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天才・新井場縁の災難  作者: 陽芹 孝介
第一部 プロローグ
5/71


……午後8時…レストランジョア……



「何だって?!京都に行く?!」

縁の驚きの声がレストラン内に響いた。

他の客が縁と桃子の席を、不機嫌そうな表情で見ている。

他の客の反応に我に帰った縁は、恥ずかしそうに小声で桃子に言った。

「何しに行くの?…まさか…」

桃子は縁の表情を見て言った。

「もちろん取材だ…。次回作の…」

縁は頭を抱えた。

「やっぱり…」

桃子は食事をしながら淡々と言った。

「縁…お前、どうせ夏休みは暇だろ…」

「勝手に決めつけるなっ!…。そうか、俺を京都に連れて行くためにディナーを…」

縁が状況を察した様子を見て、桃子はニヤリとした。

「ふふふ、お前…けっこうな量を食べたな…」

縁は激昂した。

「きたねぇぞっ!食いもんで俺を釣るなんて…」

縁の言葉に、またもや他の客が視線を集める。

桃子は淡々と言った。

「縁…他の客に迷惑だぞ、あまり騒ぐな…」

「あんたが俺を騒がしてんのっ!くそっ!また飯に釣られちまった…」

桃子はニヤニヤしてる。

「お前、頭は良いんだが…何処か抜けてるな…」

「あんただけには言われたくねぇよ…」

桃子は言った。

「まぁいいじゃないか…私のような美人と京都に旅行へ行けるんだぞ…。喜ばれはしても、怒られる理由がわからん」

縁は頭を抱えた。

「どの口が言ってんだ…」

「まぁ、観光のつもりでいい…、今回は神社仏閣の雰囲気を感じ取れればそれでいいんだ」

「だったら一人で行けよ…」

桃子は少し寂しそうに言った。

「縁…そう言わないでくれ…。私はお前と京都に行きたいんだ。一人だと寂しいだろ…」

縁がごねたら、桃子が寂しそうにする。これもいつもの光景だ。

縁は観念した。

「わかったよ…。行くよ、もう飯も食っちまったから…」

縁の返事に桃子の表情は一気に明るくなった。

「そうか…行ってくれるか…。お前が一緒だと私も安心だ」

「俺は、あんたと一緒だから不安だ…」

こうして、この奇妙な二人組の京都旅行が決定した。

しかし、この二人組の行く先々では…必ず何かが起こる…。

もちろん、今回も例外では無かった。


この度は『天才・新井場縁の災難』を御閲覧ありがとうございます。


こちらのサイト、小説家になろう様ではPCユーザー様の割合が多いようなので、今作は行を開けずに詰めてみました。


読みにくいなどのご意見がありましたら、直しますので…Twitter等にご意見ください。


小説の感想などはこちらのサイト小説家になろう様にてお願い致します。


choiceシリーズに続きこの作品も、展開が遅いかも知れませんが、最後までお付き合い頂ければ、幸いです。


陽芹 孝介。

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