私はテイマーではありません
ちょっと長くなるので分割します。
ギルドでも大人気だったクーちゃんは街でも歩けば色んな人に撫でられる人気者になりました。ちょっとしたアイドル並みの人気です。
そして頭に乗っているので結果私も人に囲まれる事態です。ちょっと大勢に囲まれるのは勘弁なんですが。
クーちゃんは順調に成長している。とは言ってもリンゴサイズがメロンサイズになっただけで物凄い巨大化は無いのであしからず。
いえ、たった3日程でこの成長は早い方なのか。クーちゃんは珍しい幻獣な様でギルドにも記録がないらしくどこまで育つのか分かっていない。私のスキルで取り出した卵だからバレたらヤバいだろう。それでも一応ギルドが防波堤になってくれているようで研究者の皆様は私に接触してこない。
あのボンクラ親子と違ってちゃんとルールを守っている人たちです。このまま会わなくても良いのになぁ。
今日の森での採取は珍しくジンさんが同行する。勿論リンクさんも一緒です。もうね、私と同じランクなので別行動する理由がないのよね。今日も彼は私のお守りです。お守りじゃなくて護衛って今度から言おうかな。クーちゃんは今日も私の頭の上です。しかも大きくなったのでまるで帽子の様だとベルさんは笑いながら悶えていた。ジンさん?最初から床と仲良くなってたよ。今日もクーちゃんは可愛い。
もう慣れ親しんだ森の中はいつものように木漏れ日がもれていて明るい。クーちゃんは初の森なので入った瞬間に頭から降りて走って行ってしまった。君ってそんなに早く走れたのかと感心するほど早かった。下手すると私の全力疾走より早い。あの短い足であれだけ走れるとはクーちゃんは見た目によらない。
「クーちゃん早い」
「幻獣だから」
「そうだった」
「(クーちゃんが今日も可愛いくて死ぬ)」
クーちゃんの可愛さに死にかけているジンさんはさておき、見失わないように目で追うも森では目立つだろう白い毛並みはもう見えなかった。クーちゃん速すぎる。
呼ぶと戻ってきたので安心した。が、暫くするとまた何処かへ行ってしまう。遊びたい盛りなのでそのまま好きにさせておこうと思う。勿論離れすぎないように言い聞かせた。保護者二人曰く幻獣とはこの世界の頂点に君臨する生き物で、そこらのモンスターや人間では歯が立たないので安心するようにと先日言われました。
でも見た目でどうしても守らないといけない気がして。
順調にクエストで指定された物を採取し終えて自分の調合分を採っている。新しく覚えた物はまだ無いけれど確実に錬金術は腕を上げていると思う。でもまだ上の物には挑戦する気はない。失敗すれば損害額が大きくて今の私の資金力では無理だからだ。それに必要性も今のところない。低級ポーションはギルドにある程度は卸しているし、このままでも食べていけそうだからそこまでやろうとも思わないのも試してみない理由だ。
あ、そうそう。クーちゃんの食費はそんなにかかってないよ。ナッツ5個が1回の食事で基本食べなくても害にはならないみたい。本人?が「食べなくても大丈夫」って言ってたし。え?クーちゃん喋れるのかって? 喋れないよ。ハイかイイエで意思の疎通は出来るから聞いてみたのさ。それと何となく言いたいことは分かる。ニュアンス的な感じでね。それじゃ良くわからない? 考えるんじゃない、感じろ。なんてね。私にもこれが本当かなんてわからないのよ。
とまあ、金銭的な事は一先ず無理して稼ぐ事はしなくても良いかなと。今後も低級ポーションは需要があるから食うに困らないし、無駄使いさえしなければ良いのだし、これで良いかなと。勿論貯金もしているよ。備えあればなんとやらだからね。
そんなわけで今日も低級ポーション他諸々の材料を採取しているのです。
すると、やっぱり何が起きるのです。もう私呪われてでもいるのかって位に何かに遭遇してるよね!
そこには前に見た緑の肌をしたモンスター・・よりも強そうな見た目のモンスターが。杖を掲げて何かを叫んでいる。
もしかして魔法の詠唱中ですか? ヤバい、逃げないと。
そう思ったのも束の間、モンスターの後ろから白い何かがモンスターにぶつかる。クーちゃんが果敢にモンスターから私を守ったのだ。
「クーちゃん!!」
見た目に反して軽いクーちゃんが私よりは小さいとは言え、余りにも体重差のあるモンスターに体当たりしたところで逆にクーちゃんがふっ飛ぶ、そう思っていた。
が、
「グゴッ!?」
クーちゃんの渾身の体当たり モンスターはひるんだ!
そう頭に浮かんだ気がした。モンスターは転びはしなかったがよろけて体勢を崩すと何かを唱えるのを止めていた。詠唱を中断したようだ。クーちゃんは私のところまで走って来てモンスターとの間に入り威嚇する。すごいぞクーちゃん。でも私には君が可愛く見えてしまうよ。
モンスターも崩した体勢を立て直すと持っていた杖をクーちゃん目掛けて振り下ろそうとダッシュでこちらに近づいてきた。
咄嗟に私は
「クーちゃん避けて!」
「キュ!」
と叫ぶと「わかった!」と言って軽く避けた。これ私が言わなくても避けたね。気分はなんたらトレーナーである。クーちゃんはポケットには入りそうにないけどね。
モンスターは焦れたのか魔法で攻撃しようと詠唱を始めようとしている。魔法を使うとき術者の周りが光るので分かりやすい。マップ上の赤▼も点滅して危険を知らせている。
私は直ぐにクーちゃんに攻撃出来るかを聞くと「もちろん!」と元気に返事をしたので速攻で攻撃を指示した。
するとモンスターは呆気なく倒れ動かなくなった。体当たりで仕留めるなんてあのふわモコボディーは不思議だ。それとも頭突きだったの?
「キューン!」
勝利の雄叫びをあげるクーちゃん。丁度ジンさんとリンクさんも合流する。
「大丈夫だったか!?」
ちょっと焦っていたのか慌てて私に向かって駆けてくる二人。でもクーちゃんの雄叫びの姿をした目にし、続けて倒れるモンスターを見て安堵した。幻獣は強いんだもんね。それが常識なんだよね。そうは見えなくても。
それにしてもモンスターと遭遇するときって何で誰もそばに居ないの?




