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私はテイマーではありません 3


 あれから私たちはギルドへ報告に行くために急いで街に帰った。本当に最近ギルドは大変な事だらけだ。貴族のいざこざにモンスターの異変。疲れているだろうところに今回の件を報告するのは忍びないが仕方ない。



 私はギルドに報告をジンさんをギルドの酒場でリンクさんと待っているとクーちゃんが頭から降りてイスに座る私の膝に座っている。ふわモコの毛並みを撫でると指が毛並みに埋もれる。多分首辺りだろうと思われる場所を掻くと気持ちが良いのか目を細めてもっとやれとせがんできた。クーちゃんが今日も可愛いです。


 隣でリンクさんが何かの本を読んでいる。多分植物図鑑だと思う。書庫で見た覚えがある。面白いのか集中している。多分私が何かしたとしても反応はないのではないか、そう思ってしまうほどの真剣さだ。あのとんがった耳に息でも吹き掛けたらどんな反応をするのだろう? しかしそんな悪戯心を奥底にしまう。そこまでリンクさんとは打ち解けていないのに悪戯する勇気はない。悪戯を許してもらうほど仲良くもない、と思う。


 それにしてもリンクさんの耳は尖っている。受付さんも含めたギルドの皆さんも半数以上がエルフなのか耳が尖っている。この街が種族問わず住んでいるのだ。人間の方が少ない方だ。


 それはさておき。


 リンクさんやベルさんとジンさんの耳は街にいるエルフさん達よりも耳の尖りが強いのだ。・・・何て言うのかな、長い。耳が長いのだ。聞いた話だとジンさんとベルさんは違う場所から移住してきたそうです。

 もしかすると生息地によって生き物の見た目が違う様にエルフや人間も姿に違いがあるのかも。この地方のエルフさん達の耳が小さいのかベルさん達が長いのかは分からなかった。



 これだけ耳が長いと私よりも耳が良いのは頷ける。


 あ、長いと言っても兎の様に長い訳じゃないよ。変じゃない程度に長いってこと。


 そういえばこの街には森エルフというエルフ族が居ると聞いたなぁ。きっと森エルフの人達は耳が小さいのだろう。



 ━━━森エルフ以外のエルフも街にはいるが、その誰もがベルさん達よりも耳が小さいと気がつくのは多分もっと後の話。





 結構時間がたった気がする。私は手持ち無沙汰だったのでクーちゃんの背中(背中か分からないほどふわモコ)に顔を埋めてふわモコを堪能しているとジンさんが戻ってきた。リンクさんはそれに気がついて本を閉じた。クーちゃんも私の膝から降りてジンさんの肩に飛び乗って頬にすり寄った。クーちゃん君ってジンさんに対して態度が違いすぎないかい? 私には頬擦りしてくれたことなんて無いじゃないか。



「一応報告はしたが、当分はCランク以下の冒険者には森への立ち入りを禁止するそうだ。」


「・・でも父さんは調査に行くんでしょ?」


「まあそうだな。それとベルにも要請が行くだろう。今この街にはAランク以上の冒険者が5人しかいないからな」


「(5人ってことはそのうちの二人がベルさんとジンさんって事だよね。)」



 いくらモンスターの驚異がない街でもこれだけ大きい街にたったの5人ってことは考えられるのだろうか?



「この前国の命令で大きなダンジョン近くの街に拠点を移した冒険者が多いからな。ま、命令が無くても元から少ない方ではあったがここまで来ると悪手だったな」


「国の命令?」


「ライトは知らなかった? 国が大きなダンジョンの攻略を進めたいから上位冒険者をここより大きな街に移動させたんだ」


「しかも冒険者の補充も何も無い状態でこれだ。他のギルドと連携を取りたくても何処も手一杯らしくてな」



 援助は受けられない。そう言っていたジンさんの顔はいつもの優しそうな顔から苦虫を噛み潰したような、渋い木の実を食べたときのように顔をしかめていた。無理もない。助けは期待できないこの状況を自分でどうにかしないといけないのだから。

 心なしかギルド酒場の雰囲気も暗くどんよりしているように感じた。


 私たちはまだギルドとの話し合いが有るらしいジンさんと別れて家に帰ることになった。私もリンクさんもクーちゃんも無言で歩く帰り道だった。

 家に着くとベルさんが出迎えてくれた。ジンさんから先に連絡が行っていたらしく二人して抱き締められて苦しかった。うん、あれば凶器になるのね。



 そんなベルさんもギルドに行くらしく私たちは留守番を任される事になる。しかし留守番を預かると言えば聞こえが良いが、ギルドに行っても何も出来ないのだ。家に居るしかない。



 私はいつもの定位置である暖炉の前に座る。最近は敷いている毛皮もグレードアップしている。何でもギルドから貰ったとか。多分貴族の件のお詫びではないかと思っている。とっても撫で心地が良いので気に入っている。現金というなかれ。だってもう関わりさえしなければどうでも良いのだもの。

 その大きな毛皮の上にはまるでビーズクッションの様な不思議な触り心地のそれは今では私の一番のお気に入り。人をダメにしそうなそのクッションもギルドからの貰い物だ。絶対良い生地を使っているのだろう。これは全員分貰ったらしい。良いのかとも思ったが「今回の件を水に流してくれるなら」となんとも太っ腹な事だ。


 本来ならもっと賠償請求しても良いのだと言われたけれど、私はこれで良いとおもった。だって身の丈に合ってない物って身を滅ぼすでしょ? これでも結構がめつい要求をしたと思う。だからこれで良いのだ。これでギルドにも貴族にも貸し無しになる。万々歳である。



 このダメ人間になりそうなクッションは私が抱き締めても腕が回らないほど大きく子供の私は埋もれてしまうがそれが気持ち良いのである。クーちゃんも一緒に埋もれていると、そろそろ晩御飯じゃないかと私のお腹の時計が唸っている。


 そうだ、ベルさん居ないからご飯作らなくちゃ。


 何を隠そう、私は料理が得意ではない。ぶっちゃけると苦手の範囲だ。得意料理は丸焼きだと豪語出来である。これまでマトモな料理をする機会がなかったと言い訳をしてみるも、なんの解決にもならないのであった。



 どうしようかと悩みながらキッチンに行こうとすると、



「・・晩御飯は保存箱に入ってると思う」


「!?」



 いきなり声を掛けてきたのはリンクはそう言ってキッチンの奥の私の身長ほどはある横長の長方形の箱を開けて何かを取り出す。

 リンクさんが両手で持ち上げているものは良く見知った寸胴の鍋だった。蓋をしているから中身までは見えないが匂いからして私の好きなシチューであることは分かった。



「母さんは何か合ったときには、こうして作った料理を鍋ごと保存箱に入れるんだ」



 そうすると冷めないから便利。そう言ってリビングに鍋を持っていってしまった。成る程、素材やら食料を入れておくと腐らないだけでなく、熱も冷めることなく保存できるのか。便利。

 この保存箱は前に説明はされていたが、こんな使い方もあるのだと肝心るする。魔法って便利だな、そうしみじみと思ってしまった。




 






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