序章
少女は強かった。ただただ強かった。物理的な意味でも、知識的な意味でも。自分の思い通りにならないことは力ずくで何とかしたから、その少女に従わない者はほとんどいなかった。
少女は強すぎた。その力は強大過ぎ、周りの人間を恐れさせた。
その少女は「恐翔美智佳」と言った。ちょっと行動が変だが、成績は良かった。
しかし、そんな彼女にも欠点があった。何事も論破してしまうのだ。さらに、良く暴言を吐き周りの人間を蹂躙する。
美智佳は狂ってはいなかったが、正常な思考は持ち合わせていなかった。何事も機械的にとらえ、自分の考えをそこには組み込まない。
正常な思考を持ち合わせてはいないが、感情がないわけではなかった。彼女だって感情に任せて動くこともある。感情に身を任せた彼女は誰にも止められない。感情的になった彼女は全てを力でねじ伏せようとする。実際にねじ伏せてしまう。
その点では彼女は異常だったのかもしれない。力と理論、どちらでも人を制圧出来てしまう。そんな彼女にかなうものなどそうそういなかった。同年代はもちろん、大人でさえ。
彼女に対抗できるものが全くいなかった訳ではない。彼女に唯一対抗できるもの。そのものもまた論理的であったが、自分の意思を確実に持ち、周りの意見もとりいれていた。
彼女は美智佳よりは有名では無かった。名も知れ渡ってはいない。彼女は別に美智佳に対抗したいと思っているわけではない。ただ彼女が、その気になれば美智佳に対抗できると周りに思われていただけだった。
美智佳もそんな彼女にたいして敵意をもってはいなかったし、対抗できるとも思ってはいなかった。
そもそも美智佳は自分の行動に目的を持たせてはいなかったから、自分を支持するものや批判するものなど眼中になかった。彼女の眼に映っていたのは自分の進む道を妨害するものだけだった。自らの進む道は自らで切り開く。邪魔するものは排除する。それが彼女の考え方であった。
障害はどんな手を使ってでも排除した。命までを奪いはしなかったが、命を失うことより辛いことをしたことはあった。死より恐ろしいことをされたものはその後どうなったかは彼女は知らない。ただ邪魔だったから退けた、それくらいしか思ってはいなかった。障害にいちいちかまっているほど彼女はやさしくはなかった。
それほどまで障害は滅多になかった。彼女の力をもってすれば楽に排除出来たからだ。別に彼女は自身の力を過信していたわけではない。むしろなぜ皆がこれほどまでに弱いのか、あっさり排除できてしまうのか疑問に思っているくらいであった。
どうも、植田です
今回は「少女」のお話を別視点でみたお話です
ですが、まだ序章ということもあってまだまだつながってはいませんが、こちらも続けていきたいと思います
よろしくお願いします