第3話「揺るがないもの」
船の中にあるレストランのテーブルに三人の姿はあった。上機嫌にステーキを食べるジャン。スロットでマオに泣きついていたのはどこへやら。
「このステーキ最高だぜ!」
「調子がいいよ。ミルフィーに感謝しなよ」
「してるぜしてるぜ! ミルフィーたん、あんがとさん!」
実は、残り五枚だったメダルを五十枚までにミルフィーが増やしていたのである。たまたま運がよかったとはいえ、ジャンにとっては幸運の女神。
「たまたまに過ぎないよ。分かって?」
「充分に分かったぜ」
「そういえばミルフィー。ヴィーネの姿が見えないんだけど。一緒じゃないの?」
「今は別行動してるの。カムちゃんとネルちゃんを捜すのなら手分けした方がいいと思って」
「捜してくれてたんだ」
「当然でしょ。友達だもの。それに約束したでしょ」
「ありがとう。嬉しいよ」
マオがミルフィーにニッコリ微笑む。
笑顔を向けられたミルフィーは身体に熱を感じた。半年会っていないせいもあり、その効果は抜群のようだ。
「なあなあマオっち。ボクもカムアたんとネルガたんとヴィーネたんを見たいぜ」
ステーキを平らげたジャンは、自分だけが見えていない三人のことを話すマオとミルフィーが面白くない。自分だけが見れないことが悔しくて堪らない。
「オレだってお前に見せてやりたいよ」
「見えない方がよかったりして。ジャン君のイメージを壊しちゃうかもしれないでしょ?」
「いーや! これだけは断言できる! 三人はぜーったいに可愛い! ボクの勘だぜ!」
マオとミルフィーにナイフとフォークを向けて力説するジャン。彼の凄いところは、見えないものを信じていることだろう。三人の存在をあっさり肯定しただけでなく、自分が持つイメージを疑がわない。そんな性格を周りはどう見ているのかは分からないが、少なくともマオとミルフィーは感謝している。
「ごちそうさま。さてと、一旦部屋に戻ろう。食べたら眠くなっちゃったもの」
「そうだな。案外やることもないし、オレも一眠りしよう」
「ボクは船を探検するぜ」
こうして三人は一旦別れた。




