私はギルドへ行った
設定はふんわりと考えてるので変でも気にしないでください。
リンクさんときちんと話すことができた私は今、ギルドに来ている。
付き添いにベルさんも保護者ということでついてきてもらった。深緑のマントをかぶり看破防止の防具を見つけたので防御力強化も兼ねて装備している。もし看破スキルで見られても安心だが、看破を無効化したことで目を付けられそうだけど見られるよりはましだと思う。正直に言うと見られること事態が気に入らない。
さて、目的は勿論はギルドカードの発行だ。冒険者としてクエストを受けなくてもカードだけ持ってい事は珍しくなく、身分証明としてこの街の住人は皆カードを発行してもらうのだ。
とはいえクエストを受けない事による罰則はないのはランクがDランクまで。Cランクからは1ヶ月に1度はクエストをこなさなければ降格となる。
ランクアップは任意でするので自分の意思でCランクに上がるので滅多に降格になることはないらしい。
Eランクは遠くの村や町からやって来た駆け出し冒険者とこの街の子供が殆ど。Dランクは半人前の冒険者とこの街の大人達。
Cランクからやっと一人前の冒険者として扱われる。Cランクから一般人から冒険者へと扱いが変わるらしく、殆どが討伐クエストをこなしているらしい。
Eランクではお手伝いから薬草類の採取クエスト等大人から子供まで出来るクエストか中心。私もここから始めるのだ。誰しもがここから始めるので簡単なクエストしかない。その代わり報酬も少ない。
Dランクからは大人向けの力仕事や臨時の代筆等の仕事がメインだ。他にも少し危険な場所での採取もあるそうだ。年齢制限もあって16歳以上からランクアップ可能。
ギルドの建物はこの街の役所よりも大きかった。
頑丈な造りの石材で作られた建物はどっしりとしていて荘厳だ。武骨な造りとは裏腹に内装は木材をふんだんに使っていてまるで西部劇に出てきそうな酒場?
「酒場?」
「一階は酒場なんだよ。クエストの受付は一階だけどギルド員は上で仕事をしているんだよ。まぁ、カードの発行とか諸々面倒なのは二階でするから」
「今日は二階に上がるよ」と言って先導するように階段を上がっていく。階段や手すりは磨かれて木材独特の光沢をしている。特に手すりの木材は高そうだ。
全く音が出ない階段を上り綺麗な内装の二階にやって来た。例えるならば外国の高級ホテルか銀行。磨かれた大理石の様な石の床に柱。受付は高級そうな木と大理石を組み合わせた台。
何だか居心地が良くない。私に染み付く庶民の感覚は健在のようだ。隅っこに縮こまっていたい衝動に駆られる。
今日は空いているのか私たち以外には誰も居ない。一番乗りって時間でもないのでこちらはあまり人が来ないのかと推測される。
「カードの発行と冒険者登録を頼みたいのだけれど」
「ようこそ冒険者ギルドへ。手続きを行いますのでこちらの書類に目を通してサインをお願い致します」
「懐かしいやり取り・・」
しみじみと昔を懐かしむベルさんを横目でみる。ベルさんも何年か前にここに来て登録したのだろうか。
因みにベルさん達は今年で29歳。若い!16で結婚して出産したから若い。でもこの世界では成人の16歳で結婚は普通で、もっと早くに結婚する人たちもいるそうです。でも基本16歳以上が一般的であまりに若すぎると後ろ指を指されるとか。そりゃあね、歳の差が空きすぎていても印象が良くない。
聞こえていないだろうけど聞いてるか元両親よ。歳の差がありすぎるとダメなんだってよ。常識だってよ!
「ライトちゃんもちゃんと読んでね」
「はい勿論」
ベルさんは渡された紙切れの書類の内容を確認して私に渡してきた。どうやら不備はないらしい。それでも私に確認させるのは私が損をしないための癖をつけさせるため。自分の権利も財産もいつかは自分で守らないといけない。だからこうやって自分で確めてサインを書かないととても危ない。お婆ちゃんが言ってた。
「サインを書くときは三回は読み返さないとね」
・・・お婆ちゃんと同じ事言ってるよベルさん。きっとこの教えは常識なんだね。うん、自衛は大切だよ。ちゃんと言われた通りに最低でも三回は読み返すね。
きちんと三回は読み返す。
誓約内容の内容は、冒険者同士の争いは基本ギルドは関与しない。決闘等の審判を依頼されれば仲介もする。例外的にギルド内での戦闘は処罰の対象になる。クエスト失敗は厳罰対象ではないが記録には残る。等々。
つまりは争いご法度、自分の実力に見合ったレベルのクエストを受けましょう。悪い記録は永劫残るので何か査定等では悪い判定になるよって事。
つまり普通に過ごしていれば良いのですね。戦闘なんて怖いから却下。装備でどうこう出来るレベルじゃないもん。あのスキルは武器は出せないし、怪我をしたら痛いだろう。痛いのは嫌いだ。
誓約内容はどれも守れる範囲で不振な点も無かったのでサインをする。
他に記入する項目に年齢、性別、種族、出身地とあったがベルさん曰く出身地は空欄で良いそうだ。なのでそのまま出身地は空欄で出した。
「確認いたします・・・・はい、不備などは御座いませんね。それでは少々お待ちください」
受付の女性は奥にある水晶珠に書類を乗せた。すると書類はみるみる内に溶けて消えてしまった。水晶の隣にあった台が淡く光とカードが現れて驚いた。やっぱり間近で魔法的なものを見ると驚いてしまう。
私のスキルも十分ファンタジーだって? あれはあれは、それはそれ。自分のスキルはそこまですごくない。
現れたカードをもって受付の女性は戻ってきた。後は私の血を1滴垂らせば登録完了らしい。
指に針を指すことに躊躇することなく無事登録完了し、手渡されたギルドカードをまじまじと見る。最初のEランクのカードの材質は鉄。Dは銅、Cは銀、Bは金。そしてAはファンタジーでよく聞くミスリル。Aランク以上のSやSSランクはオリハルコンに竜の鱗と説明を受けた。竜ってこの世界にいるのね。少し怖いが、滅多に人里には来ないのでひと安心する。
クエストを達成するとそのクエストのランクに応じてポイントが貰えて一定以上貯めると次のランクに昇格出来るシステムだ。
ま、私は年齢制限に引っ掛かって当分はEランクだけどね。
今日は期限がない採取クエストを受注しておいて明日にベルさんの付き添いのもとクエストをこなす事になった。
一階の酒場兼ギルド受付にある大きなボードの前に案内された。貼り出された依頼書の両は貼る場所によってばらつきがあって真ん中のボードはいっぱい貼られているのに対して両端は疎らだった。特に奥の方、左側のボードは5枚位しか貼られていない。あれは高ランクのクエストかな?
「このボードに貼られているのがクエストの依頼書。出口に近い方が低ランクの依頼書だね。最初のオススメは~、これだね」
そう言って剥がしたのは薬草の採取クエストだった。依頼内容は薬草30束の納品。期限はなし。どうやらこの手のクエストは常に張り出してあって私のような初心者にはギルドからもオススメされているそうだ。
「受付では何も言われなかったよ?」
「ギルドは良くも悪くも放任主義だから自分から聞かないと情報は寄越してくれないよ。だからギルドに来ることがあれば情報収集がてら聞いてみるといい。聞かれれば情報はくれるから」
私がケチ臭いと呟くと
「事務的にしないと長い列が出来るでしょ? 早く対応するためには余計な会話はしないのが一番ってこと」
うーん、確かに3つしかない一階の受付ではこの大きな街に集まる冒険者を捌ききれないだろうね。世間話なんてしようものなら長蛇の列を作るし、人がある一定数集まりすぎるといざこざも増えるし妥当な判断なのかなぁ?
この世界での考えでは日本の接客体制では回らないのかと改めて私の知らない世界なのだと感じた。
この時の私はお気楽に「ゲームみたいだなぁ、でも討伐クエストは行きたくないなぁ」なんて気の抜けた事を考えている傍らで鋭い目付きで酒場に居た冒険者達を牽制していたベルさんが居たことは気づかなかったのだった。
これはのんきな私が実は危ない状況をベルさんによって回避した時の話。
後に発覚するベルさんの正体に驚愕するのはもっとあとの話である。
ギルドの設定は良くある感じだと思ってください。