雪を燃やせば
寒い寒い冬の日に、大雪が降った。
見渡す限りの見事な雪化粧。
四方八方は雪で埋め尽くされ、まるで世界が真っ白になってしまったよう。
真っ白な雪は無垢で愛おしいけれど、とても煩わしい。
それがある限り、世界は冷たいままなのだ。
いっそ、燃やしてしまおうか?
けれど普通の火だったら、すぐに消えてしまう。
どこかにない?
雪を溶かす炎は。
そう空中に訊ねたら、あると雪自身が答えてくれた。
──私たちはね、常に燃えてるの。人の心火によって。
──誰もが持つ怒りや憎しみを私たちは鎮めるの。
──寒いと人は無意識に心の炎を大きくしてしまう。だから、私たちが降り注ぐんだよ。
愛しい愛しい──けれど、煩わしい雪たちはそう答えた。
それを訊いた時、私は少しだけ、以前より雪が好きになりました。