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真面目な神様

作者: ことか
掲載日:2026/02/06

真面目に生きてきたのになぜ?


ワタクシは死んだ。

真面目に生きていたのに不幸だったワタクシを神様は憐れに思ったのかワタクシは神様に神様にしてもらった。


神様は人間界を操作できる権利がある。

しかしそれにはルールがある。


これは神様に貰ったルールのリストだ。

1.操作できるのは3回まで

2.個人だけに使ってはいけない

3.3回使うまでに後継者の候補を出さないといけない

4.神様は□□□□□□□□□いく

これらを破れば神でなくなり、消えることになる。


4だけが途中で文字化けして読めなくなっている。ここには何が入るのだろう。

考えても分からない。

考えながら操作を進めていこう。早く操作をしなければ、真面目な人間が損をしてしまう。


上から人間の世界を見てみると色々なことがわかる。


サボっているやつが多い。

かつてのワタクシのように真面目な人間たちが世の中を便利にするために頑張っているのになんなんだ


だからワタクシはまず人間が全員真面目になるように操作した。


ワタクシが操作した瞬間、サボっていた人間達は『真面目』の波に飲まれていった。


時間に忠実で下の世代はとにかく上の世代の話を聞き、確実に成長するようになった。上の世代は下の世代を育てつつ自らも成長し、社会に貢献するという明確な目標の中で飛躍していった。


技術はどんどん進歩し、世の中は大幅に変化した。

街は綺麗になり、人間全体の勤勉さも増した。

人間全体の賢さのレベルは上がり、常に学び続ける社会、世界となった。効率重視の社会となり、無駄なことはほとんど無くなった。


しかし問題が発生した。


人間の死亡率が以上に高くなったのだ。

死ぬ直前の人間を何人か覗いてみるとみな、真面目さ故に生きづらくなってもしくは自分が生きていない方が効率がいいと思って自殺したようだった。


生前はあんなに真面目で優秀な人間達だったのにもったいない。


そこで死んだ1人の優秀な人間を私は後継候補に入れた。その子は今まで真面目だったことはもちろん、目に見える結果をいくつも残していた。真面目だからこそ結果を残せ、この時代だからこそ得をした、そんな人間だったに違いない。ワタクシはこの子を羨ましく思った。


この子が人間の世界に帰ってくれたらと思ってしまうワタクシもいるが個人にこの権利は使えない。


今度は人間を他の動物と同じように自殺しない生き物に操作した。


真面目で自らは死なない生き物。真面目で優秀な人間のおかげで医学も驚くほどのスピードで進化している。だからこの先、そう滅多に人間が死ぬことはないだろう。


…と思っていたのに。

死亡率は以前と変わらない。それどころか地味に増えている。なぜだ。


原因は過労だった。真面目に、効率よく、とにかく上に、上に。進級、出世などを真剣にみなが追いかけるため競争率は恐ろしく上がっていた。その中で真面目にやっても伸びないものが真面目過ぎて死んでいった。どんなに進んだ医学をもってしても病院に来て貰えなければ救えない。だが真面目な人間は、努力する時間と引替えに自分を犠牲にする選択をする者が多かった。


過労死せずにみんなが高みに行ける世界に。

私の操作はこれで最後だ。今度こそきっと人間は幸せに生きていける。


全員が真面目で自らは死なない。どれだけ努力をしても、過労では死なないし、最後には必ず報われることが約束されている。


ああ、なんて素晴らしい世界だろう。

…そう思っていたのに。


人間は殺し合いをはじめてしまった。

それも真面目で優秀な人間たちが開発した最先端の武器を持って。

その上医学が進歩したから痛みも軽減され、少しの傷では死なない。傷ついて、治して、傷ついて、直して…

まるで破れた折り紙にテープを貼って直ったと言い張るようなそんな状態だった。


人間はもう人ではなくなってしまった。


ああ、最後のひとつだったのに

ワタクシはどこで間違えた、何が問題だったんだ?

ワタクシは何がしたかった?


パチン。


ボクは神様に神様にしてもらった。


神様は世界を操作出来る。


ルールのリストを読んだが4だけ文字化けしていてわからない。でもボクはもう操作することを決めている。前の神様を教訓にして、やらなければいけないことが沢山ある。


ボクはすぐに操作した。


『僕のように自ら死を選んでしまう程追い込まれる人間がこの先、1人も出ませんように。』

『人が進歩に囚われず、今の時間を幸せに生きられるような社会を人の力だけで築いていけますように。』

『神様は僕で最後になりますように。』


人間を人に戻す。

全員が幸せに、生きられる社会を。


パチン。


何かが弾けた。







4.神様は何があっても続いていく

『真面目な人は損をする。』

そんな言葉が度々聞こえる現代で、果たして真面目な人は得をしないのでしょうか。また、不真面目な人は得ばかりするのでしょうか。

最初に登場した神様(ワタクシ)は真面目に生きて損をしたと感じていました。だからこそ、次の神様(ボク)は真面目で結果を残した者を『神様にしてあげたい』と選びました。候補に入れる際には『羨ましい』と神様(ワタクシ)自身が思ってしまうほど真面目な神様(ボク)ですが、神様(ボク)は真面目な世界にされてしまったばかりに死んでしまいました。神様(ボク)を殺したのは真面目な世界を作った神様(ワタクシ)とも取れてしまうわけです。

果たして、自分を殺した神様に神様をお願いされても役目を全うできるでしょうか。

これは徹底的に真面目な人が損をする社会を描写しています。その上で、社会で真面目な人がどれほど貴重で社会にとって必要か。また、真面目な人を大切にせず、使い捨てるのは誰なのか。私は必要とするのは社会ですし、使い捨てるのも社会だと思っています。都合よく使って捨てる。このシステムこそが『真面目な人は損をする』と言われる理由ではないかと日々感じています。私自身よく『真面目』と言われますが、真面目だからこそ得したことはこれまで何度もありますし、損したと思ったことも沢山あります。

結局、真面目だろうが不真面目だろうが損をすることには変わりないのです。

だからこそ一生懸命になっている状態を笑わない人が、一生懸命になれない人を見放さないような人が誰か一人でも近くに現れますように。

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