第3話「提案」
放課後。誰もいなくなった教室に佇む二人の少年少女。マオとミルフィーは隣り合って座っていた。
「それで。オレに何の用」
「そんなに急がないで。ワタシはマオきゅんと話したいだけ」
「二人きりにならなきゃ話せないこと?」
「二人きりになって話したいことだもの」
「いったい何なんだよ」
「急がないでと言ったばかりだけど? そんなに生き急いでもしょうがないじゃん」
「はい?」
「こうやって聖霊術師が出会うなんて運命じゃん。しかも、それはなんと異性ときた。これを運命と言わず何と言う!」
昼間とは違ったミルフィーの印象にマオは面食らってしまう。徐々に身体の距離が近くなる。
「近いよ近いよ!? それに何のことか分からないよ。聖霊術師って何?」
「ん? 貴方はおかしなことを言う。今日も一緒にいたじゃん。黒髪の子と金髪の子。どっちも可愛いのもポイント高し!」
「……もしかして二人が見えるのか」
「聖霊術師なら当然。ほかの新入生や先生たちは見えていなかったところから、マオきゅんを聖霊術師と判断したまで」
「悪いけど、あの二人は聖霊なんかじゃないよ。あの二人は、金髪の方が天使で、黒髪の方が堕天使なんだよ」
「天使と堕天使……!?」
予想もしなかった単語に驚きを隠せないミルフィー。顎に手を当ててしばし考え込んだあと、なんだか納得したのかウンウン頷いた。
「ミルフィーさん?」
「さんもちゃんも要らない。マオきゅんがワタシに嘘をついてもしょうがないと思うから、ホントに天使で堕天使なんでしょ」
「うん。すんなりと納得してくれて助かるよ」
「納得はした。けど満足はしてない」
「満足?」
「見えない存在を使役する者同士、戦いで優劣を決めたいものじゃん。だからワタシは貴方との戦いを所望する」
「別にオレは!?」
「その代わり、勝った方は負けた方に言うことを聞かせることができる――というのはどう?」
「ちょっと待って!?」
「待たない」
「そこをなんとか!」
「もう決まり!」
「勝手に進めるなよー!!」
※ ※ ※
翌日の校庭で向かい合うマオとミルフィー。結局、ミルフィーに流されるがままになってしまい、マオは溜め息をついた。
「マオきゅん。ワタシが勝ったら、ワタシの言うことを聞いてもらうから!」
「まったく。なるようになれだ」




