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私はお供を手にいれた

もふもふは正義


 何の気なしに取り出してしまった卵。手平に乗ったそれは鶏の卵よりも小さく、色が緑の宝石のような卵だった。これは知らない人が見たら宝石と勘違いすると思う。


 そんな卵をまじまじと見つめる私の横にリンクが来て一言。


「何を・・・出したんだよ」



 若干ひきつった顔で聞いてくるので



「な、何となく?」



 このあと珍しくリンクさんに怒られる私であった。


 日頃怒らない人が怒ると怖いのは本当だったよ。




 保護者二人が帰ってきてからもお叱りを受け、無闇にカタログから取り出さないと約束しました。うん、反省している。でも気になったんだもん、なんて言ったら一時間お説教コースになるだろうから口にはしなかった。


 この緑の小さな卵が果たして本当に生まれてくるのか疑問だが、温めてみようとみんなの意見は一致した。果たしてカタログから取り出した卵は生まれるのか。そして生まれるにしても何が生まれるのだろうか。


「そもそも幻獣とは?」


「色々な姿をしている」


「確か、虎の姿をした者は確認されていたわよ」


「龍も居たっけなぁ」



 幻獣とは一概にこれという種類が決まっていないらしく、ひと括りにされてはいるが「動物ともモンスターでもない動物の姿をしたものたち」の総称らしい。言葉を話す動物だと言ったらそれは本人達の前では言わない方がいいと言われた。とても気位が高い種族なのだとか。


 まあ、私も言葉を話す猿って言われたら怒るもんね。気を付けよう。




 取り出してしまった卵はタオルで包んで私のお腹辺りに固定する。そして私も毛布を頭から被り暖炉の前に座り込む。暖炉の前に居るのはいつもの事だと言われそうだが、反論はない。ホントだし。

 ベルさんの知っている事例では一年間孵化しなかった事もあるそうだ。いつまでこうしていられるか、夏は流石に辛そう。


 寝るときは湯タンポ(実は熱した石に布を巻いたもの)を入れて貰ってベットで一緒に眠った。暑くて夜中に起きてしまったけれど仕方ないかな。



 暖め続けて3日目、何か卵から音がした。その音は日に日に大きく回数も多くなっていった。元気そうで安心した。この音は嘴で殻を叩く音ではなく爪で引っ掻く音ではないかと言われた。言われてみれば確かにそうかもしれない。耳を押し当てて音に耳をすませていると途端に静かになるのだがこの子は恥ずかしがりやかな?


それにしても3日で活発に動き回るって成長も早いのか、カタログに入っていた?頃からすでにいつ生まれても良い状態だったのか不明である。益々自分のスキルが分からなくなった。


 そして一週間がたった頃。


 卵にヒビが入った。その様子を偶々席を外していた私は(お風呂に入っていました)見逃したことを悔しく思うも、その時のヒビが入る瞬間を見ていたジンさんの慌てっぷりを見て逆に冷静になった。実際になってみて分かった、本当に自分以外が混乱したりすると自分は冷静になるものなんだね。

 そんなジンさんはベルさんに頭をはたかれて正気に戻っていた。そんな両親を冷静に見ていたリンクさんはちょっと年の割りに落ち着きすぎでは?


 そんな事は置いといて、卵ですよ卵! ベルさんの見立てでは今夜中に生まれるのではないかと言うので今夜は徹夜です。いつもならもうベットに入っている時間帯。きっと明日は寝不足ですがワクワクしてそれどころではない。後の事は後に考えるとして、卵を持って暖炉の前に座る。

 もう卵も暖炉の前が定位置となっている。何故か暖炉前だと良く動くのだ。離れると途端に静かになる。これは私と同じで寒がりなのかな?


 カタカタ、ガリガリ


 あの騒がしい事が多いジンさんも静かに見守っているなか、この子は生まれた。



 きゃうきゃう!



 子犬のような鳴き声で卵の殻から頭を出す・・子犬? まだ頭に殻を乗せて体も殻の中。顔だけが見えている状態のそれは私の顔を見ると殻から飛び出して私の顔に張り付いた。

 一瞬何が起きたのか訳がわからない状態になったが、張り付いてきた何かは直ぐに落ちてしまったので直ぐに理解できた。落ちて膝にコロンと転がるものは毛玉。しかも卵から出たばかりなのにふわふわのモコモコ。まるで白い綿あめの様な見た目にピンっと尖った耳、顔は何だかサモエドに似ているそれはワクワクした顔で私の膝に鎮座していた。


 モコモコふわふわな子犬?を持ち上げると予想以上にモコモコふわふわで落としそうになる。しっかり両手で持ち上げるとどうやらきちんと胴体も足もあるようだ。丸すぎて見えなかっただけのようで足はある。

 黒い目と鼻が白い毛並みで良く目立つ。くりくりだね君の目は。


「きゅーん」


「「「!!!!」」」



 リンクさん以外の心が撃ち抜かれた瞬間である。



「なにこの可愛い生き物」


「━━━━━っ」


「撫でても良いかな?」



 もう撫でたくて撫でたくてしかたない。はっ、まさかこれがこの子の策略とでもいうのだろうか!?




 これは毛玉のお供を手にいれた?私の話。




 ところでこの子は私の頭が定位置になっているのですが、どうやって浮いているの?



 やっぱり不思議が絶えない異世界にでした。




 



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