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季節の変わり目06
上半身を起こして、スッと目を細める。
「俺は‥‥こいつの人格だよ。俺の他に複数いるけどな。あんたには関係ないか。あんたに‥‥こいつの悲しみは分からない」
「~~っ!?」
琥雅は言葉に詰まった。というよりも何も知らない自分自身に腹が立った。
こんなこと、以前にもどこかであったような‥‥
そんな様子を見て、鼻で笑った。
「俺はあんたを信用しないぜ。以上。話は終わりだ。寝る」
「‥‥‥‥」
何も言えない自分が情けなくて、だけどそれ以上に惨めで苦しくてその怒りを抑えるためにぐっと拳を握る。
1回大きく深呼吸してから声のトーンをなるべく冷静にして、戸惑いは隠せなかったけど。
「あの子は、取り残されてるんだね。」
恐らく。いや、確信はある。多数人格者は一つの人格を生み出した時点で時はそこで止まっている。
同情なんてしたら死神失格だとわかっているのに‥‥
同情してしまう。