表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/76

恋の心得其の一、ターゲットの胃袋を掴むべし!②




 うららは昨晩寝ずに考えた結果、勉強を教えてもらうだけでは生温い。「自らの得意分野で攻めて攻めて攻めまくり、完膚なきまでにメロメロにして落とす!」という結論に達した。

 そして、その結論が出た時には既に空は明らんで朝日がすっかり顔を出しており、飛び起きたうららは丹精込めて至を落とすための手作り弁当をこしらえて来たのだった。

 そのおかげで寝不足気味だが、実に有意義な時間であったとうららは満足している。



「もしかして、君の手作りですか?」


 弁当のフタを開けた至はうららに尋ねた。


「うん、あたし⋯⋯勉強は苦手だけど料理は得意なんだ」

「確かに、昨日常春さんが食べていたお弁当はとても美味しそうでした。今日も、美味しそうですね」

「ほ、本当⋯⋯!?」


 褒められたうららは天にも昇る心地になる。


(今日は昨日よりも気合い入れて作ってきて良かったぁっ⋯⋯! その分、手間も時間もかかったけど、センセーのその一言だけで報われるっ)


 本日の昼食のメニューはチーズの入ったハンバーグにお手製タルタルソースを乗せたエビフライ、スモークサーモンとほうれん草のミニキッシュ、アクセントにブラックペッパーを効かせてカリカリのベーコンを入れたポテトサラダ、真っ赤なミニトマト、そしてデザートに甘酸っぱいイチゴ。

 今日のメニューは万人受けするものかつ、うららの得意料理ばかりを作ってきた。

 そして、至に渡した方は、その中でも特に見映えも味も完璧な選りすぐりのものばかりを詰め込んだものだ。




「いただきます」


 至は礼儀正しく手を合わせてから箸を手に取った。じっくりとおかずを吟味ぎんみしてからポテトサラダを口に運ぶ。


 うららはそのようすを固唾を呑んで見守っていた。


(あたしの料理はももちぃのお墨付きだもん、絶対に大丈夫なはず! ⋯⋯でも、好きな人に作るのは初めてだからやっぱり緊張する⋯⋯!)



 うずうずと待ち切れなくなったうららは至に尋ねる。


「ど、どう⋯⋯? センセーの口に合う?」

「はい。とっても美味しいです」

「よ、良かったあぁ!! たくさん食べてねっ!」


 至のその言葉で重くのしかかっていた不安が吹き飛び、うららは満面の笑みを見せる。想い人から手料理を褒められ有頂天のうららはニコニコと目を細め、自分の食事そっちのけで至を見つめていた。


(センセー、一口小っちゃい! かわい~⋯⋯⋯⋯)


 格好良いだけじゃない至の新たな一面を発見したうららは、ニヤけそうになる口をキツく結び必死に耐える。


「⋯⋯余り見られると食べにくいのですが⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯え!? あ、ごめんっ」

「常春さんも早く食べないと昼休みが終わってしまいますよ」


 照れ臭そうに視線を逸らしてポリポリと頰を掻く至を目の当たりにしたうららは、心の中でジタバタと悶える。


(照れてるセンセーもかンわいいぃッ!! もしも、至センセーとけっ⋯⋯結婚なんてしちゃったりしたら⋯⋯これが日常になるのかな? きっと、あたしの作ったご飯を毎日食べて美味しいって言ってくれるよね。⋯⋯そういえば、センセーの好物ってなんだろう? もっともっと、センセーの事知りたいな⋯⋯⋯⋯)



 至との未来を想像したうららはイチゴのように赤く染まった顔で机に頬杖をつき、ハンバーグを頬張る至を見上げる。


「⋯⋯ねぇ、センセーは何が好き?」






貴重なお時間をいただきありがとうございました!

ここまで読んでいただけて嬉しいです!

ブックマークや評価、感想などいただけましたら、やる気が出ます(^^)

よろしければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ