中二病とリア充
「ハイドくん今帰りー?」
「あたしたちと一緒に帰ろーよ!」
「…悪い、今日は先約がいるから。またな?」
そう言って笑顔を向けつつスタスタと目的地へ と向かった。ヤツは今頃あそこで儀式とやらをしているはずだ。
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今はもうほとんど使われなくなった旧校舎の階 段を登り、錆びかけた2ー3とかかれたプレート がかけられた教室へと歩いてく。
「・・・・・旧マスターの名において発動を命 じる!闇魔法発動!!」
「帰るぞー」
「おお!我が主!乙です!」
教室にでかく広げられた魔法陣をちらりとみるとため息をついた。
「我が主って・・・・俺はいつからお前の我が主になったんだ?」
「彼女と言う得体のしれぬ者に召喚された時から!」
「・・・・・・・」
言葉も出ないとはまさにこのことを言うのだろ う。俺はそう確信した。
「とりあえず帰ろう、な?」
「ええーまだ召喚がー・・・・」
そんなことをぶつぶつ言う彼女をずりずりと引っぱり校舎外へと連れ出した。
「(手がかかる恋人だ…)」
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「…ハイド」
「なんだ?」
シークが珍しく名前を呼んでくれた。まあ、あだ名だが。それでも名前を呼んだことがなかった彼女にとっては珍しい。
「………すき」
「うん、俺も」
頭を撫でてみた。シークは照れているのか恥ずかしいのか困った表情をしている。
「・・・・」
「ん?どうした?」
「しっ、今、闇の気配が・・・!我が主!後ろだ!下がれ!はあああああっ」
ぶんっと光の槍(と呼んでいるらしい)を振り回すと同時になにかが頭上を飛んでいった。しかし、そのなにかはすぐわかった。
「・・・シーク、さっき飛ばしたアレをいますぐ回収してこい」
「なぜだ我が主!あれは闇の・・・」
「俺の家のやつだ。」
シークが言い終わる前に口をはさんだ。シークが飛ばしたのは俺の私物だ。よって、シーク(ヤツ)に回収させるべきなのだから。
「ぜ・・絶対?」
「当たり前だ」
「いやだと言ったら?」
「お前の家に行って武器全部へし折る」
「うぅ・・・わかった、指示に従う。我が主はここで待機。おーけー?」
「はいはい」
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30分後。ぜーぜー言いながら戻ってきたシークは俺に私物を返した。
「ごくろーさん」
「扱いが酷いぞ!」
「主にたてつくか?」
「いや・・・やめときます・・・・」
「・・・帰んぞ」
「ちょっ・・放せ!!」
シークを抱えると俺は家の前まで連れて行った。じたばたと暴れるシークに顔を少し蹴られていらっとしたことには目を閉じておく。
「ほら、着いたぞ。」
「え?」
「お前ん家。」
「あ・・・ありがと」
「また明日な?」
「うん・・・/////」
シークを送ると家路にと向かった。
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アイツ・・・シークと初めて会ったのはクラス替えのときだ。クラス替えの張り紙がしてあるところに行ったとき同じクラスメイトだと知った。ヤツが中二病だと知ったのもすぐあとだったのを覚えている。
「よろしく・・・お願いします・・・私の・・・我が主」
アイツが確かそう言って付き合いが始まり今に至るわけだが。
「(もうちょっと恋人らしくてもいいかな・・・)」
そんなことを考えながら意識を飛ばした。