見えない姿
「ちょっと男子~ ちゃんとやろうよ~」
それは一種の宣戦布告だった。
無視する男子。キレる女子。
放課後の文化祭の話し合い。
中立を決め込む僕はこっそり教室をあとにした。
ミステリー研究部。
そこに所属してる僕はまず部室へ直行した。
ここでは実際にあった事件や小説のミステリーについて研究し執筆し出版する。
部長はなんというか…… 不思議ちゃんだ。
ミステリーに詳しい名探偵であり我が部長、綺麗な長髪の部員ナンバー1通称「イチゴ」だ。ちなみに僕は部員ナンバー2、「ナシ」だ。
そんな部長がいた。
「今日の題材はなんなん?」
「じゃあ帝都タワー爆破事件にする?イチゴ」
「いいよん。それじゃあ――」
その時、誰かが部室へ入ってきた。
「やばいっす。事件っす」
部員ナンバー3の「ミカン」だ。ボーイッシュだが女だ。
「事件?」
「そうっすよ。明日の文化祭の劇に出るハヤカワさんが行方不明らしいっす」
「なんだって?」
「おお〜、それは事件だねん」
イチゴが食いついた。
「今日はそれを題材にするよん」
「詳しく話してくれ」
「うん。ええと、クラスの子に今朝ハヤカワさんから、『もう戻らない』って連絡が来たらしくて。それで騒ぎが大きくなって家に連絡するまでになったけど誰も居場所がわからないらしいっす」
「なるほど。これは僕達の出番だな」
イチゴが目を輝かせている。
「それじゃあ探しに行くよん」