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変態が1匹

この世で私が求めてやまないもの、

それは『パンツ』しかも女性物のパンツ。

パンツと言われてスラックスのようなものを思い浮かべるなかれ。

すなわち、女性用下着、これである。

私は使用済みのこれがたまらなく大好きである。

思い浮かべるだけで心が踊る。

匂いを嗅ぐだけで俺のあれは大きくなる。

被ればもうそこは天国となる。

そして今も至福の時間を過ごしていた。

全裸にて、

おっと。

全裸と言うと、語弊があるな。

頭にはしっかりと女性用の下着を被っているのだからな。

顔面にパンツ一丁。

そんな格好でリビングのソファに寝転んでいた。

家族は皆家族旅行に行ってしまい、今は家に一人きりである。

たまらない解放感、そして高陽感。

まさしく至福!

そして股間へと手を伸ばそうとした、その時、

『ドンドン!』

家のドアを叩く音がした。

「お兄ちゃーん!」

妹の声がした。

忘れ物か、、、。

まったくどうしようもない妹だな。

アイツはいい歳して、おっちょこちょいなんだよな。

「ちょっと待ってろ!」

カギも掛けたしチェーンロックもしている、慌てる必要は無い。

ボクサーパンツを履いて、シャツを着る。

そしてジーパンに足を通そうとしたその時、リビングの外に立つ母親と目が合った。

しまった。

先に顔のパンツを脱ぐべきだったか。

おっちょこちょいなのは俺だった。



それから数日後に俺は自殺することにした。

父親のため息と、泣きじゃくる母親。

そして、軽蔑の眼差しで俺を見てくる妹。

全てに耐えることが出来なくなっていた。

そして、それらから、家族から解放された時。

死んだ時には『ほっ』とした。

やっと解放された。

そんな事を思った。

しかし、ろくでもない人生だったな。

派遣社員として働いて、女と付き合うことも無く、30歳を過ぎて。

こんな仕事だから、貯金なんて全然無いし、さっさと死んで良かったのかもしれない。

しかし、もっと女性用下着はもっと愛でたかったな。

これが唯一の心残りか、、、。

「おい!」

いきなり声を掛けられた。

目を凝らすと目の前には女性がいた。

白いローブにスタイルの良い女性が見に包まれている。

下着は、、。

履いてないな。

くそ、履けよな!

『チッ』

「はぁ、お前は本当に変態だな」

その女性は言った。

あれ?心の声が漏れてる?

「何でお前はあんなもんが良いんだ?下着を集めてどうするんだよ」

女の人は呆れてるようだ。

うっせーな。好きなもんはしょうが無いじゃん!

だって好きなんだもん。

「何を好きでも良いけどさ、良くないと思うよ、どうせ盗んだりしてんだろ?」

おいおい!

俺は下着を盗んだ事なんて無いぜ!

信頼出来るルートから購入してるに決まってんじゃん!

それに、外に吊るしてある洗浄済みの下着を俺が盗むと思ってんのか?!

バカじゃねえの!

洗浄済みには意味がねぇんだよ!!

興味ねぇんだよ!

「はぁ、可哀想に、、、。こんな変態になったら母親もそりゃ悲しむよ」

うっせーな。

余計なお世話だよ!

「まぁ、もう少し勉強が出来て、もう少し人間っぽいルックスだったらこんな変態には成らなかったのかもしれないな」

おいおい、勝手に人を哀れむなよ。

「いやいや、不細工で頭の悪いお前を産み出した、この神にも原因があるかもしれない」

え?神?

「そうだ、私が神だ。

お前に、

女性に絶対に好かれる事の無くなるフェロモンを与え、

絶対に痩せることの出来ない体を与え、

そのような哀れな顔を与え、

どんなに努力をしても物事を理解出来ない頭を与えたのが、何を隠そうこの私だ」

お!お前ぇ~!

「次はイケメンで、天才に転生させてやろう。次はもう変態にはなるんじゃあないぞ」

てめぇ!その前に一発殴らせろ!!




「お兄ちゃーん」

妹のエリーが俺の足にしがみついた。

俺がエリーの頭を撫でると、エリーは嬉しそうに目を細めて、

「エリーは、お兄ちゃんと結婚するの!」

と言った。

「駄目だよ、エリー。兄弟同士は結婚出来ないんだよ」

僕がそう言うとエリーは、ブスッとした顔になって、

「お兄ちゃんなんて嫌い!好きだけど!」

と言って走り出した。

ドタドタとおぼつかない様子で走ると、案の定転んだ。

スカートの中のパンツが少し見える。

全く、しょうがないな。

この時、少し胸の中でざわつくものを感じたのだが、それは無視した。

「大丈夫か?」

僕はそう言って左手をエリーに差し出す。

「ダメー!痛いからずっと抱っこしてー!」

エリーはそう言って僕の首にしがみついた。

「はいはい」

僕はそう言って、右手に持っていた剣は指輪に魔力を込めて、異空間に仕舞まってから、エリーを抱っこする。

この指輪は魔力を込めるだけで、異空間へとアイテムを仕舞う事が出来る素敵アイテムだ。

これはお父さんに頼み込んでやっと買って貰った宝物だった。

この指輪は媒体と呼ばれていて。

他の媒体だと、火を起こしたり、水を出したり、様々なことが出来る。

この、火を起こしたり、水を出したりする媒体は割りと手に入りやすいのだが、このアイテムを仕舞える媒体は貴重品だった。

この異空間には色んな物が仕舞ってある。

人が見たらつまらないと感じる物だけど、僕には輝いて見える、そんな物が一杯入っていた。

石ころだったり、動物の骨だったり。

そんな集めた物をたまに引っ張り出しては1人で鑑賞している。

俺はコレクションするのが趣味だった。

しかし、最近何だか物足りなく感じるようになってきた。

何だろう。

何故、物足りなく感じているのだろう。

まぁ、いいや。

きっと石や、動物の骨をコレクションするのに飽きてきたんだな。

僕の興味は媒体に移っている。

この不思議な力を持つ媒体をコレクションしたくなっていた。

だからだな。

そうだ、そうに違いない。


エリーを抱えたまま家に入ると夕飯の支度がされていた。

「ただいま」

「お帰り、レオ。エリーはお兄ちゃんの邪魔をしなかった?」

「エリーは良い子にしてたよ」

お母さんはご飯の支度を終わらして椅子に座っている。

「なら良いけど、お兄ちゃんはこの国で偉い人になるんだからにね、邪魔をしちゃあダメよ」

お母さんは言った。

「わかってるもん!」

エリーは頬を膨らして言う。

「お父さんは?」

「今日は遅くなるって言ってたから早いけど早めに頂きましょ」

そう言ってお祈りをしてから食事をする事になった。

お母さんの手料理はとても美味しい。

自家製のパンとスープ。

美味しいとお母さんに言うと、

『貧乏でパンが買えないだけよ』

と、言うのだけど。

しかし、これがとても美味しいのだ。

だけれど、最近この食事が何故か物足りなく感じているのだった。

前はもっと違うものを食べていたような、、、。

いや、そんなバカな。

『前は』なんて、僕は産まれてこのかたこの家を出たことなんて無いのだから。

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