私は槍を手にした
誤字と和睦したい。誤字報告ありがとうございました。m(_ _)m
槍、それは主に突きや凪ぎ払い、物によっては斬撃などの攻撃方法が一般的な武器である。類似武器には薙刀などがあるが彼方は突きではなく凪ぎ払いが得意である。
剣や素手よりもリーチが長く、相手の接近を許さず攻撃できる利点が有るものの、接近を許せばたちまち不利になる少し使い勝手が悪いと思われる武器である。
しかしそれは間違いだと教官は言った。
「槍は突く、斬る、凪ぎ払うの3つしか出来ないと思われがちだ。だが、それは違う。何より剣だって斬る、突くは出来るが槍には剣にはない利点がある。」
「?」
「それは上からの降り下ろしだ!」
「降り下ろし?」
教官が言うには長さのある棒切れでも降り下ろせば板切れ程度は叩き割れる威力が有るそうで、バカにはできないらしい。
では何故槍は人気がないのか。
それは剣の方が格好良いから、というなんとも脱力する理由だった。世界全体での傾向の話であってこの街での理由ではないと一応言い訳をしてみる。
ならこの街で不人気の理由は何か、それは決して格好いい剣が格好いいからなんて理由ではなく森に囲まれたこの地方の地形に関係しているからだ。
つまり、木々が繁った場所でで戦う事が多いこの周辺では小回りの聞かない槍よりも剣が有利のため、剣が人気なのだそうだ。
遠くから攻撃する場合は弓矢があるので槍の主要も低く、この街にいる槍使いは門番など拓けた場所で戦う職業の方々以外には珍しいらしい。
槍を貰った次の日、訓練所に行き槍の訓練をお願いするととても驚かれた。そこまで不人気か槍。不憫である。
「先ずは槍に振り回されない様に扱いになれること。その長さになれるためにも日頃から持ち歩くこと。穂先が危険だと思うならばこの布を巻くといい」
そう言って手渡された布を槍の穂先に丁寧に巻く。途中でほどけて怪我をしたくないのでしっかりと巻いた。当分使うことも無いだろうし、簡単には解けない様にした。
私の身長程はある槍を背負って歩くのは結構大変で穂先を下に斜めに背負っているのでどうしても右側の柄の部分が物にぶつかりそうになる。柄ばかり気にしていると今度は穂先が何度も自分の足にぶつかり布が無ければ足は切り傷だらけになっただろう。スキルが無ければの話だが。
家に帰っても私は槍を背負い続けた。
食事やお風呂、睡眠時以外は槍を持ち歩き暇な時には誰も居ない場所で振り回してみたり。そして手からスッぽ抜けて明後日の方向に飛ばしたり。鍛練だけでは何の成果も得られていなかった。
そんな日々を過ごすこと二ヶ月後、私は南門近くの草原に行こうと思った。私が模範的な態度だったので厳重な監視は解除されたので一人で外に出たくなったのだ。
森にさえ入らなければOKと許可が下りたのだ。だからベルさん達は別行動だ。保護者二人はそれぞれの仕事に向かいました。
さあ草原に行こうと街から出よう門を潜ろうとした私をリンクさんは呼び止めた。
「嫌な予感がする。これを持って行って」
「? これは?」
「御守り」
そう言って自分はさっさと南門門から外に出ていってしまった。門番からは温かい目で見守られている。ちょっと恥ずかしい思いをして渡された御守りを見る。
それは鈴のような見た目の光沢のある大きいビー玉サイズの銀色の、鈴? 優しく振るとチリンと澄んだ音がした。金属のようで硝子のような音だ。とても綺麗で大切にしようと嬉しい気分でポーチにしまう。
でも、渡すときはもう少し人目が無いところでお願いします。大通付近だったので微笑ましく見守る大人の目がとっても恥ずかしかったです。
そして恥ずかしさから逃げるように草原に行くのであった。
草原には人影は私以外には誰も居ない。晴れ渡る青空に心地よい微風と丁度良い気温の絶好の鍛練日和だ。
槍の事だが、成果が全く無いわけではない。振り回しても手から抜けて飛んでいくこともなくなったなです。
実は薄々感じていたのだが、私は運動音痴まではいかなくともどこか抜けているせいで体を運動が苦手のようです。それを世間では運動音痴というのかもしれないが、私は頑として違うと否定する。
元々素人が直ぐにでも扱えることが珍しいのだ。だいたい、この街に住む人達は代々冒険者が多いので土台がそもそも違うのだ。え?私の生家も元々は武功をたてたから貴族になっただろう?
地位に胡座かいている時点で武人としての血はどこかに消えたと思います。てか、もしかしたら血が繋がってないかもよ。その武人とは。そのくらい戦いを知らない人達でしたよ。多分だけど。
日課の素振りをやるには広い場所が必要だ。剣より長いから槍は庭では危なくて振り回せないのだ。こんなところも槍の不人気に繋がるのかも知れないね。
木製の槍なので鉄製の槍よりも軽いこの槍は子供の私でも振るう事は出来たのだが、やっぱり長い分木刀より重いので直ぐに疲れてしまうのだがここ最近はそんなことも減ってきて鍛練の成果は少しは・・・・
モコッ
「・・・もこ?」
モコモコ、モゴ!
変な音がしたが周りは見通しのいい平原。遠くに南門が見えるだけで音の正体が見えない。もしかして幻聴?
気になる音だったのでマップに集中すると、赤い▼が私の真横まで移動してくるのか見えた。だが私の周りには何も居ない。
何かが私の周りに居る。そう思うとある光景が思い浮かんだ。
前世で私は弟から貰ったゲームを遊んでいた。モンスターを狩って武器や防具を作ってより強いモンスターを狩っていくゲームだ。
その中で地中に潜り移動するモンスターが居たのを思い出す。
そのモンスターで自動的に位置をマップに表示するとちょうどこんな感じに━━━
私のあまり役に立たない直感が今回は言うことを聞けと警鐘をならして動くなと警告する。地面に潜る生き物は耳か鼻がいいと聞いた気がする。とくに肉食のモノは獲物の足音を聞き取ることに長けている。
動いたら、声を出したら殺られる。
私は察した。だが、声を出せないということは助けも呼べないということだ。スキルのお陰で防具力はおかしな程に高いが痛いときは痛いので攻撃はなるべく受けたくない。
それにしてもどうして私が外に出ると何か起こるのだろう。幸運値は高いのに・・・悪運が強いってやつなのか?
ってそんな事考えている場合じゃないよ!!
どうにか痛い思いをしない方法でこの窮地を打破しなければ。
私の右手側に南門が見えるが多分門番はこの緊急事態に気が付いていない。門番クラスの戦闘力なら驚異にもならないザコでも私のような子供にとってはザコも中ボスクラスに昇格だ。私がザコ以下のザコなばかりに・・・
それに私が攻撃を喰らって無傷なところを見られるのも説明が面倒なので遠慮したいのだが━━あ、門番は詰め所に入って丁度こちらを見ていない・・気がする。マップで確認━━範囲外だと! ッチ、ならばマップの倍率を縮小して索敵範囲を広が━━った! 広かったよ。ありがとうマップと索敵スキル。応用が利くなんてなんて便利!
若干テンパって何やら無茶苦茶な思い付きだったが成功して良かった。
マップを縮小して索敵範囲の拡大を成功させ門番がこちらを見ていないことを確認した。これなら攻撃されるのを見られて面倒なので説明をしなくて済むぞ!
この時の私は多分混乱していたのだ。門番が此方を見ていないということは助けもないということを私は最後まで気が付かなかった。
これは私が少しは槍を扱えるようになるべく鍛練をしていた話。
そして私は初めての一人での戦闘に挑むのだった。
もちろん後で怒られる未来があるのだが。
今日の更新はこれで終わりです。明日からは1日1回あれば、良いなぁ。




