第71話 良心と悩み
【作者より】
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
突然ですが、11月30日をもって毎日投稿をお休みさせて頂きます。
理由としては、少々毎日投稿に疲れが出てしまいまして……気力が十分に回復したら、また毎日投稿をする予定です。
これからしばらくは隔日か三日おきに投稿しますので、よろしくお願いします。
「え、えっと……」
「は、はい!」
今の空気に耐えられなくなり声を掛けると、純夏は体を硬直させた。
うん、まあそんな反応にもなるよな。
「あー……その……さっきのことなんだけど……」
「ま、待ってくださいっす!」
どう答えようか迷っていると、純夏からストップされた。
え、何、何?
緊張からか、何度か深呼吸をする純夏。
けど直ぐに目を開け、頭を下げた。
「すみません、カイ君。その先はまだ言わないでください」
「え?」
「……私らのことがツキクラ先輩にバレた時、ツキクラ先輩が言ってたじゃないですか。宣戦布告だって」
あ……確かに言われた。現状に甘えてると、全部私が掻っ攫うとも言っていた。
あれは、ソーニャが純夏と天内さんの気持ちを察してたから出てきた言葉だったんだ。
「あの時察しました。カイ君、ツキクラ先輩からも告白されたんだって」
「それは……」
「隠さなくても大丈夫ですよ。カイ君、魅力的っすから」
そう、かな……。
自分ではそうとは思わないけど、これを否定すると純夏やソーニャのことも否定してしまうことになる。
なんとなく言い返せず黙っていると、純夏は話を続けた。
「今カイ君は、色んなことがあって混乱してると思うっす。そんな時に決断をされても、誰も幸せにならないと思います……なので、満足が行くまで考えてください。カイ君が納得した答えを出せたら、みんな納得すると思うっす」
俺が納得する答え……。
「出ると思う?」
「カイ君の甲斐性次第っすね」
「厳しいっすね」
桔梗さんからも純夏をお願いと頼まれたんだ。生活費も貰ったし、純夏が卒業するまでは俺が責任を持つ必要がある。
じゃあその後は? ……正直、考えつかない。
そもそも、そこまでソーニャとの関係を曖昧にするのも気が引ける。
お、俺はどうすれば……!
「ふふふ、悩んでるっすね。どうっすか? 美少女三人から言い寄られてる気分は」
「心がもたない」
「にひー、スケコマシなカイ君への罰ですね」
嬉しいんだか辛いんだか、罰になってない罰だ。
「って、三人? ……天内さんも?」
「え? 昨日告白されてないんですか?」
「されてないけど」
「…………」
「…………」
「あはっ☆」
この子、すげぇ大事なこと暴露したぞ。
薄々そんな気はしてたけどさ。天内さんが純夏と同じ想いっていうのは前から聞いてたし。
でも本人じゃなく、別の子から暴露されるとは……この事は黙っていよう。
「うぅ、深冬ごめん……」
「ま、まあまあ」
この流れだもん。天内さんが告白してると勘違いしても仕方ないさ。
さて、大方の状況は整理出来た。
問題は、俺の良心がこの状況に耐えられるかどうかだ。
三人の女の子に好かれるのは、単純に嬉しい。しかも全員超のつく美少女だ。
だけどみんなから好かれている状態で、どっちつかずの宙ぶらりん……許されるんだろうか、そんなの。
……今は考えても仕方ない、か。
その時。不意にスマホが震えた。誰かからメッセージが来たみたいだ。
誰だ……あ、桔梗さんか。
桔梗:先程はありがとうございました。教えてくださった口座に、今までの生活費と今後一ヶ月の生活費を振込みましたので、確認してください。
このタイミングっすか。
念の為に口座を開き、確認する。
「ぶっ!?」
「えっ。カイ君、どうしたんすか?」
「な、なんでもないっ、なんでも……!」
慌ててスマホの画面を隠す。
純夏と過ごした一ヶ月。そしてこの先一ヶ月の生活費。
いくらなんでもこんな額をポンと出すって……。
と、またスマホが震えた。
桔梗:こちら少しですが、吉永さんの分も含まれています。どうぞ、健康にお気を付けて。
ず……ずっりぃ……。こんなことされたら、外堀を埋められてるようなもんじゃないか。
桔梗さん、強かすぎる。
「なんすかー? あっ、まさかツキクラ先輩ですか!?」
「ち、違うって。ただ……」
純夏を見ると、キョトンとした顔で俺を見つめていた。
色んなことがあったんだ。それに、今は桔梗さんとのことも忘れてるみたいだし……。
「? なんすか?」
「いや……ただ、純夏は愛されてるなって」
「んなっ!? なんですかそれっ、それなんですか!? どーいう意味っすか!?」
「さあね」
桔梗さんとの溝は、おいおい埋めていけばいい……かな?
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