2/12
出会いは気まぐれに・・・02
1歩踏み出せば天から地へと一直線に落ちる。
雨だから滑りやすくとても危険だ。
ストレートの長い金髪は水を吸い込んでいる。それは服も同じでとても重いし、気持ちが悪いのだろう。
顔はうつむいて、前髪で目が隠れているので表情は見えない。だけど‥‥下に落ちる雫は涙なのか‥‥それとも雨のせいなのか‥‥わからないけどこのままだと本当に処理がめんどくさくなりそうだ。
名簿にも載っていない少女の死は処理までにかなり時間がかかる。
少女に近づいていく中、彼は思った。止めるにしたって見えなければ触れることさえ出来ない。
魂は狩れるが、それだけだ。
「‥‥天使‥‥」
ほんわかとした声に動きを止めた彼は目を丸くした。
彼の存在に気付いているのか目が合うとにっこりと微笑んだ。
その笑みを何故か頭から放れず、胸の奥が微かに動揺していた。
「‥‥え?」
今までに感じたことない気持ちに戸惑いながらも彼は周りを見たあと、恐る恐る自分に指を指した。