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第101話 隣人の母親とお話

「ぶはっ……き、緊張した……!」

「あはは☆」

「腹立つ。いや笑いごとじゃないですからね」

「ご、ごめんなさい……」



 シュンとしてしまった白百合さん。しばらく反省してなさい。

 客室の座布団にあぐらをかいて、深々と息を吐く。

 それにしても、白百合さんのお母さんだから綺麗だとは思ってたけど……まさかあそこまでとは。

 純夏の義母である桔梗さんも、天内さんのお母さんも、なんでこんなに美人なんだ。

 それに、なんというか……俺たちとは違う空気を感じた。

 あれが白百合さんのお母さんか……。

 しばらく座布団に座ってると、茜さんが俺たちに冷たいお茶を出してくれた。

 とりあえず一口飲んで落ち着く。

 はふ、うま。



「母は気難しい方なのですが、あれでも歓迎しているんですよ」

「本当ですかね」

「ええ。母は人間観察が得意なので、気に入らない人は即追い返すんですよ。しかも気に入らないと思った人は、高確率で数日後になんらかの不祥事で捕まります」

「こっっっわ」



 不祥事で捕まる人を見る目もそうだけど、そんな人が訪ねてくるって、本当に何者だろうか。



「でも、そんなに人を見る目があるなら、俺が偽彼氏だってことはバレてるのでは?」

「…………」

「…………」

「……まあ、なるようになるでしょう」

「目を逸らすな顔を逸らすなこっちを見ろ」

「つーん」



 あ、くそ。可愛い。けどムカつく。

 お茶を飲みつつ、今か今かと待つ。

 ちょうど30分が過ぎたあたりで、客室の襖が開き白百合さんのお母さんが入ってきた。

 眼鏡はつけていない。眼鏡チェーンで首から下げていた。

 眼鏡を掛けていた時は妖艶な美女だったのに、今はまるで研ぎ澄まされたナイフのような美しさだ。

 慌てて正座すると、お母さんは俺と白百合さんの前に正座をした。

 ただ座っているだけなのに、お母さんから感じる圧がすごい。

 生唾を飲み込み、背筋を正す。

 と、お母さんがゆっくり頭を下げた。



「お待たせしてしまい、申し訳ありません。仕事が立て込んでおりまして」

「い、いえっ。こちらこそ、突然お邪魔してしまいまして……す、すみません」



 深々〜。土下座の勢いで頭を下げた。

 キチッとした人の前だと、自分もキチッとしなきゃいけないって気分にさせられる。俺だけかな?



「お母様、改めてご紹介を……」

「白百合さん、外に出ていなさい」

「……え?」



 唖然とする白百合さん。もちろん、俺も。

 今、白百合さんに外に出てろって言った? て、ことは……。



「これから少しの間、吉永さんと2人でお話させていただきます」



 やっぱり!?

 予想外の展開に、動揺する俺たち。

 けど断ることはできず、白百合さんは心配そうな目を俺に向けて客室を出た。

 向き合う俺と、白百合さんのお母さん。

 やべぇ……やべぇよこれ。なに、どういうことこれ。

 口の中がサハラ砂漠。喉は枯れ果てた運河。

 油断すると胃の内容物が「コンニチハ」してきそう。



「……さて、吉永さん」

「はっ……はい」



 お、落ち着け。極めて冷静に対処するんだ。

 大丈夫、俺ならできる。

 しっかり、偽彼氏の役目を果たしてみせる……!

 白百合さんのお母さんの視線を、真正面から受け止める。

 と、ふわっとした笑みを浮かべた。



「ごめんなさいね、吉永さん。あの子のわがままに付き合わせてしまって」

「いいいいいえっ、ぼぼぼぼ僕は…………え?」



 わがままに……て、え?



「お付き合いもしていないのに、白百合さんのわがままでここまで来てくださったのですよね。外は暑かったでしょう。氷菓子でもいかが?」

「い、いえ、大丈夫です。……やっぱり、気付いていたんですね」

「気付いていたことに、気付いていたのですね。あの子は気付いていなさそうだったのに」



 賢い子。そう呟き、茜さんに入れてもらった麦茶を飲む。



「これが、赤の他人だったらわかりませんでした。でも、今まで大切に育ててきた娘ですからね。あの子の考えなら、手に取るようにわかります」

「そうなんですか?」

「ええ。大方、お見合いを断る口実が欲しかったのでしょう。わかりやすい子なので」



 白百合さん、あんた本当になんでも見通されてますよ。

 こんなの、騙そうと思って騙せる相手じゃありませんって。



「それに2人の距離が、お付き合いしている雰囲気には感じられませんでしたから。まあ、あの子は少なからず、あなたのことを好いているようですが」

「まあ、アパートの隣人ですからね。ご近所付き合いもありますから、嫌われてたらこんなこと頼まれませんよ」

「……なるほど。あの子も大変ですね」



 え、何が?

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