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変態が6匹

学校にはすっかり居づらくなってしまった。

レオを庇った時にクラスメイトに殴られてからだ。

だから教室に居づらくっても後悔はないのだけど、何だか居心地が悪いというか、居場所が無いというか。

しかし、意外と苛められる事は無かった。

でもそれは俺の下駄箱に詰まってる手紙が原因だろう。

もちろん俺宛の手紙ではない。

レオ宛の手紙だ。

レオが学校に行かなくなってからというもの、ほぼ毎日俺の下駄箱はこんな有り様だ。

その手紙を袋に放り込んで学校を出た。

まったく困ったもんだ、

俺の下駄箱を何だと思ってんだよ。

レオ宛の手紙を俺の下駄箱に入れるその神経が分からん。

しかもこの手紙はクラスメイトからの物が入っている。

つまり、レオを苛めていた連中がこの手紙を書いているって事だ。

じゃあ、内容はレオを貶めるような、レオを傷付けるような内容かというと、そうではない。

ラブレターなんだよ。

まったく理解出来ない。

あの、女子のレオ嫌い攻撃は何だったんだ。

そもそも、

ラブレターを配達する人間の気持ちにもなってくれよ。

情けなくなるんだよ。

何が情けないって、もしかしたら自分宛の手紙が無いか確認してしまう事だ。

そんな事は自分でも100%無いと思うんだけど、

『万が一』

と思って確認してしまうのだ。

そして、当然俺宛の手紙は無い。

俺はこうして下駄箱を開ける度に、毎回モテない事を再確認させられるわけだよ。

そして、一番ムカつくのが表は俺宛になっていて、中を開けるとそこにはレオ宛の手紙入ってるパターンだ。

中には、

『ごめんなさい、この手紙をレオンハルト様に渡してくださ い!』

って書いてあって、丁寧なんだけど俺に対する配慮が足りないんだよ!!

そうするとまぁ、出した手紙が届かないなんて良くあることだよね。

破棄だ。

酷いって思うかもしれないが、レオの反応も似たようなものだ。

自分を苛めてきた連中にいきなり好きって言われてもな。

そして、レオの家の前に来ると、

「こんにちは!」

大きな声を出した。

「はいってー」

中から大きな声がした。

イーニャさんの声だ、イーニャさんはレオのお母さんで、、。

その、とっても綺麗な人だ。

胸もおっきいし。

ちなみに俺はイーニャさんに抱きつかれた事がある。

メチャメチャ気持ちよかった、その感触が忘れられない。

「まだ帰って来てないの、ちょっと待っててくれる?」

と言われたので、

「もちろんです」

と言った。

俺もそれが分かってて来てるからね。

レオはまだ剣術の道場い居るはずだ。

レオが来るまでの間はイーニャさんとの楽しいトークを楽しませて貰おう。

「家からお菓子を預かってきたんですけど。一緒にお茶なんて、、、」

『ガシッ!』

そう言いながら懐からお菓子を出そうとして、その腕をいきなり捕まれた!!

レオだ、

後ろには何時の間にかレオがいた。

「それは後でゆっくりと家族で頂くよ」

レオはそう言って俺の手からお菓子を取っていった。

くそ、聞いていたより早いぞ!

それから、

『まだまだだな。アケチ君』

と言われたが、アケチが誰なのかは俺は知らなかった。


それからいつも通り、レオの授業が始まった。

授業とは言っても、学校の宿題をレオの部屋でやるだけだけど。

まあ、家庭教師みたいな感じだ。

レオは俺と同じ年だけど、俺の数倍は頭が良い。

だから同じ年だけど、頭を下げて教えて貰うのに抵抗は無かった。

それにレオは、俺がいくら分からなくても、決してイライラしたり怒ったりしなかった。

そして、こうやってレオの前で宿題をやるようになってからテストの点数が激変した。

親もとても喜んでくれた。

俺としても、勉強が面白く感じられるようになってきた。

今までは下から数えた方が早かったが何とか上位に食い込むようになってきた。

それから勉強が終わると、レオに俺の下駄箱に入っていたラブレターを渡す。

「本日分だよ」

レオは無言で受け取ると誰から来たのかをチラチラ見ている。

「またマーニャからだ」

レオがうんざりした顔で言っている。

「あぁ、まだ『自分も被害者だ』みたいな事言ってるのか?」

「確実に主犯だと思うけどな」

「そもそも、マーニャは俺のお父さんの仕事を奪っておいて、『無関係です』で、済むと思っているのか?」

レオのお父さんはこの都市の下水処理の仕事をしていたのだが、急に仕事を委託されなくなってしまった、それが出来るのはマーニャの父親だ。

マーニャの父親は都市開発局で局長をしており、委託先を変える権限を確実に持っている。

「誤魔化せると思ってるんだろ?」

「だな」

レオは疲れたような顔をしている。

「マーニャが主犯だよ」

「だよな、他の女に俺を蹴るように顎で命令してるのをみたよ」

「そうか、レオを蹴った女の子だけどさ、涙を浮かべながらレオを蹴ってたよ」

「淡いピンクのパンツを履いた子か、、、」

「俺はそれが誰なのか判らないけど、、。多分そうだな」

それからレオは今までに見せた事のない顔をして、

「良いことを思い付いた」

と、言った。

「何を?」

「これから俺が書く手紙をマーニャの下駄箱に入れてくれ、ただし、下駄箱に手紙を入れてる所を誰にも見られるなよ」

レオはそう言いながらペンを持った。

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