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6.女神様のメシがまずい

※今回は閑話なので読まなくてもストーリーに影響ありません

 ヒキコモリ狩猟法の開発成功によって精神的余裕が生まれると、ひとつ解消したい事項について考察する時間ができた。


 メシがまずい。のである。


 トレーニング中はちゃんとした料理が提供されていて、日本より味が薄いなー、程度の認識だったんだけど、保存食、これがとんでもなくまずい。


 例を挙げると、


・ビスケット 評価1 徹底的に水分が抜かれ手で割れないほど堅い。味はない。さらに獣脂の酸化した臭いが鼻に突く。アブラで栄養追加することが目的で味は考えてない。ハンマーで砕いてお湯に溶かし、お粥で食うものだが、ゆでてる途中で酸化臭に参る。悲惨なことにコレが主食である。


・塩漬け肉 評価2 夕食のメインディッシュ。桶で半日塩抜きし茹でてから食すが、それでも強烈な塩味しか感じない。鍋から取り出だすと肉に塩が浮く。さらに樽詰めのため、木の香りと混じり合い得も言われぬ芳香を放つ。茹でても堅いが噛めないほどではないので多少評価が上がる。


・エール 評価3 端的に言うと、気の抜けたビール(常温・苦みなし)+強めの酸味+木香。まあ飲めないことはない。


 唯一ドライフルーツはおいしいけど、満足できる食品はこれだけ。坊ちゃん育ちなんです、日本人は。


 これしかないなら我慢もするが、悩みの元は四次元タブレットの召喚可能一覧に食品も含まれていることである。といっても野菜そのものなどはなく、基準としては外気と触れないよう密閉されているものが「製品」して召喚可能なようだ。


 しかし懸念事項がある。「3日で分解するのに食べても安全なのか」ということだ。


 ここでこれまでに召喚したものの経過を見てみよう。

・生石灰は反応し消石灰となって残っている。使えるようになった鑑定魔法で鑑定済み。

・密閉服は古紙のようボロボロになっている。その欠片の鑑定結果は「ポリエチレン」


 原子レベルまで分解されている訳ではない。化学反応も起きる。というのが現在分かってる内容。


 では単一元素のダイヤモンドや純金を召喚した場合どうなるか? まだ私では出来ないので女神様に相談だ。


「女神様女神様、メシがまずいです」

「そんなことで連絡寄越すな!」

 心の中にすぐに返事が返る。さすがだな、女神様。


「切実な問題なんですよう、元日本人はメシのためなら大抵の事はするんです」

「そんなにまずい? 旅人は文句もなくそれと同じもの買ってるみたいだったけど」

「飢えた方がマシに思えますね。我慢して食べてますが。で、相談なんですけど、タブレットで日本の食べ物が召喚出来るんですよ。でも、分解するのに食べて大丈夫なのかな、と思いまして」

「私以外の複製魔法はリミッターかけてるから分解は我慢してね。でも複製した物を食べて問題起こったことは無いから大丈夫よ。ああ、下界では複製魔法は失伝してるから人前で使わないように」

 こっちのメシなら大丈夫っぽいね。でも不安なのは添加物や化学調味料の入った日本の食料製品なんだよね、添加物が分解し、他の物質に変化して毒にならないか。


「使用制限の件は承りました。でも複製魔法の事もう少し教えてください。複製物が分解した時の欠片って、どれくらいの大きさと重さになるんですか? 例えばダイヤモンドや純金を複製したとき」

「ダイヤモンドは小麦粉みたいになって、金は砂粒くらいに砕けるわね」


 ふむ。おそらく原子や分子の結合に要するエネルギーが高いほど細かく分かれるのではなかろうか。

 つまり例えば一定の粒単位で原子をギュっと圧縮。ダイヤモンドは圧縮のエネルギーが高いので粒が細かくなる。その圧縮粒を魔法ファンデルワールス的なにかで繋げ物体全部として複製、魔法ファンデルワールス効果が切れると圧縮粒になる。みたいな。

 その後も女神様に嫌がられながら複製物の粒の最小単位を聞き続け、何を食っても問題なかろうという確信を得ることとなりました。


 なお、当日喜び勇んでタブレットで召喚を試みたところ、召喚できる食品は「もやし」程度しかありませんでした。

 そこに女神様よりお言葉が。「ざまあみろ」。言葉が悪いですよ、女神様。

ファンタジー世界のメシ事情と物質召喚に対する考察でした。

化学や物理的には文系エセ考察なので悪しからず。

次回も閑話の予定です。

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