テスト1日目終了と友情の再確認
中間テスト1日目が終わった。————色んな意味で。
「ぜんッぜん分からなかった⋯⋯」
うららは学校からの帰り道、よたよたと歩きながら肩を落とす。
テストの日は通常授業が無い。故に、まだ随分と陽の高いうちに帰路につく。
5月も半ばに差し掛かった今日、梅雨も明けていないというのに不愉快なほどの熱気を放つ太陽がジリジリと疲労困憊のうららを照らした。
(頭痛い⋯⋯。帰ったらちょっとだけ寝て、それからまた勉強しないと⋯⋯⋯⋯)
ぞわりと悪寒が背筋を駆け巡り、肌が粟立つ。おまけに吐き気もしてきた。
『勉強』という言葉を考えるだけで拒否反応が起きるくらいにはうららはそれが嫌いだった。学生の本分は勉強だというのに、今までずっと避けてきたおかげですこぶる頭が悪い。そのため、それなりに痛い目も見てきた。
うららが感傷に耽っていると、背中にドンッと僅かな衝撃を感じる。
「!?」
寝不足と暑さで身体に力が入らずによろける。すると、すぐ隣から「大丈夫か?」という声とともに、腕まくりをした逞しい腕が伸びてきて力の入らないうららの身体を支えた。
「⋯⋯ありがと、呉羽」
「うん。テスト、どうだった?」
「分かんない。いつもよりはマシだったと思うけど⋯⋯」
「せっかくウチらが教えたってのに、その自信の無さはなに?」
背後からひょっこりと百香が顔を覗かせる。どうやら、先ほどの衝撃は彼女によるものだったらしい。
「一夜漬けで頭良くなったらあたしは何年もバカやってないよ⋯⋯」
「まあ、それもそうか」
「ちょっと、そこはウソでも良いから否定してよももちぃ」
「おっ、俺は信じてるぞ、うららっ!」
「呉羽のウソは分かり易すぎてダメ」
うららは態とらしく頬を膨らませてふいっとそっぽを向いたが、耐え切れずに吹き出す。百香と呉羽との賑やかな帰り道は憂鬱な気持ちを少しだけ忘れさせてくれた。
「2人の優しさを無駄にしない為にも、今日も勉強頑張るから心配しないでよ」
「その心掛けは良し。⋯⋯でもアンタ、何処をどう勉強すれば良いか分かってんの?」
「ゔっ⋯⋯! そ、それは————」
(あたしに付き合って結局2人ともあんまり寝てないし、流石に今日も勉強教えてほしいなんて言えないよ⋯⋯)
うららは言葉に詰まる。それを見た百香は深くため息を吐いた。
「そんな事だろうと思った。秋月」
「⋯⋯ああ! うららさえ良ければ今日も勉強会しよう」
「えっ、いいの⋯⋯!?」
思わぬ申し出に面喰らう。うららは碧の瞳を限界まで見開いた。
「もちろん! うららの為だしな!」
「乗り掛かった船だし最後まで付き合うよ」
にかっと白い歯を見せて笑う呉羽と少し照れ臭そうな百香。
「~~~~! 2人とも、大好きっ!!」
うららは我慢出来ずに勢いよく抱きついた。
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