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Re:ゼロから始める異世界生活  作者: 鼠色猫/長月達平
第九章 『名も無き星の光』
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第九章終幕 『Reweave』

 ――バーリエル邸で働く使用人たちの様子を遠目に見ながら、フレデリカはどうにも落ち着かない気持ちを持て余していた。


「旦那様とご一緒して、客人待遇を受けることはよくあることですが……今のこのお屋敷では、少々勝手が違いますものね」


 そうこぼすフレデリカの視界、翠の瞳に映り込むのは慌ただしい屋敷の様相だ。

 きびきびと統率の取れた、優秀な人材揃いだとそう見て取れる。フレデリカたちの持ち帰った凶報を知らされても機能不全に陥らない。――それだけで敬服に値する。


「プリシラ様は、慕われていたご様子でしたもの」


 使用人たちに伝えられた凶報――それは屋敷の主であり、彼女たちの主人でもあったプリシラ・バーリエルが、ヴォラキア帝国で命を落としたという訃報だった。


「――――」


 微かに目を伏せ、バルコニーから庭園、屋敷を見下ろすフレデリカは吐息する。

 フレデリカも立場上、ロズワールやエミリアを始めとした仕える相手が、自分を残して屋敷を離れ、その無事の帰りを祈って待つしかない心境には覚えがある。その祈りが届かなかったと知れたとき、胸を打つ衝撃はどれほどのものだろうか。

 事実、使用人たちの多くは悲しみ、涙をこぼすものも少なくなかった。訃報を知り、屋敷を離れるものが一人も出なかったことも、プリシラとの関係性の表れと言える。

 ただそこには、プリシラが慕われていたという理由だけでなく――、


「――シュルト様の毅然とした態度が、胸を打ったのですわ」


 そうフレデリカに深く感じ入らせたのは、帝国にプリシラと同行し、彼女の死と、その遺志を伝える役目を負い、それを見事に成し遂げた幼い従者の姿勢だ。

 華奢で、小動物のように頼りなく見えるシュルトは、しかし、ロズワールやフレデリカに憎まれ役を任せず、自らの口で、言葉で、大役をやり遂げた。

 使用人たちが屋敷を離れず、今の職に就き続けることを選んだのに、プリシラへの思慕の念とシュルトへの信頼、それが大きかったことは間違いない。それは部外者ながら、目尻に熱いものを堪えられなかったフレデリカも同意見だ。

 だから――、


「――おや、こんなところにいたね、フレデリカ。探してしまったーぁよ」


「旦那様……」


 軽く手を上げ、バルコニーに足を踏み入れる長身――ロズワールを迎え、フレデリカはその場に膝を曲げ、小さく一礼する。


「探させてしまい、申し訳ございません。何用でございましたの?」


「用、というほどのものでもないけどねーぇ。こちらは段取りがひと段落したところだから、少し君と話したいと思っただけさ」


「段取り……」


「そう、段取りだーぁとも」


 薄く微笑み、片目――左右色違いの、黄色い方の目を残してつむったロズワールが、手すりの傍に立つフレデリカに並び、その手すりに背を預けながら、


「なかなか見るべき点の多い土地だ。南部には知人が少ない。プリシラ様の亡夫であったライプ・バーリエル卿は、あまり評判のいい御仁ではなかったしねーぇ」


「旦那様にそう言われては、その方もさぞかしご不満でしょうね」


「おや、これは手厳しい。君も、ペトラくんに毒されて私への従順さを損ないつつあるのかーぁな? それとも――」


 首を傾けたロズワールが、そこで隣のフレデリカの瞳を覗き込んで、


「――シュルトくんを利用する私の計画がお気に召さない、かな?」


「……旦那様のなさることが間違いだとは思いませんわ。それが王選……ひいては、エミリア様や陣営のためだということはわたくしも承知していますもの」


「理屈の上ではそうでも、心まで納得するのは容易いことではないかーぁらね」


 それがわかっていて言うのだから、ロズワールの性格の悪さは筋金入りだ。エミリアに言わせれば、ちゃんと叱ってほしい悪戯心の表れ、なんてところだろうが。


「わたくしと旦那様の関係で、それは難しいですわ、エミリア様……」


 この場にエミリアかペトラがいれば正攻法で、ラムがいれば邪道の手段でロズワールに反省を促せるだろうが、それを予期してか、この場にはフレデリカしかいない。

 そしてフレデリカは、返し切れない恩義があるのを抜きにしても、偽悪的に振る舞うロズワールの働きが、陣営のためだとわかってしまうのだ。


 ――エミリア陣営が陣営としてまとまっている最大の目的は、あくまで王選だ。


 その王選において、ヴォラキア帝国に参じていた期間は丸々後れを取っている。そうでなくともスタートで出遅れているのがエミリアだ。その周回遅れを取り戻し、あわよくば推進力を得ようとするなら、正攻法にばかり頼れない。

 そのために、プリシラ・バーリエルという絶対的な柱を失ったばかりのバーリエル領を味方に付けようと、ロズワールの献身的な暗躍が淡々と進められている。


「プリシラ様が亡くなった以上、次の領主が選出されるまで、代理の暫政官を置くことになる。幸い、私の息のかかったものから候補を出せるし、連絡役としてはリューズ殿の一人――『メイエルズ』から誰かを借りられればいい」


「……お婆様の、あの子たちを巻き込むのは時期尚早ではございませんの?」


「可愛い子には旅をさせよ、と言うらしいよ? 甲斐甲斐しく鳥籠の中に置き続けていては、羽ばたき方を覚えない。私も同意見だーぁね」


 着々と淡々と、隙のない計画を詰めていくロズワールに、フレデリカはエミリアのロズワール評が本当なのか、偽悪ではなく悪党なのではと本気で疑いたくなる。

 たぶん、こうして悪役に徹することすら手抜かりなくできてしまうから、いつまで経っても陣営の仲間たちにちゃんと心を開いてもらえないのだ。真面目過ぎる。


「旦那様、せめてもう少し手心を――」


 と、その誤解が陣営内だけでなく、バーリエル領に、ひいてはシュルトの心に大きな疑念を植え付けないよう、指摘しようとしたところだった。


「――た、たた、たたた、大変であります! 辺境伯様、どこでありますかー!?」


「今のは、シュルト様?」


 突然、下の方から慌てふためくシュルトの声が聞こえ、フレデリカはロズワールと顔を見合わせる。眉を上げたロズワールも心当たりがないらしく、手すりから背を離した主が振り返り、眼下、庭園に飛び出してきたシュルトに「シュルトくん」と声をかける。

 すると、声をかけられたシュルトがくりくり眼を大きく見開きながら、


「辺境伯様! すぐにきてほしいのであります! お会いしてほしい方がいて、聞いていただきたいお話があるのであります!」



                △▼△▼△▼△



「――今、ご覧になっていただいたのが、亡き奥様のご遺志になられます」


 そう言って、封蝋されていた書状の内容を明らかにした紅の髪の少女――ヤエ・テンゼンと名乗ったメイドの言葉に、ロズワールが凝然と目を見開いていた。


「――――」


 ここまで動揺を露わにする主の姿は珍しいが、その反応も無理はない。同じ内容を確かめたフレデリカも、その場に同席した全員が驚きに打たれているのだ。

 とりわけ、書状に記された内容の中心人物だったシュルトの驚きは大きい。

 その書状の内容は――、


『――バーリエル家現当主、プリシラ・バーリエルは、己が正式な後継者を定めるにあたり、次の者、シュルトの名をシュルト・バーリエルと改め、これをバーリエル家の嫡子及び後継たる子として迎え入れることを宣言する』


「プリシラ様が、僕を……?」


 思わぬ出来事に目を瞬かせるシュルトは、これが夢か現かわからない顔でいる。

 しかし、そんなシュルトの両肩に後ろから手が置かれ、その書状の在処を明かしたヤエが微笑みながら、「驚きすぎですってば」と少年に頬擦りする。


「奥様のシュルトちゃんの溺愛ぶりを考えたら、全然ある話じゃないです? ――本当なら、王選の間は伏せておくつもりだったんだと思いますけど」


「ヤエ様……ヤエ様は、このことをいつから知っていたんでありますか? もう何ヶ月も前にお屋敷を離れられて、やっと帰ってきてくれたでありますのに……」


「――。知ったのは、奥様とシュルトちゃんが帝国に向かわれる寸前ですよ。そのお手紙を用意されたのも、それぐらいのときでしたから」


 そのヤエの静かな答えに、シュルトの瞳に大粒の涙が溜まっていく。

 聞けば、ヤエは以前にこの屋敷で働いていたメイドであり、しばらく暇をもらっていた立場だったのが、プリシラの訃報を知り、駆け付けたとのことだった。

 見ての通り、シュルトとも親しくしていたらしいヤエは、プリシラからの信任も厚い立場であったらしく、彼女が遺した大事な手紙の番人をも任されていた。

 その結果明らかになった事実は、ロズワールの計画を大いに狂わせるもので――、


「――ですが、シュルト様のことを思えば、よかったのかもしれませんわ」


「……フレデリカ?」


「少し、旦那様のお考えとは違ってしまうかもしれませんけれど……シュルト様や、屋敷の皆様の御心は救われるはずですもの。――本当に、大した方でしたのね」


 王選候補者であり、エミリアとは敵対する立場であったにも拘らず、フレデリカはほとんど接点を持てなかったプリシラのことを、大人物と評する他にない。

 なにせ――、


「旦那様の思惑をこうも外されるなんて、間違いなく、エミリア様の好敵手だったに違いありませんもの、ね」



                △▼△▼△▼△



「――――」


 改めて、残された書状に目を落とし、小さな体を震わせるシュルトを背後から抱きしめながら、ヤエは自らバーリエル邸に戻ることを選んだ自分の決断に吐息する。


 ――全ては、アルが目指した目的、それを遂げるのに協力するための判断だ。


「合図がなかったってことは、塔での計画は失敗したってことなんでしょうね~」


 本当ならヤエは、プレアデス監視塔に向かったアルと最寄りの町で合流し、彼が果たさなければならない使命とやらに協力、その命の尽きる最期を見届ける約束だった。

 しかし、指定の時間になっても合流の合図は上がらず、ヤエはアルの計画が失敗したと判断し、最寄りの町から撤退――その足で、バーリエル領へと舞い戻った。


「大手を振るって屋敷に戻るのは、奥様の暗殺をアル様に阻止されて以来ですか」


 もっとも、大っぴらでない形であれば、アルと連絡を取り合うために、わりと頻繁に屋敷を出入りしたりもしていた。――屋敷に戻る口実に利用した書状も、その大っぴらではない出入りの機会の際に、屋根裏にいて入手した情報だ。

 シュルトや、それを食い物にしようとしていた悪い貴族――ロズワール・L・メイザースやお付きのメイドには、プリシラから託されたと騙った書状だが。


「実際には、奥様が用意されて、秘密の金庫に仕舞うのを盗み見ただけですし」


 その書状を収めた金庫が隠し金庫だったおかげで、他の誰にも存在を知られていなかった書状の在処を明かせて、ヤエは秘密を託された立場としての信頼を勝ち取った。そのために、死んだプリシラを利用するのは多少気が咎めたが――、


「――でも奥様、本当に私が見てないって思ってたんです?」


 正直、そこがヤエの中でもはっきりとは答えのわからない謎だ。

 プリシラがシュルトを養子にする書状を用意したのは帝国行きの直前で、金庫に仕舞ったのも同時期だが、ヤエは一時の主とはいえ、彼女の洞察力を侮らない。あの、他者の心の内を見透かすような目を持った女傑は、ヤエの不在を信じていたのだろうか。


『――書状を上手く使い、己のために役立てよ。そのついでにシュルトを救うがいい』


 屋根裏に潜むヤエ以外には、屋敷をひっくり返しでもしなければ見つからない隠し金庫に書状を隠したのは、プリシラのそうした計らいだったのでは、と。

 いずれにせよ――、


「そうさせていただきます、奥様。――私、アル様を待たないといけないので」


 プリシラの厚意に甘えることを決めたヤエは、そのために屋敷に戻ってきた。

 前述の通り、計画続行の合図を出せなかったアルは、おそらく監視塔で失敗を犯し、計画の遂行が困難な状態に陥ったのだろう。だが、アルは死なない。生きている。


「だってアル様は、化け物ですもん」


 アルは死なない、殺せない。そんな怪物だから、ヤエは彼に従うのだ。


 彼が目的を果たし、満足して死ぬのを、自分が恐怖した存在がいなくなるのを見届けるために。――そのために、シュルトにはエミリア陣営との距離を保ってもらう。

 アルに何かがあったなら、それは監視塔に同行したエミリア陣営が関与している。そこから彼が抜け出すときに備え、いつでも動ける場所にいなくては。

 だから――、


「シュルトちゃん、奥様のご遺志を継ぎましょう。大丈夫です。またこれから、私もお屋敷に戻って、シュルトちゃんのお手伝いをしますから」


「ヤエ様……はい。はいであります……! 僕、プリシラ様のご期待に応えてみせるのであります! そのお手伝いを、ヤエ様にしてほしいのであります!」


 素直で可愛いシュルト――否、シュルト・バーリエルとなった少年の決意に、ヤエは大げさに目尻を下げ、他の使用人たちも感銘を受けたように涙ぐんでいる。ロズワールのお付きのメイドも眦の涙を指で拭い、その健気さに胸を打たれていた。

 当てが外れたらしい辺境伯だけが曖昧な顔つきをしていたが、それは死してなお、プリシラが誰かの思惑を上回った証拠に思え、小気味いい。

 そう、プリシラは仕え甲斐のある主人だった。――それだけは、本当のことだ。


「僕、頑張るであります! アル様やハインケル様がお戻りになられたとき、立派な姿を見せたいでありますから!」


 ただ、顔を赤くしてそう意気込むシュルトに、ヤエはどう答えるか躊躇った。

 アルが戻るのを待望するのはヤエも同じだ。

 だが、ハインケルに関しては――、


「……ハインケル様は、ちょっと戻ってくるの、難しいかもですね~」



                △▼△▼△▼△



「――ぐおぁっ!」


 と、浮遊感の直後に地面に墜落し、ハインケルは低い声の悲鳴を上げた。

 しばらく呻いたのち、ゆっくりと手足を回し、拘束を解く。細い糸で縛り上げられた手首や足首が自由を得ると、しばらくぶりの解放感を確かめ――、


「クソったれ……!」


 そう苦々しく、我が身に起こった不幸を呪うように吐き捨てた。


 ――ハインケルを縛り上げ、誰も訪れない森の中の小屋に放置していったのは、アルデバランの協力者を名乗っていたヤエという少女だった。

 元はプリシラに仕えるメイドで、彼女に差し向けられた暗殺者でもあったというわけのわからない経歴の彼女は、アルデバランに協力すれば、ハインケルが欲しがる物――『龍の血』を手に入れる機会が巡ってくると、そう唆してきた。唆してきたくせに。


「アルデバランの奴から連絡がなかった途端、計画は失敗なんてふざけやがって……」


 挙句、説明と計画の続行を求めるハインケルに、彼女は容赦のない膝蹴りや肘鉄をぶち込むと、鼻血をこぼすこちらを縛り上げ、とっとと姿を消してしまった。

 ハインケルからすれば、こんな梯子外しのような仕打ちを受ける謂れはない。


「どいつも、こいつも……っ」


 頼りにしていたプリシラが死に、次に頼ろうとしたエミリアに拒絶され、アルデバランが差し伸べてきた手に縋ろうとしたら、その手を振り払われて奈落に落とされた。

 結果、ハインケルの先行きは、王選が始まる以前のどん詰まりに逆戻りだ。


「だが、それでも……」


 諦められない。諦め切れない。諦めることさえ、やり切れたことがない。


「――クソっ!」


 ふらふらとその場に立ち上がり、すっかり乾いた鼻血を袖で拭い、歩き出す。その足の進む先に当てはない。当てはなくとも、立ち止まっていられない。


 ――だってハインケル・アストレアは、夫であり、父親なのだから。


「待ってろ、ルアンナ、ラインハルト。俺は……俺が……」


 ずりずりと足を引きずりながら、腰に下げた剣の柄に手を置いて、ハインケルは往く。

 当てはない。――ただ、長年纏ってボロボロの、錆付いた祈りだけがあった。



                △▼△▼△▼△



「――結局ドタバタと、慌ただしくてすみません、エッゾさん」


「いいや、仕方のないことだ。事情が変わったのはこちらも把握している。現状、入れ替わりの人員がくるまで私はここを動けないが、必要であればいつでも証言しよう」


「助かります。……本当に」


 そう小さくこぼし、スバルは紳士的に対応してくれるエッゾに頭を下げた。

 場所はプレアデス監視塔の五層、大扉を目の前にした大フロアだ。そこでスバル――否、スバルたちは再び旅支度を済ませ、早くも塔を発とうとするところだった。

 たった半日の滞在、塔の外が明るくなるのを待った早朝の出発だ。


「なんだか、お兄さんたちってバタバタしっ放しよねえ。もっと大人しく塔から帰ることってできないのかしらあ」


「言えてるかしら。前回は帝国に飛ばされて、今回もこのとんぼ返りなのよ」


「それはスバルのせいじゃないでしょっ。悪いのは全部、アルさんで……もう、シュルトくんになんて言っていいのかわかんないよ。……アルさんのバカ」


 最後にしんみり付け加えるやり取りを交わすのは、帰還組の少女たちだ。

 当然だが、それぞれこうなったことに思うところはある。たった半日の滞在にも、慌ただしく立ち去らなくてはならない事態にも、それを招いた原因にも、だ。

 ただスバルとしては、原因になった人物が糾弾されっ放しなのは辛い。


「大将、竜車に荷物ァ乗っけたッぜ。いつでも出られらァ」


 そこへ、大扉をわずかに開け、外から戻ったガーフィールが声をかけてくる。一足先に竜車に荷物の積み込みをしてくれていた彼は、手を上げたスバルに眉を顰め、


「しみったれッたツラしてるぜ、大将。『ラウラージの深爪』ってのと同じで、気に病んじまうのはわかッけどよォ」


「うん、励ましてくれてんのはわかるけど、ピンとこねぇ。深爪? ラウラージ?」


「とにッかくだ! 一度起きちまったッことァ変えられねェ。だァから、こっから先をどォにかしてェって話だろ? 俺様も何でも手伝うぜ」


 牙を見せて笑い、ガーフィールが力強くスバルの肩を引っ叩く。

 その威力に、スバルのか弱い肩が砕けるかと思ったが、気持ちは百嬉しい。それに、ガーフィールの言う通り――やると決めた、ここから先が大事なのだ。


「――ちゃんと知っていくよ。俺がいったい、何を背負ったのかを」


 そう言って、スバルは自分の胸元――首から下げた魔玉に触れ、決意を表明する。


 ――これと同じ魔玉にスバルとベアトリスが封じられ、その間、アルが巻き起こした大きな大きな戦い、その詳細をはっきり知れているわけではない。


「――――」


 魔玉の中は暗く、身動きができず、意識の有無も曖昧で、それはまるで胎児に戻って、母親の胎内で羊水に浸かっているような、そんな夢見心地にあり続けるものだった。

 そこではスバルの夢現もあやふやで、確かと言えるものがない。さすが可愛いベアトリスは、こちらを封じた禁術の分析と術式の解体に健気に勤しんでくれていたのだが、スバルにできたのは意識らしい意識があるとき、『強欲』の権能――『コル・レオニス』を発動して、近くにいる仲間たちの存在と、強い感情の変化を拾うばかり。


 それでも、仲間恋しさと必死さ、そして大きな感情の乱高下が繰り返されていたおかげで、尋常でない事態の推移を魂で感じ続けることはできた。

 とりわけ特徴的だったのが、覚悟と決意の色が強烈だったペトラと、スバルに対する感情がまさしく巨大・肥大としか言いようのないレムのもので。――それがあったから、スバルは確信と共に、塔から早朝に発つという方針を示せた。

 それは元々、プレアデス監視塔を訪れた目的がアルのためであり、それが彼の口実だったとわかって、残る意味をなくしたこともあるが、それだけでなく――、


「――『暴食』の大罪司教は、ちゃんと食べたモノを吐き出す方法がある、でしょ?」


「そうだ。そこにこれまで喰われた人たちの……レムの『記憶』も『名前』もある」


 たぶん、『死に戻り』する前のループで、その『暴食』の権能を一番うまく作戦に利用したペトラの言葉に、スバルは深々と頷いた。


 あの一瞬、言葉すら交わせなかった刹那、全てを理解した瞳でスバルにモーニングスターをぶち込んだレム。――スバルが毎日磨いていた棘付き鉄球を華麗に操る彼女は、確かに自分を取り戻していた。それは紛れもなく、『暴食』の関与によるものだ。

 その確信が持てて、なおかつ、『暴食』の身柄はすでに押さえてあるのだ。これを詰め倒して、喰らったものを吐き出させない理由はない。

 だから、その直談判のためにも――、


「――いくぜ、懐かしの王都! 『暴食』と会って、全部吐かせる! それに、王国の歴史にも、この世界の歴史にも、俺は無関心でいちゃいけねぇらしい」


 指で摘まんだ魔玉、その奥に封ぜられたアルのことを思い、スバルは己を戒める。

 そのスバルの決意表明に、隣に並んだベアトリスが手を繋ぎ、ガーフィールが自分の牙を指で撫で、メィリィが小紅蠍を乗せた肩をすくめる。

 そして、凛とたくましく微笑むペトラが向ける眼差しを、スバルは受け止める。


 アルデバランを、『昴の後追い星』を名乗り、スバルと同じ力で以て敵対し、その上で必ず救うと決めた存在のために、ナツキ・スバルは王都へ往く。

 知ろう。知らずにいることは不誠実で、自分で自分を許せなくなるとわかったから。


 だから――、


「――運命様、上等だ!」


 想いを背負い、立ちはだかる呪縛を踏み越えてゆくと、ナツキ・スバルは宣言した。



                △▼△▼△▼△



 ――ナツキ・スバルの決意表明、その同刻。


 今まさにはるか遠くの地で、ナツキ・スバルが出発すると宣言した目的地――親竜王国ルグニカの王都では、とある変事が起きていた。


「――――」


 まだ王都の人々の大半が眠りにつき、朝の訪れを夢の内から見過ごしている早朝、常ならば静寂に包まれているはずのルグニカ王城に、異様な空気が立ち込めている。


 その空気の発信源は、王城の中心――玉座の間だ。


 王選の切っ掛けともなった、病による王家の断絶。それにより国王不在となったルグニカ王城では、重要な式典の開催などを除いて、玉座の間は堅く閉ざされている。

 しかしこの日、この朝、玉座の間の扉は大きく開かれ、そこには王国の重鎮――『賢人会』の人間や、亡くなった国王からの信任も厚かった家臣たち、そして物々しくも感じられる緊張感を漂わせた王国兵までもが集められていた。


「――――」


 いずれも、国王不在の王国において、それぞれの立場で重責を担うものたちだ。

 早朝の呼び出しであろうと遅参するものはおらず、眠たげな目や、集中不足を態度に出すような不埒者も、その場には一人もいなかった。

 故に、時間帯に拘らず、この場で注がれる注目の重さは王国そのものと言っていい。

 ――それを、その女性は一身に浴びながら、静謐とした空気を保っていた。


「――――」


 赤い絨毯を敷き詰められた大理石の床の上、片膝をついて跪くのは、藍色の衣を纏い、胸の前で手を組んで頭を垂れる人物だ。その祈りの姿勢は洗練されたもので、武官は武技を、文官は作法を、それぞれ想起させられ、思わず嘆息する。

 それほどまでに、ただ祈るという仕草だけで、女性は周囲を圧倒した。


「――ふぅむ。顔を、上げてくださいますかな」


 そんな中でただ一人、女性の祈る仕草に心を奪われず、声を発したものがいる。

 穏やかで理知的、聞くものにそうした印象を自然と抱かせるその声の主は、跪く少女を迎えた城の関係者の一人――否、代表とさえ言える立場だ。


 マイクロトフ・マクマホン。――国王不在のルグニカ王国において、国政にまつわる舵取りを行う『賢人会』の中心人物であり、急遽設けられたこの場においても、やはり最大の発言力と決定権を持った大人物だ。

 その優れた智謀と、並々ならぬ王国への忠義と貢献で知られた知恵者は、「ルグニカ国王が死んでも国は揺らがないが、彼が死ねば王国は滅ぶ」と、そう他ならぬ国王自身に冗談を言わしめたほど大きな存在感を持っている。

 優しげな風貌と温和な語り口から誤解を生みやすいが、その実、ルグニカ王国で味方に付ければ最も頼もしく、敵に回せば最も恐ろしいとされる傑物。――マイクロトフは、そうした評価を長年ほしいままにしてきた人物なのだ。


「――ええ」


 そのマイクロトフの言葉を受け、俯いていた女性がゆっくりと顔を上げる。そして、閉ざされていたその瞼が開かれたとき、彼女と見合ったマイクロトフが微かに息を呑む。

 マイクロトフのその反応は、彼に限ったものではない。同じ『賢人会』の一員としてこの場に居合わせたボルドー・ツェルゲフも、武官の代表としてここに立つ近衛騎士団長のマーコス・ギルダークも、文官の中心人物であるリッケルト・ホフマンも、それ以外の、玉座の間でこの瞬間に立ち会った全てのものが、各々反応する。


 ただそこにいるだけで、自然と全員の意識を引き付ける魔性を持った女性。だが、このときの全員の反応は、彼女の佇まいばかりが理由ではなかった。――容姿だ。

 長く艶やかな金色の髪と、凛と強い意志を宿した紅の瞳は、ただ美しい以上の意味を持って、この場の――否、ルグニカ王国のものたちに突き刺さる。

 そして――、


「――まずは突然の訪問と、それを快くお迎えいただいたことを感謝いたします。お互いの立場を考えれば、望ましいことではなかったでしょうに」


 そうした注視を慣れたもののように、女性は片膝をついたまま、並み居る賢人・要人たちを見渡し、そう言葉を発した。

 過度にへりくだるでも、立場を弁えないでもない彼女の話し出しに、その場のものたちは一時の驚きと動揺を抑え、自分たちの代表のマイクロトフに対応を任せる。

 そうした意図を受け取り、椅子に座るマイクロトフは、己の生やした長い長い髭を指で撫でながら、「ふぅむ」と吐息を挟み、


「これはこれは、なかなか言いづらいことを言うものですな。とはいえ、おためごかしも意味がないでしょう。あなたの仰りようも、事実ですから」


「そう率直に言っていただけると、わたくしも肩の荷が下せます。この通りの若輩者ですので、皆様の前では言葉が出てこないかと怖々していましたから」


「ふぅむ、そう仰るわりには堂々としておられる。衆目を集めることにお慣れの様子ですな。心当たりは……少なくないかと思いますが」


「そうですね。否定はしません」


 祖父と孫ほども歳の差のある二人だが、マイクロトフと女性とのやり取りには淀みがなく、役者の違いからの一方的な探り合いにはなりそうもない。

 どちらともなくそう見取った両者は、ふっと息を抜くように同時に微笑み、


「こんな早朝から、お忙しい皆様の時間をみだりに奪うわけにはいきません。さっそくですが……本題に入らせてください」


「ふぅむ、そうされるのがよろしいでしょう。この歳ですから、早起きは苦になりませんが、重要な話というのはいくつになっても先延ばしされるのが苦しいものです。――ましてやそれが、王城と距離を取ってきた『神龍教会』からのお話となれば、なおさらに」


「――――」


 鷹揚に話を促したはずが、マイクロトフの発言に室内の空気が一瞬だけ張り詰める。添えはすぐに、たった一人で王城を訪れた女性への無礼だと緩められたが、そうなる理由だけはこの場の誰にも如何ともし難いものであった。


 ――マイクロトフが名前を出した『神龍教会』とは、その名の通り、『神龍』ボルカニカの存在を崇め、その力の恩恵と守護の盟約を信仰する宗教団体だ。


 ルグニカ王国は『親竜王国』を名乗るように、『龍』に対する格別の縁深さで知られており、王国の人間であれば、多かれ少なかれ『神龍』の恩恵に与っているのだ。

 その自覚から、教会への所属を公的にしていなくとも、ルグニカ国民の大半は『神龍』に対する畏敬の念を抱いている。そうした環境の中で、公的に教会に所属しているものたちが、どれほど強い『神龍』への信仰を抱いているかは言うまでもない。

 その大きな影響によって国家が揺らぐことを防ぐため、『神龍教会』は国政を担う王城には近寄らず、互いの領分で国民の幸福に寄与する。――それが暗黙の了解だ。

 それだけに、『神龍教会』の修道女が王城を訪れ、『賢人会』を含めたものたちの前で何かを語ろうというのは異例の出来事だった。

 ただ――、


「――その価値はあります」


 それが異例なことだと理解しているからこそ、その不文律を破るだけの理由がある。

 女性のその断言は、はたして、マイクロトフたちを玉座の間に集め、話を聞かせるだけの意味があるものだと、そう期待させる役目を果たした。

 故に、賢人たちの無言の促しに従い、女性が告げる。――自らの、来訪の理由を。


「昨今の王国の危難、『神龍教会』の信徒一同、心から憂いています。暗黙の了解で、国事である王位選抜戦……王選とは距離を置いていましたが、水門都市での災禍の件が耳に入って以来、いてもたってもいられなくなりました」


「水門都市……プリステラの、魔女教の一件ですな。かの都市の被害には我々も胸を痛めておりますが、よもや『神龍教会』は事変に関わった王選候補者の方々に苦言でも?」


「それだと、暗黙の了解を破ってまで勇んで駆け付けた意味と、話を聞く価値があるって言ったことと矛盾するわ。……矛盾します」


 とっさの反論に地が出て、そう言い直すところに女性の若さが出た。そのバツの悪さを誤魔化すように、女性は小さく咳払いを入れ、


「とにかく、王選候補の方たちに文句はありません。一部、物申したい点がある方がいないではないですが、それは『神龍教会』の総意ではなく、個人の意見なので」


「教会の見解でないなら、それは王国民としての忌憚ない意見です。むしろ、こちらは積極的に耳を貸すべきと思いますが……ふぅむ、それでは話が逸れますな」


「そうね。マイクロトフ様が話せる方だということは覚えておきますが、本題を。――わたくしたちが話題にしたいのは、責任の追及ではなく、被害について」


「――。お聞きしましょう」


「水門都市プリステラで、魔女教の被害に遭った方たち……複数の症例が確認されているそうですが、『神龍教会』はその救済の手段を提供できます」


 ――瞬間、その言葉の持つ意味に、ざわと玉座の間の空気が大きく揺れる。

 しかし、その揺れの震源となった女性は凛とした姿勢を崩さぬままに、賢人たちの視線を浴びながらも真っ直ぐに立ち続ける。その眼差しや態度に揺らぐところはなく、確信なくして言い放てるものではない自負があった。


「――ふぅむ」


 一言、そう相槌を入れることで、マイクロトフがざわめく空気を裁断する。

 とはいえ、王国有数の賢人であるマイクロトフも、女性のその申し出には驚きを禁じ得ない。賢人は、ほんのわずかな忙しなさを髭を弄る指に出しながら、


「それが事実だとすれば、願ってもない話です。その話を王城へ持ってきたのは……」


「わたくしたちだけで勝手に事を進めるのは、いい顔をされないでしょう。それに」


「いい顔をしないのは我々城のものだけでなく、魔女教も、でしょうからな」


 言うまでもなくの事実に、女性も細い顎を引いてマイクロトフに同意する。

 当然だが、魔女教がもたらした被害を帳消しにできるなら、それは魔女教にとっても望ましくない出来事に他ならない。故にこそ、『神龍教会』は欲するのだ。


「――王国の確かな庇護。それは国政を司る我々と、信仰を司る『神龍教会』との間の距離が理由で、長年本当の意味では実現してこなかったものですな」


「ええ、そう。この機に、それを実現させたい。それが『神龍教会』の総意。――その決断をひと押しするために、こちらから提案があります」


「ふぅむ、提案ですか。それは?」


「まずはお目にかけます。わたくしたちにできる救済、その実証を」


 自分の胸に手を当て、そう言った女性にマイクロトフは眉を上げる。

 それは願ってもない申し出だ。彼女の言う通り、判断材料として申し分のない提案。ただし、水門都市の被害者をすぐに王都に連れてくるのは――、


「一人、心当たりがおありのはずです。最初の一人はその方に」


「――。よいでしょう。まず、話を持ちかけることを許可します。――マーコス団長」


「は!」


 マイクロトフに名前を呼ばれ、そう轟々たる声で応じたのは甲冑姿の巨漢、王国近衛騎士団の団長であるマーコスが前に出て、『賢人会』の席に敬礼する。


「彼女をお連れしていただけますか。これは、王国の一大事となります。慎重に」


「承知いたしました。――私がご同行いたします」


「ええ、大きい顔……じゃなく、体の大きい方ね。よろしくお願いします」


 ぺこりと頭を下げた女性、その表情にもいくらかの柔らかさが宿る。それは話の流れが彼女の望んだ形に進み、『神龍教会』から訪問した意味を果たせそうだからか。

 その彼女に、不意打ち気味になるとわかっていながら、マイクロトフはあることを問う。

『神龍教会』からの使者を名乗り、早朝からマイクロトフたち王国の重鎮を城に集めたその女性の、『神龍教会』の関係者であること以上に注目を集める理由について。

 それは――、


「――大変失礼ですが、お名前を聞かせていただけますかな、修道女殿」



                △▼△▼△▼△



「――わたくしは『神龍教会』から派遣された修道女よ」


 マーコス直々に連れられ、王侯館を訪れた女性――修道女と自称した相手を前に、フェリスは困惑を隠せなかった。


 フェリスがヴィルヘルムと共に王都に滞在していたのは、王城への直訴――開かれたプレアデス監視塔への調査団、その一員に参加させてもらい、全知全能と謳われる『賢者』の叡智に、今も苦しみ続けるクルシュを救う手立てを教わるためだった。

 無論、すでにプレアデス監視塔から戻ったエミリアたちからの書状があり、『賢者』の存在もその知恵も、そう都合のいいものではなかったとは知らされている。だがそれでも、遅々として進まない治癒魔法の開発より、よほど可能性はある。


「ホント、馬鹿みたい。既存の治癒魔法をどれだけ改良しても、自分が死ななくなるだけで、クルシュ様の苦痛の一つも取り除いてあげられない」


 縋るような思いの『青』の研究は、現存していたルグニカ王国の治癒魔法の段階をこの短期間で一段どころか三段上げたが、それは今のフェリスには無価値なことだ。

 目下、一番救いたい人が救えない。その事実はフェリスを追い詰め、暗闇に落とす。

 だから、プレアデス監視塔に、『賢者』の叡智に頼ろうとしたのに――、


「……クルシュ様を、救える? 『神龍教会』が? ほ、本気で?」


「信仰に嘘はつかないし、迷える人をさらに苦しめる趣味なんてありません。わたくしが信じられなくても、あなたの団長は信じられるはずよ」


 震え声のフェリスに応じ、修道女は同行したマーコスを手で示す。そのマーコスにフェリスが「団長!」と高い声をかけると、彼は巌のような顔で頷き、


「『神龍教会』には公にされていない魔法や術技があると聞く。マイクロトフ様を始めとした『賢人会』の皆様も、信じる価値はあるだろうと」


「……で、でも、それでもしクルシュ様にまた何かあったら」


「――『クウェインの石は一人じゃ上がらない』」


「――っ」


 静かに、そう告げた修道女の言葉に、フェリスは思わず息を呑む。

 込み上げる感情の乱流に瞳を潤ませるフェリス、その手にそっと手を伸ばし、修道女は細い指で硬く握りしめられていたフェリスの指を、一本一本、柔らかくほどく。

 されるがままになるフェリスは、ふと彼女の美しい金色の髪と、真剣な光を宿した紅の瞳を目に留め、目を見張る。

 混乱に拍車をかける気付き、それが意味するところがわからなくて――、


「お願い。どうか、あなたの大切な人を助けさせてちょうだい。『神龍教会』は常に、王国民の幸福を願っている。どんな主義を抱くものでも、そこに例外はないわ」


「あ、あなたは……あなたは、誰なの?」


「――――」


 そのフェリスの問いかけに息を詰め、しかし、彼女は微かな躊躇いを瞬きで収め、こちらの手を柔らかに握ったまま、答える。

 それは――、




「――フィルオーレ。それが、わたくしの名前よ」


 ――十五年前に王城から連れ去られ、行方をくらました王弟の息女。王族の特徴である金色の髪と紅の瞳をした修道女は、その消えた王女と同じ名前を名乗ったのだった。




これにて九章完結! お付き合いありがとうございました!

九章でやりたかったのは、改めて『死に戻り』の光と闇を描くことです。

死に光とは……??

読了してくれたみんなは、どっちが光の『死に戻り』で、どっちが闇の『死に戻り』だと思いました?


どうあれ、次回更新からついに十章へ突入します!

色々予定通りに進まないところもたくさんありましたが、総じて、書く前より書いたヤツの方がちゃんと面白いというのが、物語の水物っぷりだと思います! 十章もプロット面白いから、プロットより面白くなると思うよ! お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
ありとあらゆる想像を覆す壮大な夢落ちだった。 事実には残らない現実であり夢。 ペトラやレムのスバルに対する強い思いと信頼を証明する証拠には残らない実際に存在したけど後世には残らない歴史。 物語全体にこ…
こんな怒涛の更新良いんですか…?ありがとうございます! このエピソードが映像化されるのは一体いつ頃になるんだろうか。
9章という物語自体がアルデバランという存在に対するアンチテーゼになっていて感服です。 これだけみんなが努力し、成長し、多くの場面が展開されたのにそれら全て無かった事になってしまう。 お話しとしては9章…
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