私は影口を聞いた
それほど気にしてない主人公
スキル
それはこの世界で誰もが大なり小なり持つ力。しかし千差万別、無数のスキルが存在するこの世界でもハズレと呼ばれるスキルがかなり存在していた。
ある者は指先に蝋燭程度の炎しか出せなかったり。またある者は次の日のおかずを当てる程度の予知しか出来なかったり。またある者は洗濯物をちょっとだけ早く乾かせる程度の風を吹かせたり。
派手なスキルではない者、どうやって活用すれば良いのか分からない者など、様々な用途不明のスキルが存在した。
そしてその中でも無くても困らない。有っても要らないと言われ続けたスキルだけを持って生まれた女の子が居た。
と、壮大に始めようとしたけど無理ですわ。
どうも。今絶賛影でそこそこ影口を叩かれているライトちゃん12歳です。はぁ、聞いてくれる?
聞いてくれなくても勝手に話すから同意は要らないよ。
あのね、私検査したよねスキルの。それで何故か漏れててね・・・私がハズレスキルしか持っていない事が広まってしまったんだよ。
あ、別にその事がバレたのが辛いとかそういう事ではなくてね。
何が辛いって、街を歩くと影でそこそこ「あの子がハズレスキルだけの」とか「可哀想に」とかなら別に無視しているんだけどね、店で買い物をしていると
「気を確り持つんだよ」
とか、
「気にすんなチビッ子」
とか、
「気落ちしないでね」
とか、それはもう腫れ物に触るが如く。もう聞き飽きました。そんなに気にしてないって。何で私よりも周りの方が気にしてるの?
何? 同情されてるのかこれは。大きなお世話ですよ。もう。
とまぁ、こんなことを何度も言われ続けたら疲れるのも分かるでしょ?
はぁ、折角久しぶりのお買いものだったのに~。
はい。ただいま買い物の最中でございます。勿論お守りも一緒です。え、何か名前ではないものが見えた? 間違ってないですよ。だってお守りはお守りでしょ?
「(何か呼ばれた気がする)」
眠そうな目でこちらを見るのは私のお目付け役であるリンクさんである。今日も眠そうだけどホントは眠いのではなくやる気がないのだと最近になって気がついた。だってさ、本を読んでいる時は確り開いてるもん目が。
興味がない事には寝惚け眼で、真剣な時はお母さん譲りのつり目になるですよ。ここテストに出ません。
・・・何やら察したらしいリンクさんからの無言の要求があったので次のお店に向かいます。
「クーン」
「あ、クーちゃんのご飯も買うから心配しないで」
「キューン!」
「私のご飯忘れないで」と言われて大丈夫だと返すと「良かったぁ!」と返事をした。マジ可愛いわこの子。
「・・母さんの頼まれ事は何だったの?」
「待ってください、えーっと。・・・この紙に書いてあります」
ポケットにしまっていたメモを探しすも中々見つからなくてちょっとだけ手間取った。見つけた2つ折のメモを見て何が必要か確認する。
そう、これはお使いクエストでもあるのだ!
あ、別にギルドからの依頼とかでは決してありません。ノリです。
えーっと。メモに書いてあるものは━━
・オリーブ 1Kg
・石鹸の実 2Kg
・レモン 1Kg
うん、Kg単位でのお使いですか。あって良かった魔法のアイテム。あのポーチとリュックが無ければ大変だったね。あれ、前にもこんなことを言ってなかった?
それにしても何に使うのかな? オリーブってことは油?
でも油を採るならもっといっぱい必要だよね? あ、石鹸の実ということはオリーブの石鹸でも作るのかな。でも石鹸も実から作るんだねぇ。苛性ソーダは使わないのかな。あれって劇薬だから子供は買えない。そもそもこの世界に苛性ソーダが有るかは不明だが。
そもそも石鹸の実とは何ぞや?
「多分シャンプーを作る材料だね。昨日使い切りそうだったから。
あと、石鹸の実はそのまま石鹸の実だよ。
レモンは香り付けだね。」
マジで石鹸が木になってるの? スゴいさすが魔法の世界。
まだ続きがあるね。
・猪のラード
・マリーゴールドの花
・臭い消しの薬草
い、猪のラードっすか。有るとすれば肉屋かな。マリーゴールドは花屋さんに有ると良いな。季節的に大丈夫だと信じたい。あの森が十全の状態なら信じられたけど、怪しいぞ。
臭い消しの薬草って何に使うの。
疑問なんだが、ポーションの材料でもある「薬草」と臭い消しの「薬草」って混同されたりしない? そもそも何で「薬草」は名前ではなく「薬草」と呼ばれているの?
「・・多分なんだけど、軟膏を作るのかな。指先の傷とか水仕事でできるあかぎれとかに効くやつ。
ラードは少し臭うから臭い消しの薬草を使うのかも。
・・・「薬草」の本来の名前がやたら長くて言い辛いから「薬草」と皆言ってるんだよ」
へー、為になるなぁ。
「薬草」ってそんな理由があったんですね。
ちなみにポーションの材料の「薬草」と臭い消しの「薬草」は近親種だそうです。
「「薬草」と名の付く植物は大体同じ系統のもの」
だそうです。地域や環境で変化する大変便利て強い植物なのだそうです。・・そういえば本に書いてあったかも。何の本だったかな?
ちなみに薬草の本名を聞いたら
「本に書いてあるから調べて。舌かみたくない」
と言われてしました。いったいどんな名前なのか気になるので後で調べてみようと思います。
それから何の問題もなくお使いも終えて帰り道。クーちゃんが私の目線までジャンプしたり、私がお菓子に目移りしたりしたが、問題なく歩いていた。
その間も若干耳障りな言葉が聞こえてきたがクーちゃんの可愛さといつもよりお喋りなリンクさんの話でそんなものはどうでもよくなるのでした。
これは、持ったスキルがハズレスキルと街の皆にバレたけど気にしない私の話。
まぁ、少しは傷ついていたのかもね私も。




