季節の変わり目
昨日は息が白くなるほど寒さを感じた。なのに今日はそれが嘘のようだ。風はとても肌寒いのに日が差しているのか温かさも混ざっている。
春から夏に切り替わるこの季節はとても心地がいい。
昨日は雨だった。あの子は風邪を引いてないだろうか‥‥
彼女に触れられないのがなによりも欠点だとわかっているがこっそりと授業を覗くだけ‥‥
ほんの仕事の合間に覗くだけだ。それならいいだろう。
彼、如月琥雅は昨日出会った子が気になって仕方ない。
彼女は弥城火無菊と言うらしい。
菊なんて縁起が悪いと思う人が多く、名前に菊を入れる人はかなり少ない。
名前と性格、あまり好かれそうな印象は生まれない。
様相はとても綺麗なのだ。だけど‥‥近寄り難いのは確かだろう。
学校北側の教室を片っ端から見て回るとすぐ上の教室の窓ガラスが耳に響く音と共に割れ、琥雅の身体をすり抜ける破片、目の前を通り過ぎる破片が目に付き、上を向く。
割れた窓ガラスの教室をのぞき込むとなにが起こっているのだろうか?
窓ガラスの近くには左眼を怪我してるのか血が溢れ、痛みに耐え、必死に手で抑えてる火無菊の姿。
その目の前で冷めた目で見下ろしている女性がいた。