第22話「絶望」
魔術学園に知らされた敗北。
グラン王国でも指折りの魔術師たちが敗北したとの知らせは、生徒たちにショックを与えるのには充分であった。
「う……っ!?」
「動かないでください。生きていることが奇跡なんですから」
保健室のベッドで横になるラムの姿がそこにあった。ラムの意識があることに気づいたマリクが咄嗟に竜巻を起こして海へと避難させたのだ。
「今は寝てていいよ。身体を休めときな」
「なぜ助けたってーの。マリクのやつは」
「ラム先生の能力を知っていたからです。身体の液状化を」
「余計なお世話だってーの」
「生きていなければ小言だって吐けなかったんだ。余計だろうが何だろうが感謝しないと」
「サツキは優しいってーの」
「じゃなきゃ浮かばれないから。マリクもリーカンも」
「サっちゃん」
「ごめんよカナン。だけどこれが私の優しさだよ。マリクが使った魔術は身体に負荷が掛かる。あんな凄まじいのなら尚更だ」
「分かってる。けど分かりたくないっ」
「うん。分からなくていい」
「サっちゃん……ありがとう」
※ ※ ※
生徒たちに広がるショック。自分たちよりも遥かに強い魔術師でも敵わなかった存在が存在しており、いつその牙が再び向くかも分からない。絶望しかない現実に恐怖するほかない。
「ラム先生が重傷を負った。サツキ先生とカナン先生も逃げるのがやっと。リーカン先生は即死。それだけの相手なんだよ」
「今思うとゾッとする。ワタシたちは、そんなのを相手にしていたのだもの」
「グランが襲われた場合、いくら近衛騎士でも敵わないよ」
「マオきゅん、ハッキリ言っちゃった」
「それだけ強いんだよ、先生たちは」
マオは拳を作り強く握る。何もできないことが悔しくて仕方ない。
それはミルフィーも一緒である。いくら魔術学園で優秀でも、そんなことは何の力にもならないのだ。
「マオっち、ミルフィーたん。そんなに自分を責めちゃ駄目だぜ。責めたところで強くなれねえ」
「ジャンに心配されるとは。オレもまだまだだよ」
「ワタシも」
マオとミルフィーが揃ってクスッと笑みを浮かべる。ジャンには、場を和ませる何かがあるのだろう。
「みんな!」
サツキが息を切らして教室に入ってくる。彼女の口から「イーズ島にて、マリクの死亡が確認された」と告げられた。




