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出会いは気まぐれに・・・05
「いい夢‥‥本当にそう思うのかな?私の中の空想の物語なの。妄想だよ‥‥そんなの‥‥気持ち悪いだけなの。」
「じゃあどうしたい。きみは僕に物語をくれると言った。僕はその物語がとても興味がある」
「え‥‥?」
彼はゆっくりと手を差しのべる。
「きみは僕になにを望む?何がしたいの?」
「わ‥‥たし‥‥」
そっと手を伸ばす彼女。お互いに触れることが出来ないのを忘れていたのか手がすり抜けると彼は一瞬焦り、手を引っ込めた。
「‥‥‥‥‥‥恋愛」
「ん?」
「恋愛したいの‥‥1度でいいから‥‥恋をしたい。私に恋を教えてくれませんか‥‥死ぬ前に‥‥恋を知りたいの」
「‥‥‥‥いいよ」
彼は微笑んだ。
それはきっと‥‥気まぐれな約束だったのに‥‥
彼女の小さな手に触れたいと思ったのはどうしてだろうか‥‥?