで再び吹き始めた春先の緩い風を追い越すように、行ってしまった。


「……本当、一筋縄じゃ……いかないようだな……」


 俺は苦笑しつつも、テントに戻ろうとするが――。


「あ…………?」


 がくん、と膝が折れる。


 そのまま……。


「ま…………ず……い」


 そのまま……大の字に地面に倒れた。


 酷い倦怠感で指の一本も動かせない。


(し……しまった……)


 完全にエネルギー切れだ……。


 俺はしばらくどうしたものかと考えていたものの……。


(まぁ……いいか)


 今日はそのまま……体が動くようになるまで眠ることにした。


(……………………)


 風に乗って、あの咲きすぎの桜の香りがしたが――。


 残念ながら、さすがにもう……そっちの方向に首を向けることもできない有様だった……。



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