私は安堵した
クーちゃんが家出━━とは思いたくないが━━してから3日経った。
その間に私は何かをしながら気を紛らわせて過ごした。その成果は低級ポーションが3ダース。低級毒消しポーション、麻痺消しポーション等が1ダース分は作った。
ただし、3日でこの成果は中々だと思う。少し前までは1日で1ダースが限界だったのだから、多少は腕も上がっているのだと実感できた。勿論品質を下げたりなんてしていません。あんな青汁なんて飲みたくないもの。
そして家の雰囲気も少し寂しかった。クーちゃんが居ると自然と和んでいたのだ。出会う前に戻ったと言えばそうだろうが、ヤッパリ寂しいものは寂しい。
ずーっと調合ばかりしていたせいで素材が底を尽きました。なので今日は錬金術はお休みだ。買いに行くという手も有るのだが、今は何処も品不足で値段が高騰していて私ではちょっと手が出せない。
というよりも、他の私よりもベテランの人達に譲ろうと思うからだ。私の知らぬところで森の異変で怪我人が多く出てしまったらしく、ギルドでは中級ポーション以上を積極的に作るように要請が出ているのだ。
私のような半人前では中級ポーションは作れない(作れたとしても人様に使うのは気が引ける。品質が落ちたものを使えば何が起こるか怖い)ので私は今日は暇なのです。
勿論忙しいベルさんの代わりに家事はやってましたよ。でも私よりも暇だと言うジンさんとリンクさんに
「暇過ぎて死だからやっとくよ」
「・・同じく」
だそうです。そう言われて私は自分の部屋でこうしてベットに寝転んでいるという訳です。
ベルさんはベテラン錬金術師なのでとっても今忙しく、急ピッチで中級以上のポーションを生産しています。少しその様子を見せてもらったのですが、あの光景はまさに魔法と呼べる光景でしたね。
すごかった。キラキラした液体が瞬く間に違う色に変わったり。薬草がひとりでにサラサラした粉になったり。あれは上級ポーションの作り方なのかな?
いつかはあんな風に私も作れるかは疑問だが、見ていて楽しかった。でも邪魔したらダメだと直ぐに作業場から出たんどけどね。
唐突にため息が出た。暇。ホントに暇だ。
そして立ち止まっているとクーちゃんが心配になる。だって幻獣とは言ってもまだ生後1ヶ月も経ってないんだよ。心配になるのは仕方ないと思う。
・・・また私、クーちゃんの話してるな。
うん。心配しなくても大丈夫なんだ。なんだよね? うん。違うことで気を逸らそう。心配しているとウジウジとキノコが生えそうになるのなら考えるのを一旦やめよう。
えーっと。
・・・そうそう、ナッツが尽きました。
違う。クーちゃん関連から離れたいのに。
う~んと・・・あ、そうだ。
実は私、槍の腕前が一般人並みに成長致しました。わー、パチパチ・・・ひとりでやってて虚しいな。
てか、あんなに鍛練して一般人って私のポンコツ具合がお分かりいただけただろうか。周りがスゴいと一般人レベルでも肩身が狭く感じてしまうんだよなぁ。別に誰かに面と向かって貶されたりしては居ないが。
そんなことしたら保護者二人が恐ろしい事もあるだろうが。
話が尽きた。何か無いかとベットに転がりながら考えていると
ガツ、ガツ
何か硬いものがぶつかるような音がした。・・・ジンさん達が掃除でもしているのだろうか。
ガツ、ガツ、ガツ!
掃除にしてはちょっと音がデカイなぁ。そう思ってふと、変なことが起きたらマップを確認する癖をつけようと思っていたことを思い出す。何気なくマップに視線を向けると・・
私は勢いよく窓を開けて叫んだ。
「クーちゃん!!」
「キャーン!!」
いつものふわモコが私の顔を覆う。うん、いつものふわモコクーちゃんだ。
窓を開けると飛び込んできたクーちゃんを顔面キャッチした私は力の限り抱き締めた。その間大きな尻尾はぱふぱふと私の体を優しく叩いている。
ん? 大きな尻尾?
確かにクーちゃんの尻尾はクーちゃん自身よりも小さいとはいえ、確かに、確かに大きかった。けれども、私から見て大きいとは言えないサイズだったような?
「こころなしかちょっと大きくなってないクーちゃん?」
「アウ!」
わー、元気なお返事だね。体の大きさも変わったけど、鳴き声も違うね。何だろ、男子3日会わざれば刮目して見よってやつなの? クーちゃん男の子だったの? 初耳なんですけど。
その後も疑問は全く晴れなかったものの、3日ぶりのクーちゃんを堪能してから皆にクーちゃんが戻ったことを報告に行きました。
実はクーちゃんを堪能していた時間が結構長かったのは秘密です。
・・一時間も毛並みに顔を埋めて尻尾もふもふしていたなんて、クーちゃん(の毛並み)恐ろしい子!




