表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言葉の動く世界  作者: 委員ちょー
9月18日~19日
2/3

第2話  突然の出会い

 走りきった良は、徐々にスピードを遅くしていく。その間にも、「君!オリンピック出ちゃえ!」等の声が聞こえてきた。良はただ笑顔を見せていた。そして、良は動きがゆっくりになり、歩き始めた。

 良が前方に歩いている時、目の前に1人の少年がやってきた。その少年は良に気軽に話し掛けてきた。

「良!やっぱお前すげーよ!ダントツの一位だぜ!?…まあ、ダントツどころじゃないけどな。」

「いやいや、あれは普通に走っただけだよ。」

「あれで普通?ありえねえよ。ははっ」

 少年は思わず笑った。良も微笑んだ。

 この少年の名前は、上村 俶健(うえむら てきやす)。俶健と良は、10年前から一緒に遊んでいた、昔からの親友だった。今日は、良が運動会に出場することを知り、見に来ていた。

 すると、後ろの方から「ちょ…ちょっと待ってよー。」という声が聞こえてきた。そのすぐ後に、1人の少女が沢山の人の中から出てきた。疲れたのか、息を切らせていた。

「俶健君…、速いよ…。」

 俶健は慌てながら、「ご、ごめん、橋川(はしかわ)さん。」と言った。

 この少女も、良の友達で、橋川 蓁菜(はしかわ しんな)という。橋川と俶健と良は同級生で、とても仲良しだった。

 3人は会話した。

「それにしても良君、速かったね。」

「当たり前だろ。良は認定はされてないけど世界一なんだからよ。」

「いや、俶健、それは分からないよ。もしかすると俺より上の人がいるかもしれない。上には上がいるからね。」

「いやいや、いねえだろ。」

「そうだよ良君。絶対良君が一番だよ。」

「そう…?」

「ふふ」

「…ちょっと俺、トイレ行ってくるな。」

「おう。テントのベンチで待ってるぞ。」

「分かった。」

 そう言って、良は歩き出した。俶健と蓁菜は白いテントの方へ向かった。

 俶健と蓁菜が歩いている途中、俶健は蓁菜に言った。

「蓁菜さんは良のことどう思う?」

「えっ?」

 突然言われたので、少し焦った。蓁菜は考えた後、こう言った。

「私は、良のこと凄いなと思ってるよ。優しいし、足が速いし…て、速すぎかもしれないけどね。」

 蓁菜は微笑んだ顔で答えた。それを聞いた俶健は、「そっか。」と言った後、少し空を見た。空には雲が点々と浮かんでいた。



 ━4分後、良もトイレを済ませ、2人のいるところてと進んでいった。ただ、とても人が多くで進みづらかったので、少し遠回りして行くことにした。

 ━歩いていると、黒のコートを着た男が前に立っていた。なぜかこちらを見ていた。行は不気味に思い、スルーしようとした。その時、

「君、」

 男が話し掛けてきたのだ。

「…えっ?」

 良は少し驚いた。

「さっき、4秒台で100mを走りきった子だね?」

「え、…あ、はい。」

 少し真剣な目つきだった。良に何か話したいような感じだった。

「少し、来てほしいのだが。」

「ヘ?」

 『来てほしい』。この言葉の意味は、『誘拐する』という意味だと良は思い、この人が普通じゃない人だと思った。そのため、驚いた声で言った。

「い、いきなり何ですか!?警察呼びますよ!?」

 すると男は慌てながら、「いや、そういう事ではない。」と言った。しかし良は怪しく思い、「いえ、呼びます!」と言い、走ろうとした。が、男は慌てて止めた。

「え!?ま、待ってくれ!」

「…何ですか。」良は少し呆れていた。

「本当に、不信な人ではない。私はただ君と話したいだけだ。」

「何を。」

「…その話はここではしたくない。」

 その言葉を聞いて少し頭にきた。

「じゃあ、あなたの名前は?」

 そう聞くと男は、「あ、まだ言ってなかったな。」と言って、コートのポケットに手を入れて、いろいろ書かれているカードを取り出した。そして男は言った。

「私は古坂 謙講(ふるざか のりつぐ)。国の組織の者だ。まあ、『秘密組織』だがな。」

「は?」思わずそう言ってしまった。

「おそらく何の事か分からないだろう。なら、ついてきてほしい。」

 さりげなく古坂は『ついてきて』と言った。

 古坂が出したカードには確かに『古坂 謙講』と書かれていた。また、名前の隣に『日本国』と書かれたはんこが押されてあった。偽装したとは思えなかった。気になったことに、カードに『Vチーム』と書かれていた。聞いたことのない言葉だった。

「頼む、来てくれ。」

「…うーん、でも、友達とか家族が心配するかもしれないし。」

 すると男は、「すぐに終わる。」と言った。

「…。」

 考えた末、良は、

「…すぐ終わるんですね?」

「約束する。」

 古坂についていくことにした。ただ、良は『この人、何がしたいんだろう。』と思っていた。


  

 歩き始めて1分経った。運動場をたった今出たところだ。

 ━そういえば、古坂さんにどこに行くか聞いてなかった。

「古坂さん、あの、どこに行くんですか?」

「あまり人気のない所に行く。」

「どうしてですか?」

 すると古坂は少し真剣に言った。

「…奴に見つからないためだ。」

「?…」

 『奴』とは誰なのか。何か危ない人物なのだろうか。良は静かに考えた。

 ━その後、2人は日常市にある小さな山の近くに着いた。そこは家などの建物は少なく、人も今は全くいなかった。時々鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 良は本題に入った。

「で、何を話すんですか。」

「ああ、実は、君の持つ『能力』についてなんだ。」

「能力?」

 古坂はそこにあった椅子に座った。

「まず、私の詳しい話をしよう。」

 そう言うと古坂は語り出した。

「私の入っている秘密組織の名は、『バールブチーム』通称『Vチーム』という組織に入っている。その、『バールブ』という言葉は・・、」

「『動詞』って意味ですよね。」

「お、よく知ってるな。その通り、『バールブ』は日本語で『動詞』という意味がある。」

「…で、私が言いたいことは、この世界には、ある決まった『能力』が物凄く発達した人がいる。我々Vチームは彼らを『バールブマン』、略して『VM』と呼んでいる。」

「バールブマン?」

「実は私もVMなのだか、今日、新たなVMを発見した。」

「え?」

「それは、」

 古坂が良の顔を見た。

「君だよ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ