全戦全敗の珈琲
その店員がサービスです、と笑って出した珈琲の味は、いつまで経っても忘れられない。
どこまでも苦くて、そのくせ、すっきりとした甘みが最後に脳に笑いかける。
びっくりするくらいの薫りが、鼻をくすぐり、味覚を走る。
最後の一滴まで、すべてが統一され、そのくせ、どこかバラバラと感覚を残していく、そんな味。
多分、世の中には、これよりも美味い珈琲なんていくらでもあるのだろう。 でも、その味は、自分には一番の衝撃で、一番の思い出となって残った。
自分に一番ぴったりと来る味だったのだろう、と思う。
数年後、その店員とばったりと出くわした。
誰もいない高い高いビルの屋上で。
放っておけるものか。
あんなに強烈な印象を叩きこんだ珈琲をいれる男を。
―全戦全敗の珈琲―
喧嘩をした。
何で、とか、そういうのは全くもってないのだが、自分的に喧嘩をした気分を味わっている。
誰が悪い、と言う事もなくて、それでも、なんだ、この嫌な空気。
鏡を覗きこんだ。
仏頂面の男が姿を表し、眉間の皺を三本増やす。無理矢理笑ってみて、やめた。虚しいだけである。
ちらり、と部屋の隅へと視線を飛ばす。
一心不乱に読書する男が、床に寝転がっている。
――――大体、男二人、なんで、こんなせまっくるしい部屋で暮らさにゃならんのだ。
根本的な怒りが湧く。
家主は俺だ。家賃は三分の二を俺が払っているわけだし、食費なんて全額俺持ちだ。炊事洗濯という家事全般すら、俺一人でやっているのだ。ふんぞり返って、お前、出ていけよ、と一言できる立場だろう。
……ああ、言えたらどんなに気持ちが良いか!
大体、アレがいるおかげで、俺は多大なる迷惑を被っているわけだ。
彼女とのデート資金を削って男二人分の生活費を捻出しなくてはならない。つまりは毎日毎日バイト暮らし。
朝三時に起きて新聞配達、五時に戻ってきて一時間惰眠を貪り、六時にはアレと俺の朝食と弁当を作って学校へ行き、終わったら早速、コンビニとビデオ屋等、また時には道路整理のバイトをハシゴする。家についたら深夜まで内職だ。それでも、月末ともなれば、三食きっちり食べることは難しくなる。一日二食、白飯に、たくあんと味噌汁がつけば上等だ。
阿保らしい。
そこまでしてなんでこのグータラ男を養わねばならんのだ。
それに、同居していると、彼女を家に呼べない。アレが一体、家で何をしているか皆目検討がつかないのだ。
急にふらりと出ていって、どこをどうごまかしたのか、酒瓶を抱えて帰ってきた日もあったし、女を三人も連れこんできたこともある。また、風呂から上がったらパジャマがなかったとか言って、タオル一枚で部屋をウロウロしやがることがある。呆れてモノも言えやしない。そんな所に彼女を呼べるわけがないではないか。
扉を開けたら裸の男が立っていました、なんて笑い事にもなりゃしない。
で。結局は彼女の家に転がり込むか、近くのボロホテルで用を済ますわけではあるのだが、何分後者だと金が余計にかかる。まったく、学生さんには金が無い、なんてよく言ったものである。
はぁ、と溜息をついた。
どっかりと椅子に腰かけ、テレビをつけようとしたが、途中でリモコンを投げ捨てた。
そうだ。コンセント抜いたんだっけ。
ぱらり、とページをめくる音がした。
息を詰めるように、真剣な目で、文字を追いかけている。
最近話題の恋愛小説で、俺が買い与えたものだ。というよりは、本屋のバイトの時に、店長が、これは良いんだよと、身体をくねらせて推薦してきて、安く買わされてしまったものをアレに譲ったもの、なのだ。俺はとことん、文字は苦手だ。頭が痛くなる。
何が面白いんだか、と溜息交じりに思う。
ほろほろ、とヤツの目から涙が溢れてきていた。
――――そこまで没頭する力を、どうしてバイトやらなんやらに使えないのか、アレは。
若い男の目から涙、など見ても面白くない。アレが彼女なら、優しくハンカチの百枚でも貸してやるのに。
あ、そんなに無いっけ?
ぐずん、ずぞぞっ、ひぃっくっ!
ああ、と息を吐く。なんだ、その泣き方は。 ティッシュか?ティッシュが欲しくてそんなに大袈裟に泣くのか、アレは!
やらないぞ!絶対にやらんからな!
呆れてしまう。全く、俺は一体何に対してソコまで意地を張ろうと言うのだろうか。
あー、もう、なんてカワイイ!
大声で感想を述べるな。窓を開けるな。叫ぶな、お前っ!ど、どど、道路の女子高生が、怪訝な目をこっちに!
俺とこいつは無関係です!!
○○ー!オレは君の味方だー!!
……もはや、何も言えない。
意味のない大袈裟な息を吐き、俺は机に身を伏した。今日のバイトは四時からだ。まだ時間はある。
心身ともに疲れた俺は、目を閉じる。
心地よい暗闇と、適度な身体のだるさが、とっぷりと俺を包んで、そして、ふっ、と途切れた。
漂った香ばしい薫り。
鼻腔をくすぐり、脳へと反応を促す。
ゆっくりと目を開き、視界へ光が入ってくる事を許可する。
一番に飛び込んできたのは、アレが読んでいた恋愛小説の背表紙だった。
「いつまで寝るん、にーさん」
「……は」
「にーさん。聞いてんの?おーい。にーさーん?」
「……んあー……こーひー……かー?」
「こーひーかー、やあらへんよ。なぁ、頼むから起きてぇな。オレ、あんたのかわりにバイト行くん、嫌やさかい」
「……いま、何時」
「嫌やな、このにーさん、本格的にボケとんな。三時半や。もう用意せんとあかんのとちゃう?」
「……あほめー……近所のコンビニに三十分かけて誰が行くか、ボケェ」
「せやかて……にーさん、その格好で外出るつもりなん?Tシャツにハーフパンツの店員なんて、聞いた事ない。それに酒臭いな、シャワーあびた方がええと思うんやけど……」
「……っ!そ、そうだった!!あほ!もっと早く起こさんかっ!」
「そ、そんなこと言わんといて。オレ、あんたのスケジュール、全部把握しとるワケやないんやで」
ちなみに俺は猫舌だ。匂いを漂わせるそれが出ているカップになど、口をつけられるわけがない。
ヤツの言葉を半分も聞かないうちに、俺は風呂場へ駆け込んだ。
手早くシャツとジーパンを出し、タオルを置く。もつれるように服を脱ぎ捨てて、冷たいうちにシャワーをぶっかける。五分もかけていられない。慌てて身体を拭き、ドライヤーで髪を乾かす。髪を丁寧にセットしなければ、客に失礼だ。見た目でまず、客は店員を評価する。清潔感を第一に、許される範囲内にワックスを駆使する。
それに十分。
慌てたままに風呂場から出ると、ヤツの淹れたコーヒーが適度に冷めていた。一気にそれを流し込む。
とてつもなく苦いのに、最後に立ち上ってくる僅かな甘み、脳をかける香ばしさ。じわりと舌に味を残すようなのに、それは、一瞬のうちに消えてしまい、残るのは、その薫りだけ。
ふ、と息を吐く。
ああ、やっぱり、コイツには敵わない。
俺は惚れ込んでしまったのだ、この珈琲に。
喧嘩しても、相手の欠点を叫んでも、殴り合いしようがなにしようが、やっぱり、この珈琲の味には負けてしまう。
喧嘩したという自覚がなくても、コイツは無意識に仲直りを示すとき、この珈琲を淹れる。
そして俺は――――
「……うまい」
「せやろ」
「うん、じゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
結局の所、アレを許してしまうのである。
友人に、言われたことがある。
利益もねぇのに、なんであんなヤロー養ってんだ?
まぁ、確かにそうだろう。
俺はアスファルトの大地を踏み締めながら、ケータイを開けた。どうでもいいようなメールは削除し、マナーモードに切り替える。今日のバイトはいつもより少し長い。たちっぱなしはしんどいが、そこそこの収入が期待出来るだろう。
何か買うものはあったっけ?ああ、牛乳かな。
アホじゃないの、あんた?
【アレ】の言葉を思い出して、少し笑う。そうそう、アレはそういう男なのである。
ひょい、と思いついたことを実行し、思いついたままの言葉を口にする。
正直なのだ、あいつは、どこまでも。
質問を投げかけてきた奴らには、俺は、いつでも答える。
ほっとけよ、と。
あのグータラ男は、きっと、意味もなく部屋でごろごろしているに違いない。深く考えもしないでいるのだろう。きっと、俺が、部屋から出ていけと言えば、ああそう、とさっさと出ていく。アレは執着心みたいなものがないようだから。
アレは、どっかの珈琲ショップの店員だった。
確か、高校の教師の教え子のモトカノのモトカレだった筈である。なんでそんなコトを知っているかと言うと、【アレ】のモトカノが俺の彼女(高校の同級生だ)の友人だったからだ。
俺と彼女とその友人とが、揃ってショップに入ると、アレが驚いたような顔で友人を見て、それで、その顔を覚えた。まぁ、最初の印象は、人の顔みて驚くとは何事か、みたいなものだった。言えば、どうでもよかった。
二度目にショップを訪れたときは一人だった。カウンター席に座ると、アレが、こんにちは、と声をかけてきて、そして、例のコーヒーをサービスしてくれたのだ(アレは、新製品の試作品です、と言っていた)。あのモトカノにゴメンって伝えてくれ、という言葉をのせて。
あのコーヒーの味は、今でも忘れられない。
コーヒーに詳しいわけではないから、なんという豆のなんという煎れ方なのかなんて分からない。ただのバイト君がいれた新商品の試作品なんて、きっとただのコーヒーとしか区分されないのだろう。でも、その味は、俺の脳みそをがっちり掴んで揺さぶってきた。これはウマイ、ウマスギだろ、これ、という言葉を脳に焼き付けた。
アレが、どうです、と聞いてきたから、俺はすっげー美味いと答え、伝言は承った、と頷いた。アレはやけに嬉しそうに笑っていたのだ。
そんなヤツを、ぱったりと見かけなくなった。どうしているのか、と他の店員に尋ねると、数日前にやめたと言う。
「にーさん、ちょっと、遅刻ですよ」
「ごめーん、寝坊しちまってさー」
「店長今出てるから良かったですけどっ!もう、しっかりしてくださいよ」
「あっはっは、そーいうなって、ミッチャン」
レジに立っていたミッチャンと呼ばれている女はまだ何か小言をする。にーさん、と呼んでくる割には、年上へ敬いを見せない。まぁ、殆ど年齢に大差ないのだから、しょうがないけども。それに、にーさんっていうのは、単なるあだなでしかないのだ。
そのあだなは、【アレ】が原因でついた。あの、何をしているのか分からない男が、唐突にコンビニに姿をあらわし、にーさん、なんか奢ってーな、と独特のイントネーションで叫んできたのだ。ああ、そりゃもう思いっきり大声で。
無視しようとすると、あれ?にーさん、オレやって、オレオレオレ!とオレオレ詐欺状態だ。挙句の果てに、レジ前に陣取って、にーさんにーさんにーさん、である。その騒動があってから、俺は店の客からすら、にーさん、と呼ばれるハメになった。全くアレと関わってからは、まぁ、ロクなことがない。
アレが俺のアパートに転がり込む切欠となったのは、本当に偶然に起こった。
俺が、道に迷ったかなんかで、人通りの少ない、開発が半端に終了してしまっているビル群を歩いている時に、目の前に振ってきたのだ。
――――靴が。
突然の事態にびっくりして顔をあげると、真上から身を乗り出す【アレ】がいた。
もちろん、顔が見えたわけじゃない。そんなに低いビルではなかったし、逆光のせいもある。
だが、俺は、すぐさまビルの屋上へと駆け上ったのだ。
どういう直感が働いたのかは知らないが、そこにいたのは、確かに、あの珈琲ショップの店員だった。
「にーさん、あいつは元気にしとんのかぃ?」
「【アレ】っすか?そりゃあ元気ですよ。今日なんか、小説呼んでマジ泣きしてたんですよ」
「あっはっは、あいつらしいなぁ。ちょくちょくコンビニには来てんのかい?」
「まさか!あの出不精が、そうそう出てきやしませんよ」
「ほほう、そうだったのか。お、ありがとうよ、じゃあな、にーさん。あいつにもよろしくな」
「はい、ありがとうございましたー」
あいつはどうやら、近所からは評判が良いらしい。気にかけて貰っているのに、なんであいつは外に出ないのか。
考えても仕方が無い。アレは、きまぐれなのだ。
ふぅ、と知らずに息を吐く。今日何度目だ、これ。
溜息の数は、アレが来てから増えたと思う。
どうやら、アレは、自殺を計ろうとしていたらしい。飛びおり自殺というやつだ。
で、このビルの高さはどんなものかと身を乗り出したときに何かにひっかかって、靴が落ちてしまったらしい。
まさか靴届けに来てくれるとは思わなかったよ、と後でアレはあっけらかんと言った。
屋上に辿りついた俺は、アレの顔を確認してから、アレを屋上の真ん中まで誘導した。アレは別に抵抗もしなかったし、かといって助けてくれてありがとうだとかも言わなかった。ただ一言、アホじゃないの、あんた、と呟いた、それだけだ。よろよろっと地面に座りこみ、溜息をつくような声で。
珈琲ショップの店員だったよな、と尋ねると、アレは俺の顔を見上げて、ああ、と頷いた。
死にたかった理由は聞いたことはない。どうせそういう気持ちは、本人にしか理解出来ないのだから。そこは心理カウンセラーとかに任せる。俺がしたことは一つ。死ぬからアパートは解約して来たのだと言ったアレに、じゃあ、家賃三分の一だして俺の家来い。と提案しただけだ。
何にアレが同意したのかは知らないし、別に知りたいとも思わないが、まぁ、アレは俺の家に転がり込んだ。
結局、今俺が狭い狭いと文句を言っているのは自分のせいなのだ。
あの珈琲を飲んで居なければ、きっとありえなかった出来事である。タダで飲ませてもらった珈琲と、アレの命と二人分の生活費じゃ、まぁ割に合わないし、確かに世間からみりゃ、俺は馬鹿なんだろうが。
性格合わないし。
あいつ馬鹿だし。
働きゃしねぇし。
そのくせやたら飯食うし。
小説読んでは泣き(鳴き?)喚くし。
部屋で宴会しやがるし。
数え上げればキリがない。
人間ってのはおかしいもんだよな、人の欠点はいくらでも見つかるけど、人のイイトコはなかなか見つけらんねーもんな。
あれ、これって俺だけ?……ん?あいつの長所って何よ。えーと?
まぁ、容姿はまぁまぁ良いよな。女にはよくモテる。じゃなきゃ女何人も部屋に呼べるわけがない。
背も高いしな。俺(180cm)より背ぇ高くなったんだぜ、ありえねーよな。
えーと。
ネコ被ってるフシがあるけど、近所づきあいは悪くない。さっきのおっさんみたく気にかけてくれる人多いもんな。
んーと。
時間にうるさいな。あ?これ長所か?
まだあるかー?
えー……あー……酒に強い?とか。あ、つまみ作る才能はあるよな、うん。
あーとーはー……。
集中力、とか、かな?本読んでるときは、ホントに何言っても聞こえてねーしなー。
……まぁ、あとは珈琲だな、うん。
ってゆーか、あいつの主な長所主成分は珈琲だな。
ん?主な主成分って重複してるな。
「にーさん、何にやにやしとるん、きっしょくわるいのー」
「……ほっとけ……っつーか、おい、どっから湧いて出た!?」
目の前(レジカウンターの向かい側)に座りこみ、下から見上げてきた見知った顔に、俺はなんの躊躇いもなくのけ反るようにして驚いた。【アレ】がいた。
「なにをゆーか。にーさん、その両側にがぁーっと開いてくれる自動ドアからに決まっとーやろ?」
「い、いつの間に!」
「五分前くらいからかなー?なぁ、にーさん、なんか奢ってーな」
「……何が欲しいんだ?」
「アイスがええな、甘いもん食いとーてなぁ」
「……150円までのな」
ジーパンのポケットを探って入っていた小銭を渡すと、ヤツは嬉々としてアイス売り場まで駆けていった。
「……にーさん、甘やかしてますね」
「前みたいに喚かれたら嫌だからなぁ……」
「まぁ……お金払ってくれるなら、文句言いませんけどね。そーれにしても、あの人!子供みたい」
ミッチャンの言葉に苦笑した。
確かに、今のアレじゃあ、身長がやたらにある小学生だ。
……あんなの嫌だけど。
「ミッチャーン、これ、これちょーだいっ!」
「はいはーい、147円です。はい、150円お預かりします、3円のお返しです」
「なーミッチャン、にーさんマジメに働いとぅ?マジメやなかったら、怒ってええさかいなぁ」
「あはは、大丈夫ですよぉ、にーさん、多少時間にルーズなだけで!マジメですからぁ」
「さよかー?ならええんやけどな!んじゃあな、にーさん、またな!アイス溶けてしまうさかい、帰るわ!ミッチャンもまたな!」
「はい、ありがとうございましたー」
アレはてってけと走り去った。本当に気まぐれな男だ……。
いつもは「暑いさかい、外出るん嫌やー!」とブツブツ言っているくせに。
「にーさん?」
「……あ?あー。悪い悪い」
ふ、と思い出した。
アレが、自殺をしようとしていた時の顔。
そして、今の顔。
――――アレは、変わっていない。
何一つ、アレは変わらない。表情も、声も、言葉遣いも、あの性格ですら変わっていない。
俺は、アレを救うことは出来ない。そのつもりもない。
だとすれば、アレと俺というのは、一体どういう関係であるのか?
無関係に等しい。
友人、ではないだろう。家族ともいえない。俗に言うヒモというわけでもない。
自殺者とそれを食い止めた者。
俺達は、結局そこから変わっていないような気がする。
「にーさん、これ頼む」
「あ、はい、いらっしゃいませー」
だからナンダと言うのだろう?
ただ、なんとなく、さっき飲んだばかりのコーヒーが飲みたいと思った。
ゆっくりと、もう一度あれを味わいたい。
全戦全敗のコーヒーの味を、俺はその時、あまり思い出すことが出来なかった。
FIN
「ただいまー……ぁ?」
「にーさんっお帰りー」
「……スーツなんか着てどこ行くんですかね」
「え?言ってなかったっけー?俺、この前からホストのバイトしてんだけどさ−」
「……あん?」
「え?ほすとだよぅ、ホ・ス・ト!どう?似合う?」
「……」
「わっ!にーさんっ何!?どうしたの、しっかり!」
【にーさん】こと、安達弘和は、家賃払え、と言いながら、ぱったりとその場に倒れた。すさまじい音が響き、安達はテーブルにしたたかに頭をうってもだえた。
ゆらり、と立ち上る珈琲の香りがいっぱいに広がる部屋は、まるで、彼等の出会った珈琲ショップのように、優しい空気を演出していた。
【にーさん】VS【アレ】の戦いは、今宵もにーさんの不戦勝ということで決着がつきそうである。
こんにちは、風野です。全戦全敗の珈琲、読了ありがとうございました。
意味のいまいち掴めない小説だと思いますが、なんとなく気にいってる作品だったりします……。
……今度はアレ目線で書きたいなぁ……。とか思ったりしつつ、とりあえず初投稿☆……どんなもんなのか。電車とかでケータイ主体で書いているので、パソコンでどうなるかいまいちわからないんだなぁ……何かありましたらご一報下さいませ……!
か、感想とか……っ!!喜んでっ!(震)
よろしくお願いします……!