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私は森へ行った

このぐだぐだはいつ終わるのでしょう?


 待ちに待った森の閉鎖解禁日。



 クーちゃんも無事に帰ってきて心配も無くなって心置きなく採取するぞ、と意気込みたいのだがそうもいかないのだ。



「ライトちゃんは何故かモンスターに狙われやすいから単独行動は禁止よ」



 だそうです。確かにモンスターと遭遇する確率メッチャ高いけど。真っ先に狙われるの私だし。うん、確かにね。


 そんな訳で私のお守りは継続だそうですよリンクさん。嫌だったら今回の森への採取は見送っても・・・



「・・俺の分の素材も採ってくれるなら構わない」



 あ、はい。了解しました。そういえば誰も言いませんけどリンクさんって何かを探すのは苦手━━まではいかなくても少し時間が掛かってますもんね。


 今考えたら良いチームなのかも。採取得意で戦闘苦手の私、戦闘(多分)得意でちょっと採取苦手のリンクさん。バランス取れてるのかな。

 全く採取出来ない訳ではないから私に合わせてくれている気もするけどね。




 というわけで、



 やって来ました森。実はちゃんと名前があるけれど、誰も森としか言わない森に来ています。

 勿論お守りのリンクさんと護衛のクーちゃんも一緒です。保護者二人は今日は別行動です。

 確か街近くの一番大きなダンジョンで起きた問題を解決するために行っております。何でも、あり得ないくらい凶暴なモンスターが出たとか出ないとか。どっちなんだよ。


 そんな訳で今日は二人と一匹で森に来ている。



 私の装備はちょっと防御堅めにしている。保護者が居ないから不安という理由もあるが、単純に私のモンスター遭遇率が高いための処置だ。そして得物は1m程の短い槍。これがちょっと曲者で、剣のような間合いで私には使いづらい。が、森で長物はとても不利なのでこれを持ってきている。

 実は前からこれを持ってこようと思っていたが、何となく忘れていたのだ。バカである。



 リンクさんは弓とショートソード。接近戦も遠距離もどっちも出来るって羨ましいものです。でも、教官からは『器用貧乏』と言われていた。確かにどちらも出来るって器用貧乏になりがちだけどリンクさんはそうでもないかも?


 ダメだったら保護者二人に止められているもん。あの二人が何も言ってこないということは大丈夫なのだろう。素人の私には分からない世界である。



 さて、閉鎖される前と何らかわりなく採取は終わった。後はさっさとギルドに報告して終わりだ。



「ダメだよ。こういう時が一番危ないんだから」


「ですよね」



 リンクさんそれフラグです。



「グガァァォォ!!」



「「・・・・」」



 ほら、言わんこっちゃない。フラグでしたよ。


 はい、藪からつついてもいないのに出てきました森の熊さん。しかもヨダレ垂らしてとってもお腹すいてますって熊さんですよ。


 でも、モンスターではなく普通の動物の熊さんですよね。



 よし、いけ!クーちゃん。君しかいないけど決めた!



「アウ!」


「クーちゃん体当たり!」



 先手必勝とばかりにクーちゃんに攻撃指示を出すと素早い動きで熊さんに体当りした。体当りというよりも突進、タックルって感じだが。



「グアッ・・・・グウゥゥ」


「・・・っ!!」



 クーちゃんの体当たりでグラついた熊さんの心臓に寸分違わず矢が刺さる。リンクさんが放った矢だ。凄い、あの一瞬でクーちゃんにもかすらずに当てるなんて。


 矢を放ったリンクさんは直ぐ様私を自分の背後に隠す。


「熊は頭や心臓に致命傷を負っても暫くは生きている。気を付けて」


「・・(なにそれ怖い)」



 熊さんは口からヨダレではなく泡を吹いて暴れている。しかしクーちゃんがもう一度体当たりをして私たちから引き離す。リンクさんはもう攻撃するつもりは無いようで熊さんから目を離さず私を庇うように熊さんから距離を取る。


 暫くは暴れていた熊さんはそのうちピクリとも動かなくなった。多分なのだが、モンスターという驚異が消えて、漸く餌にありつけると獲物を探していたのだろう。

 ちょっと可哀想にも思うが、私達もご飯になる訳にはいかないのだ。こればっかりはどうしようもない。


 全くマップを見ていなかった私の落ち度だ。



 あ、そうそう。森の異変なんだけどね。実はクーちゃんが帰ってきてからピッタリとモンスター達が居なくなったのだ。勿論奥の方には従来のモンスターたちは居るそうだが・・。


 クーちゃんが何かしたのは明白だが、別に気にしないし、誰かに言おうとも思わないので今後他言するつもりはない。




「もう動かないかな?」



 頭に被ったマントが邪魔なので少し手でずらしながら熊さんを見る。



「・・・うん。もう動かない」



 熊さんの目を見てリンクさんはそう答えた。瞳孔を見たのかな?



 今回の熊さんはリンクさんの取り分ということでリンクさんのリュックに入れてもらった。というよりも色々と面倒そうだからリンクさんに譲った。


 だって私が仕留めたわけでもないし。クーちゃんに体当たりするように言っただけだし。致命傷はリンクさんの矢だったのだ。あ、でもクーちゃんには後で私イチオシのナッツ菓子をあげよう。


 あ、クーちゃん御菓子食べれたっけ?





 あの後何の問題もなくギルドに報告して熊さんも解体依頼も済ませた。その時リンクさんが解体を見学したいと言い出し、私もどうかと解体係の人に言われて高速で首を振って全力拒否をしてと、色々あったが何事もなかったと言えるだろう。

 失神はしないが気分の良いものでもない事は知っているので解体はお断りである。ご飯を美味しく食べるがモットーなので。血生臭いのお断りです。



「あ、ライトさんちょっと話が」



 リンクさんを置いて帰ろうとしていると受付さんに呼び止められた。



「実はね、貴女の作った低級ポーションを定期的に卸してくれないかな?」


「低級ポーションですか?」



 もしかして皆さんあの不味いポーションに嫌気がさしたのかな?



「それがね・・・やったとこの街の人々もあの不味いポーションをどうにかしないとって考えるようになってくれて」


「今まで何で誰も思わなかったのか不思議なんですけど」



 今回の異変のせいで大量にポーションを飲む機会が増えたせいでようやっと不味さに嫌気がさしたらしい。遅いだろ。どうして今まで放置してたし。


 この街はさして強くないモンスターばかりだったのは聞いていたけど、もしかして皆さん大した怪我をしてこなかったのかな?

 脅威が無くて必要も大して無かったから発展しなかったとしたら、仕方ないのかな。



「ベルさんには頼んでいるのだけど、上級ポーションで手一杯だからちゃんと作れるライトさんに頼むようにって」



 成る程。でも私1人では無理があるのですが。



「勿論ギルドの方でも人材を育てていくけれど、今すぐには無理だからお願い出来るかなって。報酬は弾むわよ勿論」



 こっちが無理言ってるのだし。そう言ってお願いしてくる受付さんは「勿論無理だったら仕方ないけどね」と無理を言っているという割には強要してこない。



「ライトさんには迷惑かけてしまったし。強要はしないから安心して」



 

 ボソッと「そんなことさせないから♪」と言われたけど無視しても良いですかね。なんか黒い気配を感じたのは多分気のせいだよね。






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