いつもの風景
俺と舞花が家を出ると
「おはよう空、舞花ちゃん。」
「おはようございます。」
丁度同じタイミングで伊恵からでてきた彩夏と雅ちゃんが挨拶をしてきた。
「おう、おはよう。」
「おっはよーございます♪」
俺たち二人も同じように挨拶をかえす、いつもの風景だ。
「今日も二人は朝から元気だったね。」
「ん?あー、悪かったな朝から五月蝿くして。」
「ううん、ちょっとした目覚まし時計みたいなものだから、僕は気にしてないよ。」
「嫌、ホントに悪かった。雅ちゃんもゴメンな家の目覚まし時計がうるさくて。」
「いえ、お兄ちゃんも言いましたが気にしてませんよ。早起きは三文の徳っていいますから♪」
本当に雅ちゃんはいい子だ。こんな妹がいる彩夏がうらやましいぜ。
「そうだよ兄ちゃん!兄ちゃんも雅ちゃんを見習いなよまったく!!」
「…………そうだな、心優しい雅ちゃんを見習って御近所様に迷惑をかける目覚まし時計(舞花)は壊してしまうか。」
それに引き換え家の妹という名の災害は本当にダメな子だ、まったく。
「痛たたたたたたたたたたた!!?ちょ、兄ちゃん流石に二回目の挨拶は私のキャパシティを越えちゃうよ!?」
「…………まだ静かにならないなこの舞花(目覚まし時計)、電池を抜いてしまった方が早いか?」
「ちょっと待ってー!流石の私でも電池抜かれたら動かなくなるよ!!!しかもさりげに比喩表現かえてるし!」
結構力を入れてるのにまだ壊れないか。チッ、いつもの躾と特訓でムダに頑丈になりやがって。
「あ、あの空さん。」
「ん?何雅ちゃん?」
「そろそろ許してあげてもいいんじゃないですか?舞花ちゃんも悪気があっていった訳じゃないと思いますし。」
「……わかった、雅ちゃんがそこまで言うなら」
俺は壊れかけ(元々)の舞花をはなしてやった。
「痛たたた、雅ちゃん助けてくれてありがと。やっぱり私達は親友だね!」
「……急がないと学校に遅刻しちゃいそうだったから。」
「……え?助けてくれた理由って遅刻の心配なの雅ちゃん…………。」
雅ちゃん照れ隠しの一撃、舞花Aに痛恨の一撃、舞花のライフはゼロになった。
「アハハ、本当に二人は仲良しだよね。」
「まぁあの二人は相性がいいからな。」
「だね、ただそろそろ行かないと本当に遅刻しちゃうね。」
そんな事を言った彩夏は膝から崩れ落ちた舞花とそれを心配してオロオロしている雅ちゃんに、
「舞花ちゃん、遅刻したら今度の休みに買い物行ってあげないよ。雅も遅刻したら【空が】先生に怒られるよ?」
いや彩夏、何故俺だけが先生に怒られるフラグをつくる。……まぁ、舞花はそれで立ち直るのはわかるが雅ちゃんがその程度で急ぐわけ
「「ほら、彩夏さん(空さん)早くいきましょ!」」
ってめっちゃ動くの早いな!?今の一瞬で10メートルは先に行ってるんだけど!雅ちゃん加速装置とかついてないよな?
「よし、じゃあ行こっか空。」
「…………ああ。」
いろいろ突っ込みたいが、そんなこんなで俺たちは学校に向かった。