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 「おい、聞こえているのか」

 こっちは気が付かないふりをわざわざしているのよ。

このままスルーしてほしいという願いもむなしく、馬から降りた男が麻衣の肩に触れた。


 「なんでしょうか」

 そんなに揺らさなくてもと思うほど、がくんがくんと揺らされて、しぶしぶ顔を上げた。

 男の顔がびっくりするくらい近くにあって、思わずのけぞってしまう。


 「お前、これまでに見たことがないほど図太い奴だな。寝ているなんて信じられん」

珍獣でも見るかのようにじろじろと頭の先から爪の先まで見られて、呆れたように言われる。


 いやいや寝ていたわけではなく、隠れていたんだよと反論したい気持ちをぐっと抑えて、麻衣も相手を観察する。さっきは違うにしても、かなり図太く眠ったことは間違っていないし。


 年のころは同じくらい、軍服のようなものを身につけていることから言って兵士なのかもしれない。外見的要素は特出すべき点は特になく、しいて言うならば身体が大きくて筋肉ががっつりついていることが特徴なのかもしれない。


 「ばば様の予言で落ち人が来ることがわかって迎えに来た。すぐに来たかったんだが、珍しい突風によって1週間ほど迎えが遅くなったことは悪かった。まさか落ち人がのんきに寝ているとは思わなかったが、これまでの落ち人に比べてお前は精神が太くできているようだな」


 当たり前のことを言っているかのようによどみなく話す内容は、麻衣にとってはさっぱり何のことなのかわからない。


 「さ、行こう。馬には乗れるか?」

 男はさっさと馬に乗り手を差し出す。

 「なにをまごついてるんだ?早く行かないと、到着登録期限ぎりぎりになってしまうじゃないか」

 反応を返さない麻衣をせかすように腕をつかみ、馬上に引き上げた。


 「ちょっと待って!この状況が全然わからないんだけど、あなたは私がなぜここにいるか知っているってこと?というか、ここはどこ?ばば様って誰?期限って何のことよ?」

中途半端に引き上げられた体は、今にも馬から落ちそうだし、意味の分からないままどこかに釣連れていかれるなんて怖すぎる。


 「何言ってるんだ、お前自身が望んだからここにいるんだろう?」

怪訝な顔をして見下ろしてくるゴツイ男。名前もわからないし、ゴツ男さんと便宜上呼ぶことにするけど、言葉以外に顔にも何を言っているんだと書いてあるような表情をしている。


 こっちだよ、私こそ何言っているんだと言いたいよ。

「望んだもなにも起きたらここにいたのよ。何がどうなっているのかさっぱりだし、夢なら早く冷めてほしい状況だよ」


「…わかったとりあえず、事務所に向かおう」

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