変態が10匹
迷宮に潜るのに必要なのは武器と防具、そして食料と、
毒の治療薬とHPの回復に必要なポーション。
それと、ギルドカードだ。
ってな訳で冒険者ギルドに所属しないといけない。
迷宮で回収してお金に替えるあれこれも、ギルドでしか基本買い取ってくれない。
そういう意味でもギルドカードは必須だった。
「すみません、冒険者ギルドに所属したいんですけど」
いくつかある受付カウンターで言った。
もちろん一番素敵なおパンツを履いてそうな受付嬢さんを選んだ。
「ごめんね?何歳でも冒険者ギルドに所属してもらって大丈夫だし、ギルドカードを発行するのは大丈夫なんだけど、そのぉ」
受付嬢さんは心配そうに俺を見て言った。
俺の心は30過ぎのおっさんだが、体は11才だ。
迷宮に入る子供なんてそうそう居ないんだろう。
「大丈夫ですよ、琥剣の一級までは取ったんで」
「え?!」
受付嬢さんは驚いているようだ。
どの剣術も5級から始まって一級になると免許皆伝。
琥剣の使い手と名乗って良いらしい。
それから教えて貰った奥義の数によって、
一段、二段、三段と上がっていく。
「そ、そうなの?!本当に?」
全然信じてねぇな。
とりあえず頷いておく。
「じゃあ、読み書きは私がするから、、、」
「あっ、読み書きは出来ますから、自分で書きますね」
俺はそう言って、必要書類を受け取ると必要事項を書き込む。
住所や名前、年齢と生年月日。
最後に透明なガラス玉に触って魔力を込めてくれ、と言われたので言われた通りにする。
するとそのオーブに俺のステータスが写った。
レオンハルト
レベル1
HP102/102
MP105/105
筋力 30
耐久力 19
敏捷 28
器用 21
魔力 45
琥剣レベル5
「ホントだ、琥剣のレベルが5だ、、、」
この人信じてなかったのね、、、。
「しかも、、、。魔力高いのね?」
「そう?」
「そうだよ?!MPが水のタンクなら魔力が蛇口。だから魔力が1なら出せるMPが例え1000有ったって、たったの1しか出せないんだから、とっても大事だよ?!」
どうやら大きなアドバンテージみたいだ。
それから俺は、『へぇ』と気の無い返事をして防具を探しに行った。
とはいっても琥剣は動きやすさ重視だから皮の鎧で良いんだよね。
適当に見繕ってもらって体に合ったものを購入する。
ちなみにまだ体か小さいので女性用だ。
フェンの家庭教師をして稼いだ金を使った。
それから必要な物を買い揃えると持ち金はほぼ無くなった。
まぁ、迷宮で稼げば良いだろう。
迷宮の魔物を殺すと魔石という石が手に入って、これが換金可能なのだった。
剣は父親に買ってもらったロングソードが有る。
冒険者ギルドの奥へ進むとそこが迷宮の入り口になっている。
家には寄らなかったがこのまま迷宮に潜る。
龍剣の道場を出てから、ここに向かう途中後ろから追い掛けてきたフェンに俺の家族へと伝言を頼んだから大丈夫だろう。
フェンは何故かボコボコになっていた。
今ごろ俺のお母さんに慰めてもらって、どうせ鼻の下を伸ばしているんだろう。
迷宮の入り口に着くとギルドカード見せて、迷宮の中へと入った。
迷宮の中は薄ぼんやりと壁が光っていて明かりがなくても進むことが出来る。
そしてこれが琥剣を使っての初の実戦になる。
琥剣の特徴は猫足っていって、音を立てない歩法が特徴だ。
無音で近付いてからの一刀両断!
これだ。
迷宮で前後に囲まれての戦闘なんてやってたら、いくつ命があっても足りない。
だから出来るだけ気配を断って行動する。
これが基本だ。
剣を片手に歩く、
一階から十階までの間はトラップも無いし、当然宝箱も無い。
その代わりに、
新人向けの地図なんてものもあるし、出現する魔物も分かっている。
一階で出てくる魔物はゴブリンのみ。
俺の技量なら問題は無いが緊張してしまう。
初めてって緊張するよね。
初めておパンツを被ろうとした時、緊張したよ。
スッゴい心臓がバクバクしてさ!
そして、いざ被った瞬間のエクスタシー!!
たまらんよね!
早く龍剣をマスターしておパンツを鑑賞したいものだ。
というのも最近ヤバイ。
子供の頃は漠然と、『あぁー。おパンツ被りてぇ』って感じだったんだけど、
最近は思春期に突入したせいか、性欲の高まりが尋常じゃあ無いんだよ!
早くおパンツを見るか、被るかしないと気が狂いそうだった。
この世界で初めて被るならどんなおパンツが良いかな?
やっぱ白かな?
それとも、情熱の赤。
さっきの受付終了さんが履いてそうだった、レースをふんだんに使ったおパンツも良い。
初おパンツは大事だぜ?
何たって初だからな。
一生の記念になる。
おパンツに想像を膨らませててら緊張はすっかり取れていたようだ。
通路の先からゴブリンが歩いてくるが、
心臓は高鳴っていない。
岩場の陰に隠れてゴブリンが近付くのを待つ、
3匹ぐらいだろうか、
俺が隠れてるのが見付かる、
そのギリギリで、
地面を『グッ』と蹴って、剣を一閃!
ゴブリンの首深く剣が切り裂き、
血が吹き出す。
他のゴブリンが慌てるが、
遅い。
ちかくのゴブリンを袈裟斬りにして、
少し距離の有るところにいたゴブリンには刺突、
それらは回避されること無く、
ゴブリンは3匹とも動かなくなった。
それからゴブリンの死体は消えて代わりに魔石が地面に転がる。
ちっさ!
小指の先程の魔石だ。
しかも黒いから見つけにくいし!
とりあえず、ちまちまと拾って右手の触媒に魔力を込めて、
異空間に仕舞った。
これで小銅貨一枚ぐらいにはなるのか?
ちなみに、小銅貨一枚で十円ぐらいの感じかな、チリも積もればって感じだ。
さっさと深く潜ったほうか金にはなりそうだ。
さっきの戦闘では魔力は全然使っていないし、
この調子なら2階に進んでも何とかなりそうだ。
十階までの通路なら地図を見なくても頭に入っている。
2階には大きな蟻、『キラーアント』が出てくるそうだ。
噛みつかれるとめっちゃ痛いのと、少し固いのが難点らしい。
でも、そんなに早く動く訳でも無さそうだし、問題は無さそうだ。
階段を目指して前に進む、剣をプラプラさせてると再びゴブリンが歩いてくる、
今度は隠れたりせずに正面から近付いてみた、
魔力を使った戦闘を、スキルを使った戦闘をしてみる事に。
ゴブリンが、
『ギャウ、ギャウ』
と、喋って武器を構えると、
俺の方から突っ込んだ!
今度は魔力を使っている、
一気にゴブリンへと近付く、
体と、剣にも魔力を込めて、
『牙突!』
ゴブリンの頭部を頭蓋骨ごと剣が貫く。
そのまま一歩踏み込んで、
『爪斬!』
何の抵抗を感じる事もなくゴブリンの体を切り裂いた、
剣を振る度にゴブリンの体から血が吹き出し、
辺りを赤く染めた。
『オーバーキルだったな』
全てのゴブリンを殺した後そんな事を思った。
大して金にはならないだろうけど一応魔石を拾おうと屈む、
家もそんなにお金には困っていないけど、
有っても困るものでもない。
その時、自分の後ろから人が歩くるのが分かった。
「おいおい、乞食がいるぜ?」
3人組の先頭に立った男が言う。
ん?俺の事か?
「ほんとだ、人の倒したゴブリンの魔石を漁ってやがる」
俺が倒したゴブリンの魔石なんだが、、、。
「こんなちっせえ魔石なんか拾いやがってみすぼらしいな」
そう言って、一人の男が転がっている魔石を蹴った。
蹴られた魔石は何処かへと転がっていく。
その様を見て笑いながら3人は去っていった。
このやろー!
てめぇらのパンツは何色だ?!
茶色か?茶色なのか?
そうだな!
きったねー茶色だな!!
・
「お願いだから、ね?」
そう頼まれちゃうと断り難いんだよね、
受付嬢のセリーヌにはお世話になっている。
「分かったよ、その男の子を見かけたら少しきにしておくから」
そう言って、迷宮に潜った。
人の面倒を見てる余裕は私には無いんだけどな。
私だって駆け出しだ。
友達のアメリーと一緒に二人で冒険者になって3ヶ月。
そのレオンハルトって男の子よりは長いけど、5階までしか潜った事がない。
二人というのが良くないとは思うんだけど、私達は男をメンバーに入れたくないからどうしてもメンバーが揃いにくくなる。
そうなると二人じゃあ5階が限界、出現する魔物を捌ききれなくなってしまうのだ。
同じ敵と戦って良い時間は3分まで、
そう言われている。
というのは、バックアタックを受けてしまうからだ。
それ以上時間が掛かるなら、その階には居てはいけないというのがギルドの勧めるスタイルだ。
もちろん人数を多く揃えてバックアタックに備えるのも有りだけど、分け前が減ってしまう。
大体のパーティーが3人から4人だろう。
そしてそろそろ地下2階へと続く階段が見えてくる所で、奥の方から声がした。
「おいおい、乞食がいるぜ?」
乞食というのは、人が金にならないからと回収しないでほったらかしにした魔石を拾う輩の別称だ。
「ほんとだ、人の倒したゴブリンの魔石を漁ってやがる」
「こんなちっせえ魔石を拾いやがって、みすぼらしいな」
そう言いながら3人は階段の方へと歩いていった。
そう言われながらも男の子は気にした様子も無く魔石を拾っている。
「あんまり、拾わない方が良いよ」
一応声をかけてあげる事にした。
「でも、倒したの俺だよ?」
男の子は顔を上げて言った。
整った顔をした男の子だった。
「なら、良いんだけどね。でも、だったら迷宮にもっと深く潜った方が良いかも。ゴブリンの魔力を魔石なんて、全然お金にならないんだから。それに、此処で魔石を集めるなら外でウエイターやった方が儲かるし」
「それもそうですね」
そう言って、男の子は立ち上がった。
この子がレオンハルト君かな?
アメリーを見ると小さく頷いた。
子供が一人で迷宮に潜るなんて一人しか心当たりが無い。
受付嬢のセリーヌが言ってた子だろう。
「一緒に潜って上げようか?」
臨時パーティーって感じだ。
「いえ、大丈夫です」
「大丈夫って、、、」
普通は跳んで喜ぶような内容だと思うんだけどな、、。
私も、アメリーも容姿は整って整っていると思うし、
アメリーは猫系の獣人で、毛に包まれた耳が髪の毛の間からつき抜けている。
私だって負けてないはずだ。
ムネも大きいしスタイルだって良いはず!
しかし、レオ君は私達を無視して走り去ってしまった。
アメリーが私を見て、
「どうしたにゃ?」
と言った。
アメリーは胸は小さいが全体的に細身で、スラッとしてて、ペチャパイだ。
「どうする?」
「追い掛けるのかにゃ?」
「ちょっと、心配だしね」
「ふ~ん、まあ良いにゃ、アルマの好きそうな男だったにゃ」
「そんな事無いけどさ、一応セリーヌさんにも頼まれてるし、、」
「好きにすれば良いにゃ、私は強い男にしか興味無いにゃ」
でも、まぁ、可愛い顔をしてたよね。
きっと大きくなったらイケメンになる。
いっぱい助けて恩を売っておいても良いかも。




