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第35話 ギャルたちの甘え

 と、この話に飽きてたのかスマホをいじっていた天内さんが、「あっ」と口を開いた。



「痴話喧嘩終わったー? じゃーパイセン、こっち座って」

「こっち? ソファー?」

「そーそー」



 このソファー二人用で、三人じゃ座れないけど……?

 言われたままソファーに移動する。

 天内さんが立ち上がって、さっきまで座っていた場所を差し出してきた。

 とりあえずそこに座ったけど……はて?



「それじゃ、おじゃましまーす」

「へ? あ、天内さん!?」



 突然俺の膝の上に座って来た。

 いわゆる対面座位。

 制服の短すぎるスカートで、なんの躊躇いもなく。

 更に腕を首の後ろに回し、じーっと俺の目を見つめる。

 綺麗な琥珀色の瞳。吸い込まれそうだ。

 それに、視線を下にずらすと深い深い谷間が──って、何ガン見してんだ俺は……!


 因みに対面座位系の知識があるのは察して欲しい。一人暮らしの男の子なもので。



「こ、これっ、何を……?」

「何って、ハグだよ?」

「……ハグ?」

「ハフレなんだから、やっぱハグは定期的にしないとね。むぎゅーっ」



 なんっ……!?

 ハグというか抱きつきコアラみたいな感じで抱き締めてくる天内さん。

 てかこれ、いわゆる大好きホールド的な……!?



「ほらほらパイセン、ぎゅーだよ」

「うぐっ……こ、こう、か……?」



 背に手を回し、なるべく弱く力を入れる。


 ──キュッ。



「ぁん」

「い、痛かった……?」

「だ、大丈夫。続けて」

「……わかった」



 ちょっとずつ力を込める。

 それに合わせて、天内さんも俺の首筋に頭を埋めて更に密着してきた。


 美少女が抱き着いてくるという緊張と嬉しさ。

 最高の美少女に心を許されている優越感と罪悪感。

 この両方で、今にもゲロ吐きそう。


 そのまま数分。隣にいる清坂さんがソワソワしだした頃、ようやく天内さんが離れた。



「んーーーー……っぱ! 今日のパイセン成分摂取完了! お肌つやつや〜」

「よ、よかったね……」



 俺としてはちょっとゲッソリ気味なんだけど……え、本当に成分が吸い取られた訳じゃないよね?


 天内さんが俺から離れる。

 と、今度は清坂さんが俺の脚を枕に寝転がった。



「次はソフレの純夏ちゃんの番っすよ。さーさー、私を甘やかすっす!」

「あ、甘やかすって、どうやって……?」

「それはセンパイが考えてください」



 う、うーん……ここから出来ることと言ったら、頭を撫でるくらいだけど……。

 でも、撫でていいんだろうか。髪は女の命って聞くし、髪を染めてるとはいえ清坂さんも髪の手入れはしっかりしている。


 清坂さんを見下ろすと、期待してるような目で俺を見上げていた。



「そ、それじゃあ……」

「んゅっ」


 

 頭に手を添え、梳かすように髪を撫でる。

 気持ちよさそうに、でもどこかくすぐったそうに目を細める清坂さんは、満足気な笑みを浮かべていた。


 飼い主に撫でられて嬉しそうな猫……いや、犬? 猫? 犬? とにかく可愛い。可愛すぎる。



「せんぱぁい……あごした、こしょこしょして……」

「こ、こう、ですか……?」

「ぁぅぁぅぁぅ」



 顎下をフェザータッチで撫でる。

 その度にピクピク体が跳ね、なんとも言えないエロさを……って!



「きょ、今日は終わりっ! バイト行ってくる!」

「にゃっ!?」

「ちょ、パイセン!」



 鞄を持って部屋を飛び出すと、ほぼ全力疾走でバイト先に向かって走る。

 そうでもしないと、色んなものが発散できそうになかったから。


 全力疾走すること十分弱。まだバイトの時間まで一時間以上あるのに、もう着いてしまった。

 コンビニ前の喫煙スペースには既に花本さんがいて、タバコに火を付けていた。



「おー? 吉永、はやいなー。……汗かいてっけど、どしたん?」

「あー、いや、ちょっと走りたくなって」

「ふーん。ま、仕事まで一時間以上あるし、ちょっと暇つぶしに付き合え」



 自分用に買っていたのか、缶コーヒーを投げて渡してきた。



「ども」

「おう。珍しく私からの奢りだぞ」

「今世紀最大の珍事ですね」

「おいコラ」

「冗談です」



 ありがたく蓋を開け、花本さんの隣に立って一口飲む。

 喉乾いてたから、この冷たさが丁度いい。



「雌の匂いがするな」

「は?」

「吉永、さっきまで女と一緒だったろ。それも二人。一人はお前の話してた奴だな。もう一つは知らんけど」

「いや、犬ですかあんたは」

「お、当たりか? やるじゃん」



 うりうりと肘でつついてくる。うぜぇ。



「成り行きで懐かれただけですよ」

「成り行きで女二人に懐かれるって、相当だぞ。白百合もお前には気を許してるし、私も吉永は信用してるし……あれ、お前もしかしてスケコマシか?」

「何言ってんすか。花本さんはそんなんじゃないでしょう」

「バレたか」



 そりゃ、そんなやる気ない顔で信用してるって言われてもな。



「……花本さんの前じゃ、緊張しないから楽でいいっすね」

「それは私に女の魅力がないって言いたいのか? 胸か。やっぱ白百合レベルの胸か」

「違う違う。花本さんも美人ですけど、この一年バイトパートナーとして一緒に仕事してきた信頼と実績があるんで」



 花本さんの性格上、女性と一緒にいるって感じより男友達と一緒って感じなんだよね。



「……スケコマシが」



 え、なんで?

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