第一話 最も公平な場所
小説を書きたい書きたいとずっと思っていましたが全く書かずに早20年、やっと重い腰を上げました!
人生の殆どを格闘技と共に歩んできた私がずっと疑問に思っていた"最強の格闘技"とは何か。AIを使用して勝敗を決定し最もフェアに最強の格闘技とは何かを長たらしく拙文として排出しています!
つまらないかもしれませんが是非お付き合いくださいませ。
無機質なコンクリートの壁
打ちっぱなしの壁にもたれて汗だくの頭をタオルで拭う
「今日の練習もキツすぎでしょ」
1人で呟く 練習で熱った体にコンクリの冷たさが染みる
「いつになりゃこっから出られんだよ」
誰も答えない、当たり前か、俺以外この部屋には居ない
名前はレイ 歳は19…だと思うカレンダーのないこの部屋では確かめようもないが、誕生日であろう日が来るたびに"あの人"がビデオレターを送りつけてくる。
部屋の端に積んであるビデオレターの束を指で数える。
俺は生まれながらに親に捨てられた孤児らしい。
10歳までは養父にこの施設で面倒を見てもらっていた、朧げな記憶しかないがとても幸せな時間だった。
だがあの日、10歳の誕生日、俺の人生は最悪なものになった。
"あの人"が俺の前に現れた。
俺に告げる
「君にはこれから格闘技を学んでもらうよ」養父から引き離され虫すら殺したことのない俺はゴリゴリのオッサンとたった2人きりでレスリングとか言うむさい格闘技を延々とさせられ続ける羽目になった。
あいつ、絶対いつか締め殺してやる。
そんな事を考えていると目の前にオッサンがやってくる
「レイ、体を冷やすな!早くシャワーを浴びろ」
このオッサンいちいち語気が強いんだよ
「ハイハイわかりましたよ」俺はそういうとシャワー室に向かった。
熱々のシャワーを浴びながら項垂れる、いつになったらあのオッサンに勝てるのやら
体もかなりゴツくなってきた、腹筋は綺麗に6つに割れ、手も豆だらけ…なのに勝てない。10歳から常に戦い続けて来たのにも関わらず勝てるビジョンが見えない。
「大体あのオッサンがデカすぎんだよ体重何キロあんだよ…」呟いているとオッサンが怒鳴りつける
「レイ!ブツクサ言ってないで、飯にするぞ!」
最悪の時間が始まる。飯は練習よりキツい。俺はシャワーを止めて体を拭きながらシャワー室から出る。
「良い体になって来たなレイ!俺は嬉しいぞ」
俺は嬉しくない、ハハっと乾いた笑いで返事をする。
「さぁ!レイ!たくさん食えよ!」
テーブルの上に所狭しと並べられた肉、魚、野菜のたくさん入ったスープ!その全てが薄味で食べ切らないとオッサンに投げ飛ばされる…地獄だろ!と思いながら「いただきます」と手を合わせる。
「ついぞその癖は治らなかったなレイ」とオッサンが言う。
「いただきますのこと?何回も説明してるけど、俺の国では食べ物に感謝を込めてこの挨拶をすんの」
このオッサン確かロシア出身なんだよな。ロシアがいまいちわかんねぇけど。
「私の国では作ってもらった人に挨拶をするのだよ」「何回も聞いたよ!………作ってくれてありがとう、いただきます」俺は小さく礼をする
「ハハハ!素直じゃないか!レイ!」
「うるせーよ!」
なんて会話をする。地獄みたいな飯の量だけど、オッサンは俺が養父と離れてからずっと優しい。
「なぁレイ、お前ここから出たいか」オッサンが真剣な顔で言う。
「そりゃ出たいに決まってんだろ!毎日毎日寝る以外はトレーニング!たまの娯楽はレスリングのビデオ鑑賞!頭おかしくなるっつーの!」オッサンに噛み付く
「一つある…出る方法が」苦虫を潰したような顔だ
「あんなら教えろよ、勿体ぶらずによ」
「あるトーナメントに出るんだレイ」
「トーナメント?なんだよそれ」
「詳しいことはこのビデオをみろ」ビデオレターを渡される。
「なんだよまたビデオかよ!どーせ"あの人"からだろ」俺は文句を言いながらこの部屋にある唯一の娯楽であるテレビに向かって歩く。
ビデオデッキに先ほどのものを挿入しテレビの電源を入れる。
しばらくして憎くてたまらないあいつの顔が映る
「やぁ!レイ!元気かい」溌剌とした様子でこちらに挨拶してくる中肉中背の中年男、顔には趣味の悪いサングラスをしている
「うん、うん、元気そうだねぇ!いいことだ!」なんだこいつ…やっぱムカつくぜ。
「良い話を持って来たんだレイ!明日で誕生日だろう、二十歳のプレゼントとしてトーナメントの参加権をあげよう!」?さっきオッサンが言ってたやつか
「君"達"は10年間も頑張ったからね!晴れ舞台を用意してあげないとね!」達?こいつ今"達"って言わなかったか?俺みたいなことさせられてる奴が他にも居んのかよ…
「トーナメントの日時は追って発表するがそんなに時間はかからないだろうねぇ、あぁ!楽しみだ!」
「おっと感極まってしまったよ、詳細を話そうね!
君たちは実は最強の格闘技を決めるために、ずっと訓練してきたんだよ!」
男は楽しそうに笑う。
「トーナメントで様々な格闘技と闘ってもらう。そこで“最強”を決めるんだ」
……は?
格闘技?
レスリング以外にもあんのか?
理解が追いつかない。
「試合の決し方は簡単だよ。相手が戦闘不能になるまで」
男は軽い調子で続ける。
「あと、負けたら殺されるから気をつけてね!」
――――。
一瞬、音が消えた気がした。
殺される?
今、そう言ったのか?
テレビの向こうの男は、まるで明日の天気でも話すみたいな顔をしている。
その後もペラペラ喋ってやがったけど、負けたら殺されると言う言葉に面食らって何も頭に入ってこない。毎日地獄のような日々を過ごして、しまいには殺し合いをさせられるのかよ…最悪だ。
「驚いて話を理解するのを放棄する子も多いだろうから予めビデオレターの袋にルールを書いた紙を入れてあるからね!」
「ではまた会おう子供達!あの最もフェア場所で待ってる!」そう言ってビデオは終わる。
俺はオッサンにタックルを仕掛ける。風を切る俺の身体がおっさんの膝下に突き刺さる。オッサンは初めて俺にテイクダウンを許した。
「すまない、レイ。これは決まっていた事なんだ」
こんな弱々しいオッサンは初めてみた…でも、納得できねぇ、他に格闘技がある事も知らなかったんだぞ!
「大体オッサンはあの人とどう言う関係なんだよ!」
俺は怒号をあげる
「あの人は…そうだな父だよ、私の。だから私は父に従うしか無いのだよ」とオッサン。何言ってやがる、どう見てもオッサンの方が年上だろう。
「それに…気にしても仕方ない、事だ!」マウントポジションを取っていた俺がブリッジで跳ね飛ばされる。俺は壁際まで吹っ飛んだ。
「くっそ!」俺は素早く体制を立て直しオッサンの前に立ちはだかる。
しかし、オッサンは既に体制を立て直している。
鋭い眼光に低い姿勢、隙がない。戦闘体制を解く。悔しいが俺では勝てない、それに今後トーナメントがあることを考えればこれ以上の消耗は避けなければならない。
「来ないのか、レイ」低い声で言う
「これ以上は消耗できねぇ、それに今の状況じゃ勝てねえよ」
「なかなか合理的だ、素晴らしい」
「取り敢えずは、紙を確認したら良いんじゃないか?」
「わかってるよ!」俺は嫌々紙を確認する。
* 試合形式は完全トーナメント制
* 敗北者は即処分
* 施設から出られるのは最後の生存者1名のみ
* 武器使用禁止(完全無手)
* 防具禁止
* 人類平均的衣服のみ着用可
* 逃走禁止
* 制限時間なし
* 環境は試合ごとにランダム変更
* 環境は特定競技に有利にならないよう設計
* 観客なし
* 外部情報遮断
* 睡眠・疲労・精神状態も戦闘要素として扱う
* 試合前の対戦相手情報共有禁止
* 医療介入なし
* 試合中断なし
内容は要約するとこんなところか、一言で言うとすごい、馬鹿な俺の頭じゃそんな感想しか出てこない。
「もう一枚あるぞ」オッサンが紙をもう一枚見せてくる。
AI判定「LCS(Loss of Combat Sustainability)」
勝利条件
以下のいずれかをAIが検知した場合、勝利確定。
* 意識喪失
* 呼吸不能
* 行動不能
* 脱出不能制圧状態
* 関節・頸部破壊寸前
* 明確な戦闘継続不可能状態
⸻
AI監視項目
* 呼吸
* 脈拍
* 視線
* 重心
* 神経反応
* 酸素濃度
* 脳震盪兆候
* 関節負荷
* 疲労状態
⸻
NULL PROJECT の目的
* 最強の格闘技の証明
なんだこれ、つまり審判無しのデスマッチで機械が勝敗を決めるって事か?
まぁ、やるしかない。昔から文句は垂れるがすぐ行動するのが俺の良いところだからな!
「よくわかんねぇけど、とにかく勝てば良いんだろ!やってやるよ!絶対に俺がこの施設から抜け出してやる」俺は決意を固くオッサンに言う。
「あぁ、俺もレイが一番だと信じている」何だよ珍しく弱々しい声でよ…
「さぁ、今日は休め!明日から調整だ!バシバシ行くぞ」オッサンの怒号が飛ぶ…取り敢えずトーナメントまで生き残らねぇとな
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とあるモニタールーム
「レスリングの子なかなかやるじゃないか!」
「まさか彼のクローンからテイクダウンを取るなんて!何て完成度だ!」1人で大声をあげている男がいる
「失礼致します、一光さま!」黒服が入室してくる。
「なんだよ、今いいとこなんだ」男は一光というらしい。機嫌が悪くなる。黒服が告げる。
「出場者全員ナノマシンの正常な動作確認いたしました!」
「当たり前だろう!あのシステムにいくらかけたと思っているのかな!」
「ここまで長かった!嗚呼!やっとだ!やっと最強の格闘技が何か決まる!」
男の声が響き渡る。




