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グウィネビア様、えっちな保健医と遭遇するも、なんか違う仕様になってることに気がつく

 自宅の居間でトリスタンと情報交換をした。もう日課となっている。


「それでね、今度、ノーラさんとグレタさんとお茶会をするの。楽しみだわ。クラスの平民の子は誘いづらいからね」


「楽しそうでいいね。いや、僕も楽しいよ。エバンズの地獄の特訓のおかげで座学は楽勝だね。おかげでクラスじゃ、それなりに一目置かれてるよ。もうすぐ実技だけど、まあ、大丈夫じゃないかな」


 たいした自信である。


 確かに授業内容は正直物足りない。図書館で本を読んでいた方がよほど有意義だろう。


「あなたも上手くいっているようね。ところでリリアさんはどう?」


「相変わらずだね。ビビアンとリリアは2人で過ごしてることが多いんだけど、今、かなり困ってるみたい」


「何に?」


「いや、それがさ。あんまり話たくないみたいなんだ。どうも男には話づらい内容みたいでさ」


「他に相談する相手がいないなら私が聞いてもいいけど」


「そう思ってさ、2人に話てみたんだ。誰って言わずに」


「言わなかったの?」


「平民がいきなり公爵令嬢に会わなくちゃいけないってなったら、怖いと思うよ。2人には僕の従姉妹としか言ってないから。まあ、それでもかなり恐縮してたけどね」


「わかったわ、明日にでも会える場所を探すわ」




 翌日、食堂に個室を予約にいった。残念ながら放課後も昼食時もすでにいっぱいになっていたようだ。


「申し訳ありません、今のところキャンセルなどもなくて……」


 食堂係がひたすら恐縮する。


「いえ、突然のことですから、気になさらないでくださいな。とこれで、食堂以外でどこか話ができるところはないかしら。できたら人目につかないところがよいのですけど」


「は、はあ……、あの……、食堂以外のことはちょっと……」


 申し訳ない。

 本来の業務でないことで煩わせるべきではないのだが、相談の内容が分からないので大袈裟にしたくないのだ。


 お手を煩わせてしまい申し訳ありません、と一礼してその場を離れようとした、その時、横から女性が声をかけてきた。


「個室をお探し? でしたら医務室の隣はどうかしら」


 年の頃は20代後半だろうか? 魔術師のような黒っぽいローブを着て、胸元には金のバッチが付いている。学園の教師だ。

 そしてあったことはないが、私はこの人を知っている。


「始めまして、私は学園の医務室を担当しています。モルガンと申します」


 攻略対象者以外のゲームの登場人物だ。



◯◯◯



 『キャメロット学園恋愛日記~ときめきのdistance』には、攻略対象者以外にも重要キャラがいる。隠しパラメーターがあり、好感度によっては、攻略対象者との関係も変化していくのだ。

 その中でも医務室のモルガン先生は人気キャラだ。


 このゲームの対象ユーザーは女性である。よって男性向けファンタジーにあるような乳が漏れそうなドレスとか、ミニスカメイドは存在しない。

 その中で絵師の気合いがおかしい、と評判だったのがモルガン先生である。

 あくまで世界観を壊さない程度ではあるが露出度高めの服を着て、イラストのアングルは常に上から、つまり谷間を強調しているのだ。

 学園物お約束ちょっとえっちな保健医。それがモルガン先生なのだ。


 実はランスロット王子攻略に繋がる重要キャラでもあるらしいのだが、そこまで進めてないのでよく分からない。ひたすらネットで拾い画を漁っていただけである。


 ちなみにこのゲームにおける2大巨乳とよばれているらしいのだがもう1人は忘れた。



◯◯◯



 黒髪を後ろできっちり結い上げ、前髪はゆるやかなカーブを描いている。服装も髪型もゲームとは違うけど、確かにモルガン先生だ。


「1年のグウィネビアです。医務室の隣を使わせて貰えるのですか?」


「とりまとめ役のグウィネビアさんですね。元々隣の部屋は生徒の相談事に使うためにあるんです。とりまとめ役として他の学生と話をするならうってつけですよ」


「はい、でも、まだどんな相談か私もよく分かってなくて……。もしかしたら雑談のような物かもしれないんです」


「雑談でもかまいませんわ。くつろいだ雰囲気の場所でしかできない話もあるでしょうしね」


 モルガン先生は学生側の要望を、学園側に伝える仕事をしているのだそうだ。

 先生によると、昨日のとりまとめ役の顔合わせにも出る予定だったが、都合がつかなかったらしい。


「ありがとうございます。本当に助かりましたわ」


 昼食の時に部屋を貸して貰えるようにした。

 リリアとビビアンは、昼食の時にトリスタンが医務室まで連れてくることになった。

 私は食堂で3人分の昼食を注文し、事務職員に頼んでランスロットとガウェインに手紙を渡してもらうように頼んだ。


 本来平民の相談を受けるのはガウェインの仕事である。しかし、相手は女子学生で男性には相談しづらいようなので、私が話を聞くことにした旨を手紙にしたためた。

 とくにガウェインには、職分を侵す行為に対しての謝罪もいれておいた。


 ノーラやグレタにも来てもらったほうが仕事が早くなるかもしれないが、内容によってはあまり話を大きくしない方がいいだろう。

 とりあえず軽く会話を楽しむつもりである。

 もっともオスカーに言わせると私の存在は場を引き締める効果があるようなので、どんな雰囲気になるか未知数だ。

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