表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/63

私は状態異常を知る

 主人公はステータスを確認する癖を付けた方がいい。

 ベルさん達宅に居候することになったライトです。


 いやぁ、一晩眠ったらとっても晴れ晴れとした気持ちです。

 昨日の憂鬱っぷりは何だったのかと思う程ですね。



 まぁね、原因は分かってるんですよね。



 はい、一日ぶりのステータス画面! 昨日はカタログばかりでステータス画面を見てなかったね。見ていれば少しは何か変わっていたのかな?


 はい 皆さん注目。



 名前 ライト


 性別 女


 種族 人間


 レベル 1


 状態 正常


 HP:100/100  MP:1445/1450


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 はい、レベルの下に状態の項目がありますね。実はですね、今日の朝起きて直ぐに何となくステータス画面を見てみたのです。するとですね━━━状態の項目が正常ではなく恐怖って表示されていました。直ぐにベルさんに報告して朝御飯前に状態異常を解除してもらいました。苦いポーションで食欲が半減したけどね。



 ・・・うん、原因は分かっている。あの豚頭のモンスターの咆哮で状態異常を起こしてたんだね。


 だから少し精神的に弱ってたのかもね。



 恐怖状態の主な症状は弱気になりやすく、逃げやすくなる。モンスターの中にはそうやって獲物を狩る事もあるらしく、よく逃げ出さなかったよね。その時の事を二人に話すと━━



「なんて危ない事をしてるの!」


「二度と夜の森には入るなよ。運が悪ければ死んでたぞ。」


「入らないといけない場合は私達に言いなさい」


「そうだな。絶対に言えよ」



 と、やってはいけない事を二人に丁寧に叩き込まれて何かあれば必ず頼ることを約束させられた。それと危ない事をしたので怒られたが直ぐに無事てよかったと頭を撫でられた。その時にはもう昨日のように怖いとは感じなかったのでホッとした。



 そして美味しい朝御飯をご馳走になってひとまず満足。至福の食後のホットミルク(贅沢にハチミツ入り)を飲んでまーったり。すると私の索敵範囲内に誰かが侵入してきた。いや、侵入してきたは無いか。だってこの家の住人だもの。



 ベルさんとジンさんには一人息子がいて、その人は私より1歳年上の13歳。ギルドに登録出来る12歳になった去年に冒険者としてデビューして昨日は泊まりがけの依頼に行っていたので昨日までには顔見せは出来なかった。


 つまり、彼にとっては知らぬ内に他人が我が家に住み着いたのだ。多感なお年頃に同世代の異性(しかも赤の他人)との共同生活なんて苦痛だろう。私は彼の反応次第で今後の身の振り方を考えなければならない。険悪な関係になったなら半年後には早々に出ていった方がいいからね。


 半年過ぎたら出ていくのが正しいよね。私は他人だし。


 12歳の私なら直ぐにでも稼ぎ出してお金を貯めよう。何処か安い部屋を借りて・・・子供に部屋を貸してくれる所があることを祈ろう。



「・・・・・」


「・・・・・」



 そして初めての顔見せは無言から始まりました。さあどうするか私。目の前の少年はメッチャ美形だぞ。そりゃあ両親が美形だぞ、美形である確率は高いだろうさ。

 でも美人の真顔は怖いって誰かが言っていたけど本当だったのか。うん、目の保養ですな。


 沈黙を続ける少年は少し癖のある前髪の落ち着いた色の金髪を後ろで1つに三編みしている。そしてつり目の空色の目。顔つきはどちらかと言うとベルさん似。でも眉毛の形はジンさん似だね。そしてやっぱりエルフ耳。両親がエルフならエルフですよねぇ。

 1歳違いのハズが彼は私よりも頭1つ分よりも高い。性別の差と言うよりも私がチビなのだろうか。肩なんて私よりも丈夫そうなまだ幼いながらも私の知る同年代の子よりもがっしりしている。出身の村の子供は私ほどではないがガリガリ一歩手前な風体だった。きっと栄養の違いだろうな。


 そんな見るからに健康そうな彼は私が思考を彼方に飛ばしていたにも関わらず未だに無言である。


 一応挨拶はした。名乗りもした。けれど返答がない。



「あの、出来れば名前を━━」


「あ? あぁ、リンク。俺はリンクという。母さんから話は聞いた。よろしく」


「あ はい。リンクさんですね」


 まるで何作も出ているゲームの勇者みたいですねぇ~、何で言うところだった。似てはいないけど金髪エルフ耳で名前がリンクって誰かの陰謀で付けられたの? もしかしてベルさんかジンさんのどちらかが私と同じく前世の記憶持ちとか?



 ここは然り気無く名前の由来を聞いてみよう。



「えっと、知り合いではないんですけどリンクってお名前を何処かで聞いたことあるんですけど・・何か由来が有るんでしょうか?」


「敬語は無理して使わなくてもいい。名前は俺の両親の故郷ではありきたりな名前だ。エルフの街では3人に一人はリンクだ」


「へー、そうなんですねぇ」



 まさかのありきたりネーム。あれか、日本でも花子・太郎に匹敵するよくある名前なのか。リンクさんの話はまだ続いた。



「昔、エルフの街を救った英雄が助けた子供に付けた名だ。何でも『サンカク』の力を狙う魔王を何度も打ち倒した勇者からあやかって付けたらしい。たしか「金髪エルフ耳の少年ならリンクしかない」って言ってたらしい」


「(その英雄さんもしかして私と同じなんじゃない)」


 微妙に隠してるけど隠しきれてないぞ名前がまんまだもん! そうやってあやかって皆付けたんだなそうなんだな。



 その後も話始めるとさっきまでの沈黙が嘘のようにポツポツとややゆっくりめに話してくれた。つり目できつく見えるが性格はおっとりしているのかも知れないと思った。



 リンクさんの名前を付けたのはベルさんのお父さんでその人もリンクというらしく先祖代々男が生まれたらリンクと名付ける決まりがあるらしく、初代リンクさんから綿々と受け継がれてきた名前だそうだ。


 そう、リンクさんの先祖はあの英雄に助けられ名前を付けられた子供だったのだ。どういった経緯でそうなったのかは知らないらしいが世界的には一族皆同じ名前というのは別に珍しくないそうです。すごいな異世界イーリス。王族なら2世、3世とか聞いたことあるけど。呼び辛そうだね。名前を呼んだら全員が振り返るんでしょ?


 その後も話は続き、私の名前の由来や拾ってもらった経緯。これからの事。ギルドでの手続きの仕方を聞いたり。

 そして何故始めに無言になった理由も話してくれた。


 この世界には当たり前に魔法があって、スキルがある。手紙の様に伝えたいメッセージを相手に届ける魔法も存在するらしく、その魔法で私が居候は事前に知らされていたそうだ。そして昨晩の精神状態から下手に話しかけて負担をかけるのもどうかと思い何と話しかけるべきか悩んでいたそうです。因みにジンさんはギルドに呼ばれて出掛けて留守ですが、ベルさんはご在宅中です。キッチンから何やら良い匂いが漂って来ています。


 いやぁ~その節はご迷惑をお掛けしました。もう大丈夫だとリンクさんに説明しているとコーヒーの香りと共にベルさんはリビングにやって来た。



「打ち解けたようで安心した」



 笑いながらコーヒーが注がれたマグカップを私とリンクさんの前に二つ置いた。どうやらキッチンから私たちの反応を伺っていた様だ。なら出てきてほしかったなぁと心のなかで愚痴っておいた。



 この調子なら嫌な思いをお互いにせずに半年が過ぎそうだと安心した私であったのでした。




 これは人と会話をすることが少し楽しく思えた私の話。



 リンクさんは甘党な上に猫舌であったことはここに記しておこう。





 エルフじゃないけどあれはエルフ耳に入るのでしょうか?

 そして話は進まない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ