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天才・新井場縁の災難  作者: 陽芹 孝介
第一部 プロローグ
4/71

桃子はニヤニヤしながら言った。

「縁は今晩予定は?…空いてるか?」

縁は嫌な予感がした。

「な、何だよ?…また俺を、訳のわからん古びた屋敷や、変な伝説がある田舎に連れて行くつもりじゃ…」

桃子は表情崩す事なく言った。

「その言いぐさは少し引っ掛かるが…まぁいい。そんな事より、今晩美味い物…食べたくないか?」

縁は桃子の言う『そんな事』で、これまで散々な目に合っている。しかし、今回はどうやら違うようだ。

縁は言った。

「何だよ?何か食わしてくれんの?」

桃子は満面の笑みだ。

「ああ、勿論だとも…。縁には日頃世話になってるからな、私の受賞記念も兼ねてディナーでもしようじゃないか」

店の奥から話を聞いている巧は呟いた。

「またか…」

巧が呟くように、桃子が縁を食事に誘ったり、何処かに招待する時は…たいてい何かある。

縁は頭も切れて、賢いが……縁はおそらく、今晩のディナーで頭がいっぱいだ。

案の定縁は言った。

「ディナーか…洋食?和食?それとも…中華?」

巷では天才だの、スーパー高校生だの言われているが、こういうところは、まだまだ子供だ。

桃子は言った。

「今晩…そうだな、7時に縁の家に迎えに行く。ディナーの場所は、『ホテルユリネ』の最上階のレストランだ」

縁は目を丸くした。

「何ぃっ?!ホテルユリネの最上階のレストランって…ま、まさか?!」

桃子はニヤリと言った。

「そうだ…『レストランジョア』だ」

縁は感動のあまり、言葉が出ない。

縁が感動するのも当然で、『レストランジョア』とは、多くの芸能人や著名人御用達の五ツ星レストランだ。

この町一番のホテルの最上階に位置し、出てくる料理は相当な値をはる、文句なしの高級レストランだ。

巧は呟いた。

「ますます怪しい…」

そんな巧の心配をよそに、縁は興奮している。

「桃子さんっ!スーツか?スーツでいいのか?」

縁の反応に満足した桃子は、笑顔で縁に言った。

「そうだ、高級レストランだからな…それ相応の格好でなければ、門前払いだ」

そう言うと桃子は立ち上がった。

「では、縁…7時に迎えに行くからな」

縁にそう言うと桃子は、縁の分も会計をすませ、喫茶店を出ていった。

巧は縁に言った。

「お前…また引っ掛かったな…」

縁には巧の言葉は耳に入っていないようだった。

「たっくん、どんな料理かなぁ…美味いんだろなぁ…。俺、行った事無いから…楽しみだよ…」

縁は今晩のディナーで頭がいっぱいだ。

巧は呟いた。

「ダメだ…こりゃ…」

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