蹂躙する援軍
そう言えば私、ネット小説書いてました。
――――私は夢を見ているのだろうか
スピーカーから発せられた軽い口調は一方的な暴虐が尽くされようとしているこの場には相応しくないが、私達に味方してくれるのであろう見たこともないタイプの重装甲を纏ったその機体は、腰部に付けられたナイフを取り出すと余裕を振りまくように王国軍に向かって"飛び出した"。
突如現れたその思わぬ援軍は地表を這うようにして飛行し、エレメント(二機編隊)を組んで突出した謎の機体を迎撃しようとしていた王国軍の『マクシミリアン式デバッカル』の内一機に、狙いを付ける素振りすら見せずにナイフを投擲した。
その直後、王国軍のデバッカルは"エレメントを組んだ二機共"が崩れ落ちるように地に伏せた
――――何が起きた!?
『マクシミリアン式デバッカル』とは『溝付甲冑』と呼ばれるタイプの甲冑装甲を身につけているために一撃が通りにくく、基本的に装甲の一部を狙い撃ちし攻撃を通すのが普通だ。
ガン・アサルトと呼ばれるデバッカルを召喚した際に装備されているアサルトライフルでも一つのマガジンに装填された50発の弾丸の内10発程同じ箇所に打ち込まなければダメージを通すことすら難しいのに、ナイフを一振りで、それも二機もだと!?
「レ、レリーシア様。これは一体……」
「私にもわからないが、目で見たことを理解しようとするのならば常識外の事が起きているとしか……」
エレメントも組まずに、エレメントを組んだ相手に立ちまわる。
それは一人が攻撃役になり、もう一人が支援に回るという最も効果的な戦術を一人で打破するという私達の常識では測れない物だった。
そんな事を考えている間にもその"援軍"は空中に向かって手を差し伸べたかと思うとその手が淡い光に包まれ、銃身が剥き出しになり、銃口が六つ纏められた見たことも無いライフルを召喚した。
戦闘中に武器を召喚……?
いや、きっとこれもあの機体を操る者にとっては当たり前の事なのだろう。
最初に取り出したナイフを入れてあったナイフシース以外には重厚感を極限まで押し出した赤色を基調とした黒色の混じった装甲以外には肩部についたボックス等以外に武器が追加されているようには見えない姿をしていた。
ならば召喚術は歩兵のライフル一丁を召喚するに魔力に才のある者が一日掛かる事や、一方的に召喚するだけしか出来無い事もあの機体には通じない常識なのだろう。そうなのだろう。
また思考が飛んでいた。戦場で私は――――
待て、何故私は戦場に立ちながらあの機体を"観察"出来ている?
何故、自らの機体を動かし援護もしていない?
何故、自らの機体を動かし回避行動もしていない?
何故、敵がこちらに"一機たりとて向かってきていない"?
「は、ははははは。む、無茶苦茶だ、こんなのは」
「レリーシア様!お気持ちはわかりますがお気を確かに!」
簡単にわかる事だ。
あの機体は敵の二個小隊、六機を相手に私達の援護を必要と考えさせないような巧妙な動きで敵を翻弄し、先ほど召喚していたガン・アサルトとは比べ物にならない程の連射力を持つライフルで一方的に敵を蹂躙していたのだ。
デバッカルの搭乗員であった先人達の教えとして、全世界共通の言葉がある。
『数が二つ違えば敗走し、三つ違えば殲滅される。』
本当にこの言葉はデバッカルが生まれてから起きた五百年の戦争から生まれた言葉なのだろうか。
お気に入りが二人に増えてる!?いつの間に!?
大変おまたせして申し訳ありません。更新が遅すぎて最早目を通して居ないかも知れませんが、お気に入り登録ありがとうございます!