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私は歩み始めた

 踏み出しても進むとは限らない

 ずっとカタログを見ているだけでは解決しない。なので歩きがてら食べれる物を探している。


 目的地は次の村。もう恐いので野宿は勘弁したいのだが、次の村でも銀貨5枚を要求されるのならどうせ入れないので食べ物を優先的に探している。



 歩き始めて1時間。集まった物は以下の通りだ。



 ・リンゴx10

 ・腕力の果実x2

 ・体力の果実x3

 ・薬草x20

 ・毒消し草x30

 ・オレンジx5

 ・安らぎ草x6



 以上。季節とか諸々関係なく実ってますね。リンゴを一つかじりながら初めての土地での食料調達の成果に思わず笑みがこぼれる。1時間でこれは良い方だ。何せ生家の周りでは食べれる物が見つけにくく、3時間でやっとリンゴを10個見つけた位だ。この周辺はとても肥沃な土地なのだろう。


 その分危険もありそうなのだが。



 馴染みのある果物以外の果実は少しかじってスゴく渋かったり不味かったので一個ずつで止めた。何かステータスが上がりそうな名前だけど不味かったのでもう食べないだろう。他が無くなれば食べるけど。


 薬草類は多分売れる。だが沢山採れたのでそれほど高くは売れないだろう。きっと調合して薬にすれば高いだろうがそんな知恵は持ち合わせていない。私が知っているのはどんな効果がある薬草か見分ける程度。しかも本に書いてある程度だ。もしかすると一般教養ってやつかもしれないし・・・誇れるものないじゃんか私よ。


 まあ、この豊かな森で探せば食料には困らない。でも未だに恐いのはモンスターだ。あの豚のような頭の3匹は多分モンスターだ。モンスターだと思う。あれで意思疏通が出来るというのならば誰か教えて欲しい。


 そんな知り合い居ないけどね



 見つけた収穫物はリュックにしまう。このリュックも昔から使っているが最近は荷物が増えたので少し小さい。これは私の唯一のスキルに関係ない装備である。リュックは装備か?装備ってことにしておいて。カタログには載ってたし。


 このリュックはお婆ちゃんに貰った大切な宝物だ。色んな物を取られはしたがこれだけは取られず手元に残ったお婆ちゃんから貰った最後のものだ。持ち物が極端に少ない私の私物を何でもかんでも欲しがる元弟妹たちには呆れるばかりだった。何でも欲しがる彼らでもぼろ袋に見えるこのリュックは魅力的には見えなかったのだろう。見せてないのもあるけれど。


 そんなわけでこのリュックは今後使わなくなろうとも捨てる気はない。だって宝物だからね。



 さて、何かお金になるものは無いものか・・・


 そう念じてカタログを捲るとある腕輪が目に入った。



「(「盗賊の腕輪」?って盗むスキルは要らないよ)」


 出来ることなら犯罪行為はしたくない。最終手段でも嫌だなぁ。根が日本人の私には無理。殺人とかもしたいとも思わない。思わないが襲いかかられたら反撃出来たらする。それでもしも命を奪う結果になったら、仕方ないですませられると良いのだけれど。トラウマにはなるだろうな。



「(次、次。ん?これは)」



 次に目に止まったものは「恩恵の首飾り」という物だった。効果説明には「アイテムに関する恩恵が得られる」という文章しか載っていなかった。つまりどういうことなの?


 国語の成績があまり良くなかった私にも分かるように説明して欲しい。つまりは、えーっと、アイテム関係で良いことがあるって事で良いのかな?

 良くわからないが着けていてもペナルティ的なものは無いので着けてみようと思う。勿論ちゃんと隠蔽しときます。



 首飾りを着けて暫く歩いていると何かが光っているように見えた。この感覚は生き物が索敵範囲内に入った時に似ている。


 光っている場所は茂みの中。気になったので近付いてみるとそこには1本の立派な剣が鞘に収まりもせずに落ちていた。



 この剣は誰のだろう。私は見つけた剣を眺めながら考えた。こんな人気のない森の中で抜き身の剣が落ちている理由は2つほどだ。まず一つ目、単純に落とした。でも戦闘以外では鞘に納めているだろうからもう一つの理由だと推測する。二つ目の理由は持ち主が死亡した場合だ。

 戦闘などで亡くなった場合誰かが回収しない限り現場に遺される遺留品というわけだ。


 だが不思議なことに他の遺留品も遺体も見つからない。遺体が見つからないのは少しほっとしている。見たくはないものだし。


 ここで何かあったのなら戦闘の跡でも何か痕跡が有る筈だが、不思議とこの立派な剣以外には何もない。妙に不自然ではある。どうするべきだろうかと考えていると剣の柄に何か名前らしきものが彫られていることに気がついた。


 もしかすると持ち主の名前かと思って見てみると、



「(ガ、ガウェ、掠れて読みにくい)」


 

 使い古しているのか文字の部分が削れてしまっている。それに少し癖の有る字なので読み辛いのもある。持ち主ならば何と書いてあるのか分かるのだろうか。


 この剣の処遇を少し考えた後に街道沿いの道を目指して歩き出す。勿論剣も持ってだ。別に売り飛ばしはしない。持ち主の名前らしきものが彫られた剣は多分売れないだろう。売ったら売ったで盗品扱いになるかもしれないので始めから売るのは却下だ。


 なら何故持っていくのか。


 それは次の村の警備にでも渡しておけば拾得物として持ち主ないし持ち主の家族に届けられないかと思ったからだ。お人好し?いいえ、少しでも心象を良くしようかと。でもこんな子供怪しまない筈ないよね。見るからに怪しいもん。自分でもわかる。



 カタログから丈夫そうなマントで剣を隠すようにグルグル巻きにして引きずっても大丈夫な様にした。布は汚れるが用が済めば消すので問題なし。私の身長ほどある剣を引き刷りながら村を目指して行だした。



 これは少し打算的な私の不審な剣を落とし物として運ぶ私の話。



 でも、世の中そう上手くいくのか疑問である。






 落とし物はきちんと届けましょう。

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