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天才・新井場縁の災難  作者: 陽芹 孝介
第一部 プロローグ
3/71

店内に現れた女性は、今テレビに写し出されている、小笠原桃子だった。

小さな町の喫茶店に、時の人が現れたというのに、縁も巧も驚いた様子は無い。

桃子は言った。

「縁…テレビ見たか?」

縁は愛想なしに言った。

「今見た…」

巧はニコニコしながら言った。

「ちょうど今、その話をしてたところさ…」

巧の言葉を聞いた桃子は、実にご機嫌な表情になった。

「そうかそうか、私について話をしていたのだな…うんうん…」

ご機嫌な桃子は縁の隣に座った。

「マスター、アイスティーをくれ…」

巧は言った。

「少々お待ち下さい…先生っ!」

巧は上機嫌な桃子をさらに乗せる感じで言った。案の定桃子の機嫌はさらに良くなった。

「縁…私はとうとうやったんだ…」

縁は相変わらず、愛想無しだ。

「わかってるよ…賞、獲ったんだろ…。見たくもないのに、あんだけ毎日テレビやってたら、嫌でもわかっちゃうよ…」

愛想の無い縁に、桃子は言った。

「どうした?縁…元気が無いようだが…」

「別に…」

桃子は何かを感じ取ったのか、ニヤニヤしながら縁に言った。

「ははぁん…わかったぞ…」

縁は憮然として言った。

「な、何が?…」

「お前…、私が有名になったから、もう私に会えないと思い、落ち込んでいるな?」

あまりにもトンチンカンな桃子の言い分に、思わず縁はテーブルに付いた肘を滑らした。

「あのなぁ…何でそうなるんだよ?」

桃子は縁の突っ込みを気にする事なく言った。

「心配するな縁っ!どんなに私が有名になっても、お前と縁を切るような事は絶対にしない!」

縁は呆れた表情で言った。

「もういいや…」

その頃、ちょうど巧がアイスティーを桃子に持ってきた。

「どうぞ先生…アイスティーでございます」

巧に先生扱いされている桃子はご満悦だ。

縁は巧に言った。

「たっくん、あんまりこの人…乗せないでよっ、すぐ調子に乗るんだから…」

巧は言った。

「だって、面白れぇじゃん…」

縁は言った。

「俺の身にもなってよ…」

「まぁ、賞獲ったのは事実なんだから…良いじゃんっ!」

そう言うと巧は店の奥に行ってしまった。

縁はご満悦な桃子に言った。

「桃子さん、何しに来たの?」

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