表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/63

私は復活した

誤字報告ありがとうございます。本当にすごい量の誤字で泣きたいです。不治の病と思ってください。



 皆の衆、私は復活した!



 ・・・ごめんなさい。つい、テンションがあがって調子に乗りました。



 えっと、風邪が治るまでに一週間も掛かってしまいました。体力が元々無かったせいだと言われました。それを聞いたベルさんは私におやつを食べさせようと躍起になっています。いや、そんなに食べたら太るよ? 私が痩せすぎ? いやいや、大丈夫ですって順調に育ってますから。

 ・・・し、身長は平均以下だけど。


 風邪が治ったといっても未だに喉は声が出ない状況で、保護者二人は勘違いを発動して貴族に特攻しようとするので止めるのに苦労しました。リンクさんの「やめないとまた倒れるんじゃない?」の一言で何とか踏み留まってくれました。この保護者二人はモンスターなペアレントですかね。


 武力を持っている分こちらの方が恐いんですけど。



 そんなわけで暫くは筆談による意志疎通しか出来ないので外出禁止を受けてます。うん、治っても直ぐに何処かに行こうなんて気は起きないですよ。

 それにボンクラ親子による報復があるかもしれないとのことで余計に外出を控えるようにギルドからも言われてしまった。もうね、あの親子は自分がやらかしたことを分かってないね。いくら貴族っていっても庶民を無作為に傷付けるのが許されると本当に思っているのだろうか?

 思っているのだろうね。あの態度なら。



 そして私はいつものように部屋の日当たりのよい窓側で読書を楽しむのだった。



 ・・・たまに保護者二人が突撃してくるのだが、そろそろ私に構わずにギルドに顔出ししてください。




 読書をすること数十分。この物語の主人公は何でこんなに鈍感でモテるのだろう。これがニコポナデポと言うやつか。ヒロイン達の心情に同意出来ない。うーん、受付さんに今流行っている本をお願いしたのだけれどこれは私にはあわないかな。今度は受付さんのオススメを頼んでみよう。


 そう考えているとドアをノックする音が聞こえた。来客だろうかと耳を澄ませているとどうやらベルさんは客人を家に招き入れた様だ。受付さんかと思ったが呼ばれないので違うのだろう。


 招き入れたと言うことはマトモな人なのだろう。あのボンクラ親子が特殊だったのだ。普通は人様の家で暴れたりなどしない。



 そうして耳をすまし続けていると客人は帰って行ったようだった。


 何の用だったのだろう?





 その疑問は夕飯時に判明した。


 何時ものように、と思えるようになったこの家での食卓。テーブルには私の好物のシチューと柔らかそうな白パン。野菜は食べやすくしてくれたのか温野菜だ。おかわりをしたいがそれはまだ胃に負担がかかると却下される。うぅぅ、食べれるだけましなのだ。元気になったらいっぱいおかわりして良いと許可を貰ったので今回は諦める。でもシチューはおかわりしたかった。


 あのボンクラ親子のせいでシチューをお腹いっぱい食べられないなんて。くっそ。



「今日、領主から使者が来たわ」


「今更来たのか」


「今更━━と言うより、来れなかったそうよ。跡継ぎの行方が不明だったせいでこちらに気を向ける暇すら無かったって」


「だとしても、ここまで大事にしたのは当主として力不足だろ」



 いつもなら毒なんて吐かないジンさんがあからさまに嫌な顔をして辛辣に言った。当主ってことはこの土地を治める領主様のことかな。それにしても跡継ぎが行方知れずって穏やかじゃない。いつの世も跡目争いってのはあるもんなんだねぇ。



「そもそもこの騒動だって跡継ぎを巡って起こったことだろ。それに巻き込まれた方があっちに気を使うなんて」


「別に気を使ってないわよ。あちらが謝りたいって言ってきたから、そうですかって答えただけよ」


「・・母さんそれ了承も否定もしてない」


「そうよ」



 にっこり笑って「だってライトちゃんをもうこれ以上貴族と関わらせたくないじゃない」と言った。私としても貴族なんて関わりたくない。元家族の事があるから貴族に対していい感情がないのは分かっている。いい人も中にはいることも分かってはいる。

 それでも関わりたくなんてないのだ。


 あの時の、ベルさんに呼ばれなくて良かったと心の底から安堵した。



「何より、あの時にあのボンクラにライトちゃんの顔を見せたのは失策だったのよ。なのに私が会わせるとでも? 領主様でもお断りよ」



 そのまま話を聞いているとあのボンクラ親子は領主と姻戚関係にあるらしく、それを盾にしてかなり横暴な態度で街の人々を困らせているダメダメ貴族だそうです。

 ちょっとイラついただけで自分より弱そうな子供に殴りかかる奴だからね。領主様に怒られろ。今回の騒動で領主様の顔に泥を塗ったのだ。こっぴどく怒られてしまえ。


 え?私自身はなにもしないのか?



 厭です関わりたくない。今後一切関わってこないのなら私は万々歳。もう終わった事として忘れますよ。


 それにしても、私の被害より保護者二人の機嫌を損ねた事がギルドには痛手だったのではないかと思う。だって受付さんが直接お見舞いに来るなんて珍しいよね? 私はただのEランクのぺーぺー冒険者だよ。来る理由がない。

 それだけギルドにとって保護者二人が欠かせない冒険者だと言うことなんだろう。だから私のお見舞いに来たんだ。


 と言うことは、私に何かあれば保護者二人がギルドに迷惑をかけるってことだよね。・・・うん、今度からいつも以上に自分の行動には気を付けよう。もう人様に迷惑はかけまい。



 と、決意しているが保護者二人は手強いのであった。



 もうなんでこの二人私には優しすぎるの?







      ※※※※※※※※※






 隙間風が暖房も全くない部屋の温度を更に奪ってゆく。雪が降らないだけまだましだ。雨なんて寒い季節にはもっと危険。雨漏りはしないが風も一緒に吹けばそれは地獄の始まり。


 毛布なんて何の役にもたたない。薄っぺらい毛布はもう穴だらけでちっとも暖かくなってはくれない。それどころか手足の感覚が無くなるほどだ。不思議なことに他の家族の部屋は隙間風等ないのに・・・何故かこの部屋だけが寒いのだ。理不尽だ。


 壁の穴からはネズミがたまに顔を出すが、この寒さにネズミさえ出てくる気配がない。



 遠くから楽しげな声が聞こえる。多分家族達の声かな。



 私は一度も家族団欒なんてしたことがない。兄弟達も私のことなど知らないのではないかと、存在を抹消されているのではと思えてきた。どうでもいいけど。


 おばあさん侍女さんは優しいけれど、私に肩入れしすぎると追い出される可能性があるから寒くても使用人の部屋には行けない。



 あぁぁ、寒いなぁ




 ━━━━━と



 それにお腹も空いた。今日はパンは貰えたけど一個はキツいなぁ



 ・━━て、━━━━━い



 温かいスープが飲みたい



 ━━━ろ、おい!!



 あ、今度ミルクを台所から少し拝借してしまおうか、それを少し温めて・・・



 ━━━・きろ━━━



 ・・さっきから何か騒がしけど何か



 ━━━だ。朝だよ。ご飯食べないの?




「たべる!!!」




 ━━━━━ん?



「おはよう、もうとっくに起きる時間は過ぎてる・・また具合悪くなった?」



 あ、リンクさんおはようございます。



「うんおはよう。声はそのまま出さない方が良いよ。スゴいがらがら声」



 はい、そうします。



 リンクさんが起こしてくれたことで嫌な夢から目覚めることができた。ありがとー。


 それにしても嫌な夢だった。昔のことを思い出すなんて。きっと貴族の話をしたせいだ。おのれ貴族め。・・善良な貴族の皆さんごめんなさい。きちんと仕事をしている人はあてはまってないですからね。


 遅い朝御飯を食べて保護者二人を見送る。漸く二人は自主的な謹慎を解くみたい。ギルドの人たち怒ってないと良いのだけど。私もキチンと謝っておかないと。それだけ迷惑かけたんだし。


 今日も今日とて、読書をすることにした。まだ風邪の菌が体内にいるかもしれないのでポーションを作ることは暫くはお休みだ。なので今日は錬金術━━応用編━━を読み進めて見ようと思う。この分厚い本を一冊読むのにどれ程掛かるのか全く予想できない。内容を理解するのにも掛かるだろうと思われる。途方もない時間が掛かるだろう。

 暇潰しにはもってこいな本だと思った。



 読んでいくうちにその面白さに時間も忘れて読み進めていた。リンクさん(今日も私のお守り)が昼御飯だと呼びに来てくれなけれなければ私はお昼を忘れるところだった。それは私にとって大いに死活問題である。


 今回の風邪で胃がすっかり小さくなってしまった様で、以前より一度に入る量が少ないため、1食でも抜いたものなら空腹という地獄を見ることになる。ひもじいのはもう嫌だ。

 ベルさんが用意してくれたお昼はベーグルのようなパンに甘い厚焼き玉子を挟んだものとコーンスープ。とても美味しゅうございました。


 もう少し食べたいと思いベーグルの入っているバスケットを覗こうとして止められる。うん、食べないよ。1個でもキツかったからね。でも美味しそうで・・つい見ちゃうんだよね・・



「・・・もう少し落ち着いてから食べるならいいよ。部屋に持っていきなよ」



 リンクさんのお許しも出たのでバスケットからベーグルを2つ



「1つ」


 ベーグルを2━━「1つだよ」━━はい。1つにしておきます。



「・・・また作ってもらえば良いのでは?」



 確かにまた作ってもらえば良いのでしょう。けれど、それだと違うもっと美味しいものが食べれる機会が少なくなる気がしませんか?



「そう?」


 そうですよ。1個でもだぶるとどんどんずれていきます。明日食べれるはずだった新たな今だ見ぬ美味しい料理たちがまた次の日にずれ込むのですよ。それは損です。


「明日食べれるのに?」


 何かあってまた食べれなくなることだってありますよ。あの時もハンバーグ食べそこないましたし。無念ですよ。


「あの日は連絡を受けて母さん達はそれどころじゃなかったから、結局ハンバーグは食べなかったよ」


 ほうほう。で、因みに何を食べたんです。


「暇がなかったから、買ってきたパンと温めたミルク」


 だけ?


「だけ」


 そ、それは、とてもご迷惑おかけしました。


「ライトは悪くない」


 そう言ってもらえると心が軽くなります。

━━━それでですね、何故私は一言も話していないのに会話が成立するのでしょうか?


「顔に出てる」


 マジでか。そんなに分かりやすい顔でしたか。


「うん。(騙されやすいのも危険だよ)」




 リンクさんは顔から私の考えを読み取れることが分かったところでお昼はお開きとなった。━━ベーグルは勿論部屋にお持ち帰りしました。おやつにたーべよ。




 これは嫌な夢を美味しい物で忘れる単純である意味最強な私の話。


 嫌なことも直ぐに忘れられるのは時に強みになるよね。



 部屋に戻って直ぐにベーグルを食べて腹痛に見舞われら私がいたことをここに記しておく。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ