私はスキルを使った
基本的に余りものを考えない主人公です。
あのあと全部のスキルを取得してワールドカタログを物色して結構防御力が高い物と一般的な子供服(男子用)を重ね着して防御力を上げた。勿論他人からは普通の子供服。擬装を看破出来る様なスキルが有れば見破られる危険もあるけれど・・・
まだ何も怪しくもない子供を調べるだろうか?
あ、でも親が子供を売るような世界ならあり得るかも。どれくらいで売れるかって理由で見られたら。
はぁ、世知辛いねぇ。
そんな私は今地図と干し肉を片手に何処に行こうかと考えていた。直ぐにでもここから、この男爵領から離れたい。
けれど何処に行くのか迷っている理由はその土地を治める領主の評判の悪さのせいだ。
元の出身の男爵家の持つ領地には村が二つ存在する。さっきまで居た村ともう一つ。無論そちらの村に行く積もりはない。そして問題なのが周りの他領地も行きたくないのだ。
治める領主がまともじゃないとその村や街もまともじゃないと事が多い。火の無いところに煙はたたない。噂によると隣の領主は何れもどっこいどっこいのドングリの背比べ、良い噂は聞かない。
もうこれは早々にもっと遠くの領地に行ってしまった方が良いかもしれないと地図とにらめっこしているのである。干し肉ウメェー。
この領地から出来るだけ離れようと算段をつけて地図をしまう。一応の目標は隣の領地を駆け足で通過してその隣の領地で一番最寄りの村に行くことにした。
そしてもう一度「ワールドカタログ」を発動してパラパラとページをめくる。
そう、この「ワールドカタログ」というスキルは画面ではなく本タイプの物で見た目はハードカバーで分厚さは電話帳だ。きっと角でゴリッと強かに殴ったらさぞ痛いだろう。
何故またカタログを見ているかというと、早く目的地に着くような装備は無いかと調べてみるのだ。
「(うーん、目ぼしい物は無いかー・・ん?)」
適当になりパラパラーっと斜め読みをしていると目に留まった物があった。
「疾風のブーツ」
疾風の様に移動できるブーツ。素早さと回避にそれぞれ200の補正プラス。全力で走れば旋風が起きることもある。
あ、これ良いかも。旋風とか良くわからんけど補正値が200もプラスされるのは大きい。これで走り続ければ直ぐに着くかも。
そう思ったら直ぐに試す。カタログから「疾風のブーツ」を取り出してブーツを履く。
うーん、大して変化はない。走ってみると周りの風景が一瞬ぶれた。数歩走った筈がさっきまで座っていた大きな木は豆粒位に見えた。
これなら距離が稼げそうだ。使い方を誤ると私が怪我しそうだが。
そして私は道なりに突っ走って目的の村に向かって走ったのだった。
しかし私は油断していた。このブーツ、数歩で数十メートルも進む事を失念していた。全力で走ればそれよりも速く走ることに。そして全力で走った故に起こった旋風で少し騒動が起こっていたのだった。
これは全力で走った故に面倒後とを引き起こしてしまう私の話。
自分のステータス画面を見ても何も気が付かない主人公。