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11.反省会

 例の件が終わった直後はかなりナーバスになっていたが、2日経って精神状態も通常に戻りつつある。目的地へ向けて歩を進め、女神様より到着を告げられると同時にある提案をされた。

「もう気持ちの整理もついたよね。アミラ、反省会をしましょう」

「そうですね。かなり無様なさまをさらしてしまいました。反省点は多いです」

 なんだか会社にいた頃を思い出して少々複雑だが、問題点を把握して解決しないとこの先不安ばかりである。早速ハウスに入って反省会が始まった。


 ざっと思いつく反省点はこんなところ。


・状況把握を怠る

 今使える魔法の中にも生体感知、魔物感知など索敵に役立つものがあったが、利用を思いつかなかった。レーダーがあるのに聴音で敵機を探してたようなものだ。


・急変事態に冷静な対処ができない

 例えばのしかかられてた時に火柱の魔法で灼けば脱出はできたし、腕の拘束も後にやったように空間転移で切れたはず。とはいえこれを実行するのは容易ではない。だって経験がない事に対処するのは試行錯誤、トライ・アンド・エラーを繰り返して経験積むものだもの。あとは想定事項をいくつも積み重ねてフローを作るしかないんじゃないか? 今のアタマなら作ったフロー全部覚えられそうだし。とはいえ事実は想定を越えるものだからなあー。地震とか。


・痛みに対する耐性がない

 これは元日本人としてはしょうがないと思う。回復魔法を頼りに自傷を繰り返して痛み耐性をつけるとか改善方法はあるけど、ぞっとする方法だ。


・危機感が薄い

 これは経験を積みました。万全とは言えないけどレベルアップはしたんじゃないかな?


・感情にまかせた行動を取る

 気持ちの整理がついた今だから言うが、奴らには正直スマンかった。この修羅の世界だからブチ殺すのは確定として、もっと楽に逝かせてやるべきだった。でも訓練の検体としては感謝。良い肉人形だったよ。

 しかし感情的行動で危機を招くことは多々あるからな。こればかりは意識して理性を鍛えるしかないと思うが。


「と、こんなところですかね。ホワイトボードがあれば要点整理できるんですけど」

「そっちの様子は見られるから召喚してみて。どういうのか興味ある」


 召喚したホワイトボードを使って会議(脳内) with 女神が続いた(会社員時代のようで凄い違和感があった)が、結論としてはこうなった。


・とにかく頑張る


 ああ、なんというか、本当に。会社か。

 とはいえ索敵方法など簡単な解決手段があるものを除いて『人類永遠の課題』並の問題なので、やはり経験を積み自制するしかない、という事になる。ちなみに自傷訓練は「そこまでしなくていい」と幸いにもお流れとなった。

 まあ反省会そのものは問題の把握が出来たので無駄ではなかったです。


 続いて今後の方針の検討に入る。今の私では使える魔法があるのに、最善のものを選択する経験が足りていない。今後はスライムの様に待つだけでは対処できないと想定されるので、適時女神様との相談タイムを設けるべきだ。

 例えば初めて見る魔物が居たとしよう。今までの私なら迷わず火柱を使うはずだ。だが仮に火柱の火力で倒せないが、他の魔法なら楽に倒せる、という事実がある場合火柱では効率が悪いし最悪魔力が切れて危機を招く。


「ということなので、少しウザいかもしれませんが、今後魔物を見かけたりしたときとか、ちょくちょく呼び出しますんでよろしくお願いします」

「いいわよー。でも毎日話す訳じゃないのよね?」

「場合によっては毎日になると思いますが、やっぱウザいですか?」

「逆、逆、毎日お話ししたいと思ってるの。例えば今、男に触れられたとしたらどうなる?」

 想像してみる。

「……多分、吐くと思います、というか今想像して吐きそうです」

「あ、ごめん。今の忘れて。でも毎日お話ししないと人との接し方忘れそうだから。圧倒的な力量差があると確信してないと人と直接会うのは辛いでしょ? でも実力がついて人と会うようになったとき話せないと困るし、毎日お話しする機会を設けないと」

「うーん。女性なら問題ないですし、男も話すだけならいけると思うんですけど、わかりました」

「この周辺は町から離れてるけど、たまに冒険者もやってくるみたいだから、その時はすぐ隠れてね」

「……確かにまだ直接遭遇するのは不安です。でも警戒してても無駄なときも……。ああ、そうだ。腕輪に扉を介さず意識するだけで直接避難できる機能があればいいんだ。そういう機能ないですか?」

「考えたことなかったわ。でも魔法的にはできるわよ。ただ私がそこに直接付与はできないからアミラがやってね」

「え? ……ああ、なるほど」

 一瞬「できない」と答えそうになったが、アタマに刷り込まれた魔法知識から新たな機能の付与に関する感覚がぼんやりわかる。一発では成功しそうにないけど何回か試せばいけそうだ。何度かの失敗の後、緊急避難の付与も完了した。新たな魔法の創造ももう少し慣れてきたらできるんじゃないかと思う。


 その後は付近の魔物情報などを確認し会議はお開き。今日はそのまま休養となった。ジャージに着替えメシと風呂を用意しながらとあることについて考える。……元男なのに男性恐怖症になるとはなあ。ジョイスティックの感触ははっきり覚えてるんだけどなあ……。

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