表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほんわか天使とツンデレ堕天使の人界散策  作者: 碧衣玄
第一章 天使と堕天使
6/200

第6話「堕天使のキス」

 カムアの言葉にマオは首を傾げる。


「天使のキス?」


「天使のキスは幸福をもたらすの。神界で天使が天使にしているわね」


「ふーん」


「その反応はなんなわけ!?」


「お前、人間に触れないだろう」


「それはそうだけど」


「それに天使だって相手を選ぶだろう。仮にできるとして、お前は誰にするつもりだよ?」


「うっ……」


「それに、キスしたところで何の解決にもならないし」


「うっ……うっさい! 言ってみただけじゃない!」


 顔を赤くしてカムアはそっぽを向いた。天使としてできることを言ったまでなのだが、マオに言い負かされて悔しくなる。


「なあ、さっきから思ってたんだけど、お前随分と小綺麗だな」


「そりゃそうでしょう。天使だから、怪我をしてもすぐに治るし、病気もヘッチャラだし、どんな汚れもすぐに落ちるからいつでも清潔なの」


「水にも触れないのに五年も小綺麗なのはそういうことだったんだな!」


「随分と素直な反応ね」


「空を飛べるとか天使のキスってやつなんかよりも凄いと思ったよ」


「そ、そう? お、思い知ったようね!?」


 マオに凄いと思われて嬉しくなるものの、それを見せれば舐められると思い感情を押し殺すが、顔の熱さはなかなか引かない。


「どうしたんだよ、顔が赤いけど?」


「うっ、うっさい! そんなにジロジロ見んな!」


「まさか風邪か? 病気もヘッチャラじゃなかったっけ」


「アタシが風邪なんかありえない! あまり舐めないでくれない!」


「いつオレがお前を舐めたんだよ?」


「アタシのことを忘れてたじゃない! それにさっきから――!?」


 カムアは興奮するばかりにバランスを崩す。ベンチに座るマオの顔に向かって自分の顔が近づいているのを自覚する。

 突然のことに目を見開いて驚くマオ。自分の唇に別の唇の感触があるからだ。


「――お前いきなり何すんだよ!?」


「こ、これは事故だから! だからノーカン!」


 二人とも思わず唇を手で拭うが、先に冷静になったマオがカムアの腕に手を伸ばした。伸ばした手はスルッとすり抜ける。


「お前、オレに触れるか?」


「触れるわけないでしょう! どこまでアタシを舐めれば気が済むのよ」


 マオの言葉にムッとしつつ、マオが差し出す腕に手を伸ばす。やはりスルッとすり抜けた途端、思わず溜め息をついた。


「やっぱりそうなるよな。じゃあ、なんでキスできたんだろう?」


「知らないわよ。ていうか、よく平然としていられるわね」


「だってノーカンだろう?」


「そ、そうだけど――もう!」


「何怒ってるんだよ」


「うっさい! 怒ってないから!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ